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プログレおすすめ:TNNE「The Clock That Went Backwards」(2014年ルクセンブルグ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 2014年, ネオ・プログレ, ルクセンブルグ


TNNE -「The Clock That Went Backwards」

第105回目おすすめアルバムは、ルクセンブルグのネオ・プログレ系のプログレッシブ・ロックバンド:TNNE(The No Name Experience)が2013年に発表した1stアルバム「The Clock That Went Backwards」をご紹介します。
TNNE「The Clock That Went Backwards」
当アルバムはPatrick Kiefer(ボーカル)、Michel Volkmann(ギター)、Alex Rukavina(キーボード)、Claude Zeimes(ベース)、Gilles Wagner(ドラム)の5人に、サックス奏者:Fred Hormainをゲストに迎え制作されています。そのサウンドは、5大プログレバンドのうちの1つ:Genesisでいえば、ボーカルがPhil Colins期のタイトなリズム比重もあるメロウなシンフォニック系や、ネオプログレ系の代表格:Marillionを連想するかもしれません。いっぽうで西欧ヨーロッパのシンフォニック系やネオプログレ系に置き換えたものの、より中部ヨーロッパでロシアに近しい一種独特な様式美さえ感じます。

また、バンドのデビューアルバムといっても、TNNEは、前身であるNo NameやThe No Name Experienceなどのメンバーが集結しているため、当アルバム制作段階から各楽器から奏でるアンサンブルがしっかりしていることも忘れてはいけません。アルバム全篇の統一感のあるアンサンブルやサウンド・メイキングに世界観は、過去に共に楽曲を奏でてきた阿吽の仲、帰心の知れた間合いなども活かせてると感じられるんです。

楽曲について

時計の音を連想させるSEから「My Inner Clock」の一節で冒頭曲1「My Inner Clock」は幕を上げます。マイナー調でシリアスなヴァースには、呼応するかのようなメロディアスなカウンタ・フレーズを奏でるギターが印象的な楽曲です。メロウでメロディアスに仕上げられるのではなく、ドラムを含めたタイトなリズムセクションが各楽器のアンサンブルにダイナミックさを与え、楽曲の奥行きを十人分に拡げてます。Patrick Kieferの憂いを帯びた声質とも相まって、ネオプログレ系に近い前身:No Nameとの共通点が見いだせるのではないでしょうか。

冒頭曲に溢れるサウンド・メイキングがアルバム全篇を代表しているといっても過言ではないと思います。特に、メロディアスなギターのソロ・パートを十分に聴かせてくれる4「Looking Back and Forward」や中間部を乱れ彩るサックスのフレーズがある8「The Snow」などの楽曲に、随所に感じさせてくれるんです。

さて、憂いを帯びたメロウさやダイナミックさのある楽曲が大半を占める中でも、特に、6「Circles of Life」はゲスト参加したサックスのソロが憂いを添えるように、「拡がる」ではなく「突き進む」イメージを讃え、儚さ溢れるサウンドスケープが素敵な楽曲です。ピアノとサックスがアンサンブルの合間にアクセントとして加えられ、他楽曲とはまた異なる質感に仕上げてると思いました。

いっぽうで、次曲7「Welcome to my New World」は当アルバム中で最もハードなエッジを効かせたギターのフレーズがイントロで印象的な楽曲です。ダイナミックさ溢れるアメリカ・ハード系の大胆なリフを終始聴かせてくれます。

後半部でサックスがフリーキーさも垣間見せるアルバム中で最もスケール感を感じる8「The Snow」は、混沌としたシンフォニック系とも捉える構成力が魅力的ですね。楽曲のクロージングまでただただ圧倒され聴き入ってしまいます。

最終曲「Circles of Life (Edit)」は6のエディット楽曲の位置付けであり、アルバムをコンセプト手法とも捉えるスタイルで統一感を持たせています。

[収録曲]

1. My Inner Clock
2. Clairvoyance
3. About Angels and Devils
4. Looking Back and Forward
5. The Clock That Went Backwards
6. Circles of Life
7. Welcome to my New World
8. The Snow
9. Circles of Life (Edit)

ポストロックや東ヨーロッパにも通じる美メロのあるメロディラインで聴かせながらも、ギターとキーボードをメインとしながらも、楽曲によってアンサンブルにサックスが加わることで、シンフォニック系のエッセンスを濃厚に感じさせてくれるアルバムです。

シンフォニック系やネオプログレ系の哀愁さのあるメロディラインが好きな方にはおすすめです。また、冒頭でもご紹介させて頂きましたMarillionやボーカルがPhil Colins期のタイトなリズム比重もあるGenesisに興味がある方にもぜひおすすめです。

アルバム「The Clock That Went Backwards」のおすすめ曲

1曲目は、6曲目の「Circles Of Life」
ピアノをメインに、サックスがヴァースのアンサンブルやソロ・パートに色を添えることで、憂いを帯びたボーカルの声質にもフィットしたマイナー調の哀愁ある楽曲が素敵だからです。

2曲目は、冒頭曲の「My Inner Clock」
アルバム全篇を通じた楽曲のアンサンブルやサウンド・メイキングを提示する名刺的な楽曲とも捉え、当楽曲からラスト楽曲まで聴き入ってしまうだけに魅了されたからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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