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プログレおすすめ:Light Damage「1st Album」(2014年ルクセンブルグ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/03 2014年, ネオ・プログレ, ルクセンブルグ


Light Damage – 1st Album

第130回目おすすめアルバムは、ルクセンブルグのネオ・プログレ系のプログレッシブ・ロックバンド:Light Damageが2014年に発表した同名1stアルバム「Light Damage」をご紹介します。
Light Damage「Light Damage」
Light Damageは、2005年に、Sébastien Pérignon(ドラム)とStephane Lecocq(ギター)の2人が出逢ったことで結成されたバンドです。以降、メンバーチェンジを繰り返しながら、当アルバムが発表される2014年には、ドラムのSébastien Pérignonがキーボード兼パーカッションにパートを変更し、ボーカリストにNicholas-John、ベース奏者にFrédérik Hardy、ドラムにThibaut Grappinの5人編成のバンドに落ち着きます。

ダミ声かかったヴィブラードによるボーカリゼーションのボーカルに、時にハードなリフが入りながらも、ギターとキーボードによるドラマチックでいてメロディアスなメロディラインの楽曲は、現代のネオ・プレグレともいうべき、仕上がりと思います。当初2014年に発売されるものの、プログレッシブ・ロックを意識したプロモーション展開で、2015年に再リリースされたことからも、バンドやレーベルがプログレッシブ・ロックのジャンルを意識していることが伺えます。

楽曲について

雨のSEに導かれ、チューブラー・ベルズの響きが時を刻むイメージとうねるベースラインで幕を上げる冒頭曲「Eden」は、じわじわとギターの一定のシークエンスで聴き手を高揚させていくインストルメンタルが印象的な楽曲です。このインストルメンタルのパートがあるから、3分50秒前後からサビ部に該当するだろうボーカル・パートの刹那さ溢れる唄メロのメロディラインが際立ちます。より退廃感がある物憂げなイギリスのGazapahoのメロディラインを彷彿とさせ、ネオ・プログレ系のエッセンスを感じさせるメロディアスなギターのフレーズが流麗に楽曲後半部に色を添えます。



2「Empty」は、アコースティカルなギターを主体としたアンサンブルの前半部、キーボードが重なり合う中間部も印象的に、ディスト―ションの効いたギターのリフやオルガンのリフによる後半部にいくにつれて、楽曲はドラマチックな展開を魅せてくれます。

流麗なピアノのフレーズで幕を上げる3「The Supper of Cyprianus」は、各ヴァースでアンサンブルでピアノ、ギターと立場を変え、3分30秒前後からはハードな展開へとうつり、ヴォーカルパートと並奏するギターのフレーズも印象的です。少しセリフタッチで展開するボーカリゼーションも含め、特に、ギターのバリエーション豊富なモチーフが楽曲を最初から最後まで彩り、オペラ的とも云えるドラマチックな展開が素敵ですね。

4「Heaven」は、ギターのカッティングに、一定のシークエンスで奏でるキーボードのインストルメンタルの前半部から、3分50秒前後にギターをアンサンブルとしたボーカルのパートでは、1960年後半から1970年後半に活躍したアメリカのファンクバンド:Sly & The Family Stoneの楽曲「A Whole New Thing」に代表されるホーン・セクションのような音使いを織り込ませ、スキャットでもホーン・セクションと同様なボーカリゼーションを取り入れるクリエイティブさは、他楽曲には見えない展開です。

5「F.H.B. (For Helpful Buddies)」はギターをメインとした2分弱の小曲です。そして、最終曲6「Touched」は、他楽曲以上の刹那さ溢れる唄メロのメロディラインに、コーラスワークとの掛け合いがありながらも、ギターとキーボードのアンサンブルは、メロディアスな演奏よりもウォールサウンドかのように敷き詰めるアンサンブルの印象です。楽曲としては唐突にクロージングを迎えるものの、アルバムのクロージングに相応しい重厚なサウンド・メイキングに仕上がっているのではないでしょうか。

[収録曲]

1. Eden
2. Empty
3. The Supper of Cyprianus
4. Heaven
5. F.H.B. (For Helpful Buddies)
6. Touched

同国ルクセンブルグで代表的なプログレッシブ・ロックバンド:TNNEが、タイトなリズム比重もあるメロウなシンフォニック系も感じさせつつ、ネオプログレ系のエッセンスを感じさせるバンドであるいっぽう、Light Damageは、2台のギターとキーボードを主体としたアンサンブルが、時にボーカル・パートに色を添え、時にインストルメンタルとして独立してボーカル・パートとも絡み合うスケールの大きさを感じる演奏が素敵です。

ネオ・プログレ系という観点でいえば、ドイツのSylvan、 イギリスPendragon、Marillion、IQなどの1990年代を先駆した、ネオ・プログレ系やポンプ・ロック系を聴かれる方におすすめです。

あらためて2015年にプログレッシブ・ロックのジャンル位置付けとしてプロモーションをかけなおしたことで、今後の活躍が多いに気になるバンドですね。

アルバム「Light Damage」のおすすめ曲

1曲目は3曲目の「The Supper of Cyprianus」
楽曲中でボーカルやキーボードが様々に形を変えて展開をしていきますが、それ以上に2台のギターが織りなす豊富なモチーフが楽曲の最初から最後まで印象的なんです。

2曲目は4曲目の「Heaven」
他楽曲と異なり、ファンキーさを感じさせるホーン・セクションのようなエッセンスを取り入れた感覚が斬新であり、衝撃を受けたからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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