プログレおすすめ:ButterFlyKIss「Newly emerged ButterFly」(2014年日本)
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最終更新日:2016/04/21
2014年, 日本, 関連プログレ[日本] ButterFlyKIss, mitsuko, Myspace, 藤枝匠太
ButterFlyKIss -「Newly emerged ButterFly」
第66回目おすすめアルバムは、日本のゴシック系のユニット:ButterFlyKIssが2014年6月に発表したアルバム「Newly emerged ButterFly」をご紹介します。
ボーカルにみつこさん、キーボード兼サウンドクリエーターに藤枝さんによるユニットです。2009年5月にお台場でその演奏を初めて聴き、リアルタイムで「アルバム」というフォーマットに触れることが出来た、個人的にずっと待ちわびていたフルアルバムなんです。
ここからが始まりと・・・
1年ほどライブへ足を運ぶことが叶わない日々もありましたが、ポップさや爽やかさの中にも力強さのあるボーカルと、流麗でいてクラシカルな素養を垣間見せる鍵盤フレーズ、そして、心にフックする「Missing」という楽曲の存在感をずっと忘れることが出来ずに御二人の活躍をインターネットを通じ応援していました。サポートギターの松川さんとのアンサンブルは積み重ねられ、ドラムにマヤさんがサポートに携わり、メンバーのみつこさんはCM楽曲を唄われたり、藤枝さんはプログレッシブな楽曲のプロジェクト参加など活動範囲を拡げられてました。
2014年に入りサポートベースにマツさんが加わり、先日2014年6月8日、渋谷REXでワンマンライブと同時に当アルバム「Newly emerged ButterFly」が発売されたんです。アルバムにはこれまでの代表曲も含め、アグレッシブな印象が一聴した感想でした。アルバムタイトルは「孵化したばかりの蝶」を意味しているかと思いますが、ワンマンライブのMCで「ここからが始まり」と発してたボーカルのみつこさんの言葉も印象的です。
楽曲について
冒頭曲1「Labyrinth」はチェンバーロックを想起させる煌びやかなアンサンブルとエンジェルウィスパーのようなコーラスが軽やかさを感じさせてくれる前半部に、ずっしりとしたシンセのフレーズと前半部よりも力強さのあるコーラスが奏でられる後半部が印象的な楽曲です。今年2014年2月に発売された藤枝さんのソロアルバム「Wisteria Violet」でも冒頭曲を飾ってましたが、当バージョンの方がみつこさんのコーラスに奥行きをより感じたのは自分だけでしょうか。希望と不安と同居させたアルバムのオープニングに相応しい楽曲と感じました。
2「Soldier of Love」は、3「Frozen」とともに、過去ライブで何度となく聴かせて頂いています。Butterflykissのファンであれば代表曲と認知しているだろう楽曲で、2「Soldier of Love」はEP版のゴシックさ以上に、ヴァースにドラムンベースのリズムを想起させるエレクトロさの比重が高まったのが第一印象でした。もちろん、アップテンポなだけでなく起伏さのある唄メロでありながらも、クールに徹したみつこさんのボーカリゼーションも聴きどころです。さらにエレクトロ感に際立つガットギターによる中間部は、正確無比な藤枝さんの鍵盤のフレーズのバッキングからクラシカルな素養やファンタジックさを合わせもつクリエイティブ性に魅了され、そのサウンドを聴き求めてしまうキッカケの一つともなった楽曲でもあります。他のファンの方々にも思い入れがあると思うし、これから耳にするだろう方々にもこの緊迫さをぜひ感じて欲しいと思うんです。
3「Frozen」は、2「Soldier of Love」よりもテンポを落とし、たとえばアメリカのゴシックロックバンド:Evanescenceのようなドラマチックさを感じさせてくれる楽曲です。2と同様にみつこさんのクールなボーカルが印象的です。タイプが異なる冒頭3曲を聴き、ふと感じたのは、アンサンブルに紛れ、柔らかさもあるエンジェル・ウィスパーなコーラスでした。当アルバムをコンセプトアルバムとし、楽曲に一連の世界観、同様な効果をもたせているのではないかと感じるぐらいに、コーラスが楽曲たちに統一感を感じさせてくれるんです。
アップテンポでロック色の強い4「Phantom Spider」はサウンドだけでなく「つきすすむ」、「まいあがれ」などの歌詞からも読み取れるように、ライブ後半にポジティブにヒートアップさせてくれる楽曲と感じています。そう分かっていてもサビで聴かれるエンジェル・ウィスパーなコーラスが印象的です。
そして、ここまで楽曲の途中途中で聴かれていたコーラスが、5「Newly Emerged ButterFly」ではイントロからくっきりとアレンジ付けられ聴けます。そのコーラスワークはアルバムタイトル曲へ段階的へ繋げるパーツと思えるぐらいに、そのクリエイティブ性に溜息ついてしまいました。この5「Newly Emerged ButterFly」はアルバム発売前からyoutubeでPV配信もされていて何度も聴き返していたんです。このアルバム全体で感じるコーラスのアレンジ感の全貌を「自己解釈」しはじめたら、アルバムを買って良かったなとあらためて感じましたね。
いっぽうで、5「Newly Emerged ButterFly」は当アルバムでプログレッシブさを最も強く感じる楽曲に仕上がっています。プログレのアヴァンギャルドさやテクニカルさを気難しく難解に演奏するのではなく、みつこさんのクールさや艶やかさのあるボーカリゼーションを際立たせるように展開しています。通常の唄モノの楽曲ではAメロ、Bメロ、サビといった一連の基本的な流れがあると思いますが、2分50秒前後の2回目のサビ以降の展開に驚きを隠せくなりました。クロージングのコーラスも含め、溜息をついてしまうぐらいに儚くて綺麗なメロディが展開されているんです。1つの楽曲としても成り立つような素敵な唄メロを何曲分もだしおしみもなく1曲に織り交ぜつつ、変拍子や転調でしさりげなく際立たせています。また、アレンジ、アンサンブル、唄メロだけでなく、リズミカルに韻を踏んだ感もある歌詞のフレーズ(「時を超え」「辿りつく」「信じてる」「この力」「悲しみも」「絶望も」「手に入れたものは」「恋しくて」「愛おしい過去を」)も必聴だと思います。
6「Come into the world」は、藤枝さんのソロアルバム「Wisteria Violet」の挿入歌「Prayer」のサウンド感のように、大らかに清々しさなイメージを想起させる前半部50秒と、突然場面が変わったようにけたたましく勇ましさも感じる後半部が印象的なインストルメンタルの楽曲です。この楽曲も3分弱の尺にプログレッシブなエッセンスが溢れており、もっと長い尺で、そしてライブで聴きたいと感じます。
7「Lepidoptera」は、4「Phantom Spider」、9「Space Shine」、10「Fly More」同様にエレクトロさとロックさの融合に、個人的に1970年代のイギリスで隆盛したグラムロックを感じさせてくれます。さらに、7「Lepidoptera」と9「Space Shine」のダンサンブルさは、1970年代後半のブラックコンテンポラリーな印象すらもたせてくれます。ライブではサビ部を一緒に口ずさみたくなります。ただ、その9「Space Shine」も3分20秒前後からの唄メロには5「Newly Emerged ButterFly」中間部(サビ2回目)と同様なエッセンスが聴かれ、ごく自然に聴けるのが素敵です。
8「Save the world ~争いのない世界へ~」は、ボーカルをみつこさんのままに、ゲスト・ボーカルにRikoさんを加えてリアレンジされています。プログレが好きだからロックが好きだから云々よりも楽曲の持つメッセージに強い意志を楽曲に感じるんです。
ステージ上のグリーンのスポットライトが各メンバーの背から会場へ送出される演出の中、印象的なサビ部に辿りつけば、果てなく拡がるサウンドスケープを感じずにいられなくなるし、エヴァーグリーンなイメージを描いてしまいます。大切に歌い続けて欲しい楽曲と応援し続けたいですね。
10「Fly More」は、ギターリフ、ドラム、コーラス、そしてシンセのリフが続くイントロ1分間と、ヴァース手前のドラムのフィル感覚、ヴァースのボーカルの一連の流れには、聴くたびに圧倒され続けてます。ライブではたびたびラストを担う楽曲で、自然と体が揺り動かされてしまう疾走感を十二分に感じさせてくれます。それでいてサビ手前ではエンジェルウィスパーなコーラスと、リズムチェンジが盛り込まれ、他のバンドでは表現出来ないButterflykiss独特のアレンジもあります。2「Soldier of Love」の力強さよりも高音域のクリアなボーカリゼーションのみつこさんも印象的ですね。アルバムタイトルで表題曲「Newly Emerged ButterFly」である孵化し飛び立つ姿を描いた本当にクライマックスを感じる構成力です。
[収録曲]
1. Labyrinth
2. Soldier of Love
3. Frozen
4. Phantom Spider
5. Newly Emerged ButterFly
6. Come into the world
7. Lepidoptera
8. Save the world ~争いのない世界へ~ (ButterFlyKIss & RIKO)
9. Space Shine
10. Fly More
11. Soldier of Love (MSY remix ver)
プログレッシブさのエッセンスに、変拍子やリズムチェンジなど交え、印象的なコーラスワークなど、アルバム1枚を通じて1つの世界観を形成する素晴らしいアルバムと思いました。
ゴシックさのあるロックだけでなく、ファンタジックさやメロウさなどを活かすプログレッシブさのある楽曲があるため、プログレッシブな楽曲を好む方にもおすすめです。
自分は「ここからが始まり」と一緒に感じえるように、当アルバムをしっかり聴き予習し、ぜひライブへ足を運んでみたいです。
アルバム「Newly emerged ButterFly」のおすすめ曲
1曲目は、 5曲目の「Newly Emerged ButterFly」
唄メロを際立たせるプログレッシブのエッセンスは必聴です。
まだ、5月と先日のワンマンライブの2回だけの演奏しか体感出来ていませんが、ライブではギターとベースがより厚みを増し、変拍子やリズムチェンジが強調され「圧倒感」されてしまったんです。
2曲目は、10曲目の「Fly More」
「翼を授けるわ」の歌詞が印象的に耳から離れられないんです。プログレッシブさが全面な楽曲ではないけれども、この楽曲の疾走感にはロック好きな自分でもなかなか出逢えないクオリティと思いました。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
CDの購入について 現在、当アルバムはライブ会場か通販のみで発売となっています。 ご購入などの問合せ先はネイバーフット有限会社宛へ。 ↓ 問合せ用メールアドレスはこちら ↓ です。 メール件名に「Newly emerged ButterFly CD購入について」と記載し是非お問合せ下さいね。 |
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