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プログレおすすめ:La Coscienza di Zeno「La Notte Anche Di Giorno」(2015年イタリア)


La Coscienza di Zeno -「La Notte Anche Di Giorno」

第109回目おすすめアルバムは、イタリアのプログレッシブ・ロックバンド:La Coscienza di Zenoが2015年に発表した3rdアルバム「La Notte Anche Di Giorno」をご紹介します。
La Coscienza di Zeno「La Notte Anche Di Giorno」
La Coscienza di Zenoは、2007年にイタリアのジェノアで結成されました。バンド名は、1923年にイタリアで発表された小説のタイトルに由来しているそうです。

当アルバムの制作では、1stアルバムと2ndアルバムから続き、Alessio Calandriello(ボーカル)、Davide Serpico(ギター)、Gabriele Guidi Colombi(ベース・ギター)、Andrea Orlando(ドラム)、Stefano Agnini(キーボード)の5人に、2012年から元Hostsonatenのキーボード奏者:Luca Scheraniが、また、Domenico Ingenito(ヴァイオリン)が加わった7人編成のバンドとなっています。また、ゲスト・ミュージシャンとして同HostsonatenのSimona Angioloni(ボーカル)、Joanne Roan(フルート)やストリング・カルテットが参加し制作されています。

バンド初期に5大プログレバンドのうちの1つ:YESのトリビュートに参加しているため、イギリスのプログレッシブ・ロックに影響を受けていることは察しがつきます。そして、当アルバムを一聴することで、Genesis直系ともいえるネオ・プログレ系のエッセンスをたぶんに含むモダンなテイストのプログレッシブな演奏スタイルではないかと思いました。加えて、元Hostsonatenのキーボード奏者:Luca Scheraniも含め、ダブル・キーボードスタイルであることやボーカルとインストルメンタルのバランスに、同国イタリアの有名なバンド:BANCO DEL MUTUO SOCCORSOに近しいサウンドを連想させてくれます。

アンサンブルに加わっている楽器群から連想するとおりに、ヴァイオリンとフルートとストリング・カルテットによる気品溢れるサウンドが聴けます。

楽曲について

アルバムの楽曲は、前半部の約24分(Giovane Figlia)と後半部の約20分(Madre Antica)の組曲2つに分けられます。

ストリング・カルテットが震わす雰囲気下に、ボーカル独唱で幕を上げる冒頭曲「Giovane Figlia」は、その冒頭部から晴れやかで、爽やかなサウンド・メイキングが溢れているんです。途中、店舗チェンジしながらも、管弦楽器群のアンサンブルが色を添えることで、当アルバム発表時期である「春先に似つかわしい佇まい」をサウンドスケープさせてくれます。

2「Il Giro del Cappio」は少し翳りのある唄メロには、イタリア・プログレ特有の哀愁さを感じるとともに、ボーカリゼーションがクレッシェンドするヴァースのパートでは、イギリスの有名なバンド;Roxy Musicのマイナー調のミドルテンポ楽曲にも通じる感覚を憶えました。ヴァイオリンの音色も哀感に色を添え、冒頭曲とはまた異なる気品さや優雅さが聴けますね。

3「Libero Pensatore」も2「Il Giro del Cappio」と同系統のマイナー調の唄メロが主体ながらも、途中途中に躍動感のあるパートを交えながら、ギターやキーボードのインストルメンタルのパートがより愉しめる楽曲です。そして、躍動さ溢れる4「Quiete Apparente」と5「Impromptu pour S.Z.」に続き、6「Lenta Discesa all’Averno」もまた、前半部はイタリア・プログレの情熱さ溢れる躍動的なヴァースが聴けますが、2分前後からは、ゲスト参加している女性のSimona Angioloniによるボーカル・パートが突如聴けます。ボーカル・パートに、ヴァイオリンが平奏しながら、まるでスコットランド民謡のように大らかなアンサンブルが響き渡り、前半部の組曲はクロージングします。

そして、後半部の冒頭ともなる7「Il Paese Ferito」は、ストリング・カルテットが奏でるミステリアスさに、ヴァイオリンやギターも不穏なフレーズを響かせ、前半部の組曲とは異なる印象へ一変させてくれます。各楽器パートも複雑なタッチやフレーズが増え、ボーカルもよりシアトリカルさの比重を感じさせてくれます。この「シアトリカルさ」も感じさせてくれる起伏の大きなヴァースは、8「Cavanella」、9「La staffetta」でも同様にいえます。ただそれだけでは終わらず、8「Cavanella」の後半部はヴァイオリンとギターのユニゾン、9「La staffetta」の後半部は当楽曲で印象的な唄メロを気品溢れるタッチのピアノ独奏など、聴きどころがあります。そして、最終曲10「Come Statua di Dolore」はアンニュイな唄メロが印象的ながらも、管弦楽器の奏でる優美さやミステリアスさなど、全楽曲で聴けるサウンド・メイキングの集大成のようなアンサンブルでクロージングします。

突如聴ける女性ボーカルに驚きを隠せないながらも、気品さと優雅さ溢れるアンサンブルの前半部の組曲(Giovane Figlia)に、シアトリカルさのヴァースに、各楽器の複雑なタッチがましたアンサンブルの後半部の組曲(Madre Antica)と、アルバム前半と後半で印象は分かれますが、古き良きイタリア・プログレとともに、シンフォニックさをほんのり匂わせるサウンドが素敵なアルバムと思いました。

[収録曲]

1. A Ritroso
2. Il Giro del Cappio
3. Libero Pensatore
4. Quiete Apparente
5. Impromptu pour S.Z.
6. Lenta Discesa all’Averno
7. Il Paese Ferito
8. Cavanella
9. La staffetta
10. Come Statua di Dolore

イギリスのネオ・プログレ系という印象もありますが、ダブル・キーボードスタイルからもBANCO DEL MUTUO SOCCORSOなど、古き良きイタリア・プログレの持つ気品さや優雅さを好む方におすすめです。

また、ヴァイオリンとフルートとストリング・カルテットを含むアンサンブルを聴きたい方にもおすすめです。

アルバム「La Notte Anche Di Giorno」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭曲「A Ritroso」
アルバムのジャケットを見て、その後、当楽曲が最初に耳に入ってきた時のギャップ、そして、展開される爽やかさ溢れる晴れやかな世界観は自然と心弾ませてくれるし、春という時期に似つかわしい躍動さが素敵だからからです。

2曲目は、2曲目「Il Giro del Cappio」

当アルバムで最もブリティッシュ・ロックらしさ、強いていえば、Roxy Musicを連想させるシアトリカルな唄メロのメロディラインが素敵
だからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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