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プログレおすすめ:Mr. Fox「The Gypsy」(1971年イギリス)


Mr. Fox -「The Gypsy」

第250回目おすすめアルバムは、イギリスのエレクトリック・フォーク系からプログレ・フォーク系を感じさせるロックバンド:Mr. Foxが1971年に発表した2ndアルバム「The Gypsy」をご紹介します。

Mr. Fox「The Gypsy」

ドローンとトラディッショナルさ

Mr Foxは、1960年代後半にイギリスはヨークシャーを拠点に活動していた、Bob Pegg(ボーカル、ギター、ベース、キーボード)とCarole Pegg(アコーディオン、フィドル、ボーカル)のPegg夫妻を中心に、1970年に、Alun Evans(ドラム)、Barry Lyons(ベース、ダルシマー)、Andrew Massey(チェロ)、Richie Bull(バンジョー)、John Myatt(木管楽器)、Nick Struttらとともに結成したバンドです。

バンドの音楽の特徴は、Fairport Convention、Steeleye Span、Pentangle、Albion Country Bandと比較されるエレクトリック系の比重が高いフォーク・ロックです。

当アルバム「The Gipsy」は、1970年発表の同名1stアルバム「Mr. Fox」から1年振りで、Richie Bull(バンジョー)とJohn Myatt(木管楽器)が脱退し、6人編成で制作されたアルバムです。よりエレクトリック系のフォーク・ロックを強めるとともに、プログレッシブな展開を示す大作や、アメリカのThe Velvet Undergroundの一員として有名なイギリスのミュージシャン:John Caleから影響を受けたというドローンやサウンド・ウォールを盛り込み、本来のトラディッショナルなフォークとのアンサンブルに混沌寸前のカタルシスをクリエイトし、よもやサイケデリックなサウンド・メイキングをしています。

ドラマチックさがプログレッシブな感性をくすぐるサウンドで聴かせてくれるアルバムです。

トラッドさと実験性がクロスオーバーしたサウンドには聴き手を選ぶかもしれませんが、プログレッシブ・ロックの一端となるプログレ・フォークのなかで、危うさが漂うアルバムとも思います。

楽曲について

冒頭曲1「Mendle」は、不気味に響くドローンなアンサンブルが印象深い楽曲です。ゆったりとしたテンポで、2分55秒前後からのエレクトリック・ギターによるノイジーなソロや、Carole Peggによるボーカリゼーションもあいまって、アンサンブルには気怠さが溢れています。ドタンドタンしたリズムに、サイケデリック然としていないのに、サイケデリックさやアシッドさがトリップしてしまいそうな感触がたまりません。

アルバムのタイトル楽曲の2「The Gipsy」は約13分にも及ぶ大作です。冒頭部や随所に盛り込まれたオルガンによるフレーズに、1「Mendle」のCarole Peggのボーカリゼーションと比べれば、コミカルさやとぼけた感覚も憶えるボーカリゼーションのBob Peggの声質と、フィドルを交えたアンサンブルは、トラディショナルな軽快なフォークさに溢れています。3分前後からはスウィングするリズム感へと展開し、1「Mendle」同様にドローンなアンサンブルや、6分10秒前後からのフィドル、フルートの各ソロのパートを挟み、9分55秒前後から冒頭部のアンサンブルへと戻ります。、11分30秒前後からはフィドルのソロ、フルート、ダルシマー、ベースなども交じり合うトラディッショナルなアンサンブルが堪能出来ます。

3「Aunt Lucy Broadwood」以降、最終曲7「All The Good Times」は、さまざまトラディッショナルなフォーク系の楽曲が並んでいます。

パーカッシブさとラップ風のヴァースに、コーラスワークが掛け合うさまが淡々と繰り拡げられる3「Aunt Lucy Broadwood」、ダルシマー、ベース、パーカッシブなリズムが交錯し合うエレクトリック・フォーク系のアンサンブルに徐々に楽器が加わり盛り上がっていく展開の4「House Carpenter」、随所に盛り込まれるギターとベースのルートを活かしたフックやタンバリンのリズム感なども印象的に、アコースティック・ギターのアルペジオをメインとしたカントリー系のアンサンブルに、Pegg夫妻によるデュエットの5「Elvira Madigan」、チェロ、フィドル、アコーディオンによるヘビーなアンサンブルの6「Dancing Song」など、1「Mendle」や2「The Gipsy」と比べれば、純粋なトラディッショナルなエレクトリック系のフォークを意識しながらも、プログレッシブ・ロックとは無縁のトラディッショナルさを重視したような印象です。

最終曲7「All The Good Times」もまた、Carole Peggがメインのボーカルにコーラスワークが交互に入り、続く3分30秒前後からのチェロのソロ、そして、フルートやフィドルが加わり、5分前後からは冒頭部のヴァースへと展開していきますが、3「Aunt Lucy Broadwood」の掛け合い、4「House Carpenter」の展開、5「Elvira Madigan」のカントリー風味を織り交ぜたような展開力があり、アルバムのクロージング曲に相応しい位置付けを感じさせてくれます。そして、それは終始、1つのメロディラインをベースに讃美歌風に展開していくからこそ、シンプルさにも心に留まってしまいます。

[収録曲]

1. Mendle
2. The Gipsy
3. Aunt Lucy Broadwood
4. House Carpenter
5. Elvira Madigan
6. Dancing Song
7. All The Good Times

アルバムの前半部と後半部で楽曲の印象が異なることや、アルバム全体でのプログレッシブな展開に占める割合が少ないこともありますが、プログレ・フォーク系を意識し、ブリティッシュ・フォーク全般を聴こうとする方には、おすすめのアルバムです。

アルバム前半部(1「Mendle」と2「The Gipsy」)には、トラディッショナルさにドローンなサウンドが交錯し合うサウンドが、サイケデリックさやアシッドさのあるプログレ・フォーク系で好きな方におすすめでし、アルバム後半部(3「Aunt Lucy Broadwood」から7「All The Good Times」まで)は、Fairport Convention、Steeleye Span、Pentangle、Albion Country Bandなど、トラディッショナルでフォーク・ロックが好きな方におすすめです。

アルバム「The Gypsy」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭曲1「Mendle」
ドローンなサウンドによるアシッド系のフォークから、さらにサイケデリックさを感じさせる展開が印象的過ぎます。

2曲目は、最終曲7「All The Good Times」
トラディッショナルさから、よりフォーク系へ結実したアンサンブルですが、そのシンプルなメロディラインが徐々に盛り上がる王道とも云える展開にも、聴いていて心地良いです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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