プログレおすすめ:Aquaplan「Old Waves New Seas」(2007年フィンランド)
Aquaplan – 「Old Waves New Seas」
第126回目おすすめアルバムは、フィンランドのプログレ・フォーク系の:Aquaplanが2002年に発表した2ndアルバム「Old Waves New Seas」をご紹介します。
女性ボーカル:Maarit Saarenkunnasをフロントに立てたバンドです。
バンド・サウンドの特徴は、全楽曲のコンポンザーを担うAri Sutinenが奏でるギターとシンセ・ギターのサウンド・メイキングに、Juha Anttila(キーボード)とPasi Korhonen(アコースティック・ギター)が透明度あるサウンドで奥行きや幅を持たせつつもフォーク寄りなタッチで「静」のアンサンブルを聴かせて、いっぽうでドラムのMarko Oikarinenとフレットレス・ベースでラウドなフレーズを弾くVille Veijalainenのダイナミックさ溢れるリズムセクションが「動」でメリハリをつけている点です。また、ジャズ系のエッセンスでフュージュン寄りのパートがありながらも、POPさもある唄メロのメロディラインが心地良いのも特徴です。
といっても、アルバムジャケットを見て感じたイメージのまま聴いて欲しいです。
「アルバムジャケット」で感じるイメージは人其々かもしれませんが、きっとイメージに沿っている。
と感じさせてくれるアルバムです。そんなアルバムに久しぶりにあったと感じました。
楽曲について
1分前後の小曲「New Sea」を冒頭曲「New Seas Part.1」と最終曲「New Seas Part.2」として配置し、アルバム・ジャケットが示す世界観をたぶんに彩っています。
冒頭曲に続く2「Lucky Me」は、ベースとドラムをメインとしファースト・タッチで変拍子で畳み掛けるアンサンブルからミステリアスなシークエンスのリフがあるものの、1分前後からのアコースティックギターやシンセによるメインとしたアンサンブルでは、小曲「New Sea」でのアルバム・ジャケットと同様なサウンドスケープを感じえます。そして、バンド結成当初から、SadeやJoni Mitchellといったジャズ系のボーカル曲でも代表的な歌手と比較されてきた女性ボーカル:Maarit Saarenkunnasのフィンランドの地特有のイントネーションやそのたおやかな声質のボーカリゼーションが聴けます。
テクニカルなリズムセクションを中心とした圧倒的なダイナミックさに、叙情性を彩るクリーントーンのキーボードとギターのアンサンブルが1曲を通じメリハリを効かせるのが素敵です。
この2「Lucky Me」の叙情さのある比重を強めたのが、シンセによるオリエンタルなニューエイジ風のシークエンスに、アコースティカルで軽快なPOPさの3「Choose」と5「Oridinary Life」ではないでしょうか。
いっぽうで、2「Lucky Me」の動のアンサンブルの比重が高いのは6「Infrequency」です。冒頭部からクリーントーンのキーボードとギターのアンサンブルに、ハイポジションでラウドなベース・ギターが時に一定のシークエンスで時にランニングするフレーズがヴァースやインストルメンタルでも印象的な楽曲です。4「Joy and Brightness」や7「Escape」を含めても、POPさよりもアンニュイでミステリアスのヴァースの唄メロだったり、3分30秒前後から6分40秒前までのパートで、トーンを変えながら代わる代わるギターとベース・ギターのソロ・フレーズに圧倒されます。聴き手によっては、Frank Zappaを彷彿とさせるギターのフレーズを感じるかもしれません。また、楽曲全体からみて、このジャズのエッセンスが濃厚に溢れたインストルメンタルなパートから6分40秒前後で突如唄メロのパートに戻り、違和感もなくアンサンブルは続いていきます。
ジャズのエッセンスやラウドなベースの音色を主体としたリズムセクションがありながらも、たとえば、2「Lucky Me」のクロージ
ング直前のアンビエント風のシンセの音色もさることながら、アルバム全篇を包み込むのは、アルバム・ジャケットが示す「日光に揺らめく水面」のイメージだと思います。アルバムは晩秋のシーズンである2007年11月に発売されていることから、肌寒い季節のサウンドスケープを魅せてくれようとしたのか定かではありませんが、暑さ真っ盛りの夏に、音の避暑にも近いサウンド・メイキングが心地良くゆったり聴けるアルバムとも思いました。
[収録曲]
1. New Seas Part.1
2. Lucky Me
3. Choose
4. Joy and Brightness
5. Ordinary Life
6. Infrequency
7. Escape
8. New Seas Part.2
たとえば、女性ボーカルのバンドであれば、イギリスのMostly AutumnやポーランドのTurquoiseなどのシンフォニック系ともプログレ・フォーク系を連想させるかもしれません。当WEBサイトでも取り上げているポーランドのQuidamも含め、女性ボーカルによるしプログレ・フォーク寄り、シンフォニック寄りのエッセンスのバンドのアルバムを聴きたい方におすすめです。
また、2003年発表の1stアルバム「Paperimeri」では、ジャズのエッセンスやポップなフィーリングだけでなく、北欧の地特有のセルティックさが融合したメロウなプログレッシブ・ロックを聴かせてくれましたが、当アルバムでは、よりメロディアスな比重も置いたネオ・プログレのエッセンスを際立たせて、従来のサウンド・メイキングによりメリハリを効かせてくれています。ジャズのエッセンスがたぶんにあることは、他シンフォニック系のバンドとは異なる特徴と思いますので、フュージュン寄りのアンサンブルで唄メロがあるプログレッシブ・ロックを聴きたい方にもおすすめです。
アルバム「Old Waves New Seas」のおすすめ曲
1曲目は3曲目の「Choose」
アルバム全篇で最も当アルバムジャケットが示す「日光に揺らめく水面」に浮遊さをイメージしたのなら、その世界観を感じるからです。また、ヴァースのコーラスワーク、メロウな唄メロ、クリーントーンを主体としたアンサンブルには、メロディを主体とした1990年代のロック・バンドが奏でる楽曲も想起させてくれます。
2曲目は6曲目の「Infrequency」
アルバムジャケットが示す「日光に揺らめく水面」に浮遊さではなく他イメージを感じざろうえない異色に溢れた楽曲で、アルバム全篇では最もジャズのエッセンス、強いてはフュージュンっぽさのあるパートが聴けることもあり、斬新だからです。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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