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プログレおすすめ:Mantric Muse「1st Album」(2012年デンマーク)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2010年‐2013年, スペース・ロック, デンマーク


Mantric Muse – 1st Album「Mantric Muse」

第127回目おすすめアルバムは、デンマークのサイケデリック/スペース系の:Mantric Museが2012年に発表した同名1stアルバムをご紹介します。
Mantric Muse「Mantric Muse」
Mantric Museは、デンマークのコペンハーゲン出身のメンバーにより1998年に結成されたバンドです。何度かメンバーチェンジを繰り返し、当アルバム発表時には、Magnus Hannibal(ギター、シンセ)、Ola Eriksson(シンセ、キーボード)、Michael Kroglun(ドラム)、Michael Kroglund(ベース・ギター)による4人編成でした。もともと、ダブやジャズなどの多様なジャンルをミクスチャしながら浮遊さのあるインストルメンタルで聴かせる前身バンドのØresund Space Collectiveもスペースロック系のサウンド・メイキングであったため、違和感なく受け止めたファンも多いことと思います。

そのØresund Space Collectiveやイギリスのサイケデリック/スペース系でも重要なバンド:Ozric Tentaclesで感じるセンチメンタリズムさもあるスリリングなインストルメンタルで聴かせてくれます。

一聴しライブ感溢れるサウンドで感じえるのは、

「アルバムジャケット」で感じるイメージに近しいイメージで包み込まれ始まる。

と感じさせてくれるアルバムです。

楽曲について

冒頭曲1「Nanoid」の出だしから感じるのは、まさに「アルバムジャケット」の世界観です。潜水艇が深海に横たわり、そばを漂う
海流にのせては聴こえ、響きあう音楽のように、心地良さのあるサウンド・メイキングを感じえます。リバーヴによる残響さとディレイによる奥行きさが楽曲の骨子となり、ジャズ系や5大プログレバンドの1つ:Pink Floydのメロウで洗練されたエッセンスでゆったりと聴かせてくれます。

2「Sindbad Søfareren」は冒頭部よりPink Floydを彷彿とさせるメロディラインに沿うように、ラウンジさもありつつ、ギターのフィードバックが中近東風にこだまするユニークなフレーズをメインとして展開する楽曲です。3分前後からの、まるで幻想映画を観ているかのようなトリップ感たっぷりのシンセによるサウンド・メイキングも圧巻です。

3「inope」は、テンポチェンジや独特なドラミングが重ねられ、残響さやディレイ感覚の起伏が激しいことで、前曲までの1「Nanoid」や2「Sindbad Søfareren」以上に、不安定さを感じさせるイマジネーション溢れる楽曲です。中間部のリバーブとディレイが効いた速弾きによるギターや、ヴォイシングのパートもアクセントに、深海に渦巻くような世界観をサウンドスケープさせてくれます。

4「Sfunx」はレイドバックしたシンセ音にトランスっぽさを感じさせてくれる楽曲です。2分前後からのリード音、左右のPANを行き交う音に、5分前後からのきりっとした音色など、多種多様なシンセの音色を駆使しながら展開する前半部に、ディスト―ションが効いたギター・ソロをアクセントにも、ミニマルなシンセのフレーズが繰り返される後半部が対照的です。

5「Azur」は2「Sindbad Søfareren」で感じえた中近東的なスケールが冒頭部から楽曲全体で感じます。シンセのアンサンブルよりも、よりギターのパートをメインに際立たせ、ノイズさも交えながらハードに聴かせる展開は当アルバムでも激しさと云う点でハイライトといえる瞬間ではないでしょうか。

6「Gnoxience」は、鳥のさえずりのようなSEと、ミニマルなフレーズを繰り返すシンセのクリアな音がアンビエントさを醸し出してくれる楽曲です。特に、冒頭から1分間の世界観は、当アルバムの楽曲のなかでも、環境音楽やα派ミュージックを彷彿させるクリエイティブを感じます。2分以降から響き渡るギターによるフィードバック音もアクセントに、終始、アンビエントさを醸し出す楽曲の展開には、水晶を通じ深海を覗いているようなサウンドスケープを感じずにはいれません。

最終曲7「Deep Sea Cheops」は、2「Sindbad Søfareren」や5「Azur」以上に、中近東風にもレンジを強調させたギターのフレーズで幕を上げ、ギターとシンセの激しさ溢れる演奏からは、アルバムの最後に相応しい緊迫さも感じさせてくれます。

ギターによるハードなタッチのプレイがありながらも、リバーヴによる残響さとディレイによる奥行きさで、大半の楽曲に、アルバム・ジャケットを彷彿とさせる深海の冷やりとした世界観は、暑さ真っ盛りの夏に、音の避暑として感じさせてくれるサウンド・メイキングが心地良いアルバムと思いました。

[収録曲]

1. Nanoid
2. Sindbad Søfareren
3. Cinope
4. Sfunx
5. Azur
6. Gnoxience
7. Deep Sea Cheops

残響さやメロウさを活かした楽曲進行からは、5大プログレバンドの1つ:Pink Floydを想起もさせてくれますが、イギリスのOzric Tentaclesはもちろんのこと、フランスのGong、フィンランドのHidria Spacefolk、ベルギーのQuantam Fantayなど、サイケデリック/スペース系のプログレッシブ・ロックのエッセンスが好きな方におすすめです。

1970年代の回顧的でもあるビンテージ系さよりも、より現代的に昇華した感があるサイケデリック/スペース系は、心地良さのあるセカイとして、サイケデリック/スペース系をはじめて聴く方にもおすすめです。

アルバム「Mantric Muse」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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