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プログレおすすめ:Anglagard「Viljans Oga(邦題:天眼)」(2012年スウェーデン)


Anglagard – 「Viljans Oga」

第168回目おすすめアルバムは、スウェーデンのシンフォニック系のプログレッシブ・バンド:Anglagardが2012年に発表した3rdアルバム「Viljans Oga」をご紹介します。
Anglagard「Viljans Oga」

1992年の1stアルバム「Hybris」と1994年の2ndアルバム「Epilog」と順調にアルバムを発表しながらも、1996年にライブ・アルバム「Buried Alive(邦題:生き埋め)」を発表後、突如、バンドは解散してしまいました・・・。

当アルバムは、Mattias Olsson(ドラム、パーカッション、ノイズ)、Thomas Johnson(ピアノ、メロトロン、シンセ)、Jonas Engdegard(ギター)、Anna Holmgren(フルート、サックス)、Johan Brand(ベース、タウラス)の5人に、チェロ奏者:Tove Tornberg、クラリネット兼バリトン・サックス奏者:Daniel Borgegard Alga、管楽ベース系(チューバ、トランペット、コントラバス)奏者のUlf Akerstedtの管弦楽器奏者が参加しています。

管弦楽器を交え、高度なテクニックに裏付けされた複雑な展開を示す楽曲は、緊張感が溢れ、陰鬱さに抒情さが仄かにも与えるアンサンブルで魅せてくれるため、そのサウンドには、5大プログレバンドのうち、第1期King Crimsonの「Lizard」や「Island」などをまず脳裏に浮かべてしまいます。

1995年の突然の解散に当時のファンは溜息を漏らしていたことでしょう。そして、2012年になんと17年振りに当アルバムが発表されるや心にざわめきを憶え、アルバムを手にした方もいらっしゃるかと思います。そう、

複雑な展開のアンサンブルは変わることなく、これまで以上に先を読めないサウンド

が溢れ、ただただその音楽にどっぷりと浸るだけで良かったんです。17年の空白なんて微塵も感じさせないバンドの揺るぎないクリエイティビティを強く感じさせてくれるでしょう。

楽曲について

フルートの独奏に、続いてコントラバスが並奏し幕を上げる冒頭曲1「Ur vilande」は、順を追って加わるギターやタウルスも含めたアンサンブルに、陰鬱さと仄かな抒情性を醸し出しながら楽曲は展開していきます。4分前後に、ディスト―ション・ギターによるフレーズとともに、メロトロンも印象的な動のパートへと移行します。それでもなお、暗く寂しげな森の中を彷徨うかのようなサウンドスケープを感じてしまうのは、大きく2つの特徴から云えるかもしれません。1つ目は、ポップさを拒絶し、先の見えない楽曲構成である点です。そして、2つ目に、同国で比較されることもあるAnekdotenと比べて、エッジを効かせたり轟音を轟かせるギターは抑え、メインのアンサンブルにメロトロン比重をそれほどおかず、各楽器が奏でるジャズ系のエッセンスもあるチェンバーロック的にもテクニカルさで聴かせてくれる点です。楽曲途中でヘヴィーなパートへ移行しようとも、ただただ混沌とした深みに足を踏み入れた感覚を憶えてしまうんです。従来のAnglagardのファンは、約16分にも及ぶ当楽曲を聴くことで、17年の月日を過ぎてもその音楽のクオリティは維持され、普遍なるサウンド・メイキングを実感していると思います。

2「Sorgmantel」もまた冒頭曲1「Ur vilande」と同様に、フルートの独奏から幕を上げ、1つの楽器がテーマとなるメロディを奏でれば、他楽器が衛星状に絡み合うアンサンブルが楽しめます。各メンバーがミニマルにもユニークにも変拍子を織り交ぜテクニカルなフレーズでアンサンブルを繰り広げるさまは、3「Snardom」や最終曲4「Langtans klocka」でも同様です。

3「Snardom」は冒頭部からギターやフルートがヘビィーなアンサンブルが緊張感とともに展開していきますが、プログレ・フォーク系以前の北欧のラジカルさやトラディッショナルなスタイルに、ハードなアプローチも交えつつ、スキルフルかつテクニカルに各楽器を奏でていると思います。8分20分前後からの静寂さあるメロウな展開は、動から静のダイナミックな展開ではなく、忙しさから仮初の安らぎ(刹那さ)に染み入ります。その8分20秒前後からクロージングに向けてハードなアプローチへじわじわと戻る展開や、最終曲4「Langtans klocka」の4分50秒前後からの起伏あるハードなアプローチが浮沈を繰り返す展開には、King Crimsonの名曲「Lizard」の「b. Bolero – The Peacock’s Tale(邦題:ピーコック物語のボレロ)」や「c. The Battle Of The Glass Tears(邦題:戦場のガラスの涙)」などの混沌ととしたアンサンブルを彷彿とさせてくれます。

アルバム全篇、同国スウェーデンのAnekdotenと同様に、北欧のバンドが持つ薄暗さを維持しながらクロージングまで貫き、聴かせてくれます。さらに、当バンドが持つ、聴き手に楽曲の予測すら許されない楽曲の構成力は、気が付けば、ただただ聴き入ってしまうにちがいありません。

[収録曲]

1. Ur vilande
2. Sorgmantel
3. Snardom
4. Langtans klocka

やはり引き合いにだされることが多い同国スウェーデンのAnekdotenと同様に、5大プログレバンド:King Crimsonを彷彿とさせてくれますが、Anekdotenが俗に云う第2期King Crimsonの「メタル・クリムゾン」に比重が高いのに対し、室内音楽系やチェンバー系のエッセンスによるアンサンブルに混沌としたテクニカルさを求めたら、きっと辿りつくであろう第1期King Crimson後期のアルバム(3rdアルバム「LIzard」、4thアルバム「Islands」)を好きな方におすすめです。

また、1970年代のKing Crimsonに代表される薄暗さと抒情性でインストルメンタルな楽曲が好きな方にもおすすめです。当アルバムではじめてAnglagardを知った方は、名作となる1stアルバム「Hybris」や、より室内音楽系やチェンバー系のエッセンスを感じさせる2ndアルバム「Epilog」にも手を伸ばしてみたらいかがでしょうか。

アルバム「Viljans Oga」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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