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プログレおすすめ:King Crimson「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」(1969年イギリス)


King Crimson -「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」

第120回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:King Crimsonが1969年に発表した1stアルバム「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾンキングの宮殿)」をご紹介します。
King Crimson「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」
衝撃的なデビュー作!プログレッシブ・ロックの「幕開け」の1枚にして、ロックの「未来」のカタチを急激に加速させた名盤です。

1969年当時、同国のThe Beatlesの実質上ラストアルバムとなる「Abbey Road」をチャート1位からひきずり落とした(本来は一部でチャート5位を記録したが、どのチャートでも1位になったという記録はなさそうです。)というエピソードは、当アルバムの話題性の1つだったかもしれませんが、収録全5曲に溢れる音楽のエッセンス、アイデア、創造性には、ジャズやクラシックのエッセンスを織り込みながらも、独自性のあるクリエティビティを魅せてくれます。

アルバムの独自性のある世界観には、アートワークも歌詞も欠かせない存在です。Barry Godver自身が描いた自画像の世界観を拡げてアルバム・ジャケットは制作されています。歌詞は、専門の作詞家として、ライブを演出する照明担当として、以降のアルバムでも欠かすことの出来ないPeter Sinfieldが担っています。アルバム発売の翌年にBarry Godverが急逝してしまうことや、楽曲「(邦題:エピタフ(墓碑銘)」の一節「Confusion will be my epitaph.」の和訳「混乱こそ我が墓碑銘」のフレーズなどに、ロック史上にアルバムそのモノを際立つ存在感であることも頷けます。

当アルバムは、Robert Fripp(ギター)、Ian McDonald(キーボード、フルート、サックス)、Greg Lake(ボーカル、ベース)、Michael Giles(ドラム、パーカッション)Peter Sinfield(詩、照明)の5名で制作されています。

音楽ジャンルの特徴に、前述のジャズやクラシックのエッセンスがひろく反映されています。しかし、耳に入る「音」としての印象に、1973年以降の第2期King Crimsonのベースともなるメタリックさや鋭角さのあるメタルの先駆性、Ian McDonaldがもたらしたメロトロンや管楽器(サックス、フルートなど)のフレーズが醸し出す抒情性、「音」としての静と動のメリハリにメロディラインを活かすGreg Lakeの唯一無比でいてボーカルも「楽器」の一部ともあらてめて感じさせてくれるボーカリゼーションには、日本人好みのエッセンスが溢れています。

レコードやCDの販売店や、インターネットで一見すると、取っつきにくいアルバム・ジャケットかもしれませんが、

はじめてプログレッシブ・ロックを聴く方にも触れて欲しい1枚

です。

楽曲について

未来への不安さや不穏さを煽るような静かなるSEで始まる冒頭曲「21st Century Schizoid Man(邦題:21世紀のスキッツォイド・マン)」は、Robert Frippのヘビーなエッジのギターに、Ian McDonaldのサックスが絡み合うイントロには「狂気」という言葉が似つかわしく、4分の4拍子と8分の6拍子で構成されたヴァースのアンサンブルに、拡声器を通じたGrek Lakeのボーカリゼーションが聴ければ、息をつく暇もなくただただ圧倒されます。フリーテンポを交えながら、執拗もなく繰り返されるギターとサックスのリフの応酬に、メタル性やアヴァンギャルド性のプログレのエッセンスを知らぬ人が聴けば、今にも噴火しそうなマグマの吹き溜まりに暴力的とも感じる楽曲に何かを感じることは間違いないでしょう。

21世紀への絶望さを綴ったPeter Sinfieldにも、楽曲の「音」としての印象に色を添えるが如く、インパクトを与えているのは間違いありません。

もしかすると、続く2「I Talk To The Wind(邦題:風に語りて)」も3「Epitaph(邦題:エピタフ(墓碑銘)」も4「 Moonchild(邦題:ムーンチャイルド)」も5「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」を聴くまでもなく、King Crimsonの音楽から離れてしまう方もいるのではないかと思います。

プログレッシブ・ロックが確立させる幕開けの1曲として受け止めきれない動的な緊迫感に影響された現代のプログレッシブ・ロックバンドがあるのも事実なんです。

アルバムを続けて聴いてみて下さい・・・。

フルートのソロ・フレーズによるイントロ部に、寂寥感や刹那さを憶えながらも冒頭曲「21st Century Schizoid Man」のSEと比べ、何故だか安堵してしまう2「I Talk To The Wind」は、フルートとメロトロンによるアンサンブルに、Greg Lakeのボーカリゼーションが醸し出す抒情性に身を委ね聴き入ってしまいます。Michael Gilesのドラミングは楽曲のタイトルの一部「The Wind」を連想させるにも十分に、心へ染みわたるように、柔らかなで軽やかなタッチを聴かせてくれます。4分30秒前後にイントロ部のように際立つフルートのソロ・フレーズとともに、クロージングに向けて落ち着いた佇まいで重ねられるフルートとドラムをメインとしたインプレゼーションも含め、たおやかで素敵な仕上がりです。

3「Epitaph」は、メロトロンの比重が増したアンサンブルや、Greg Lakeの哀感のあるボーカリゼーションだけでなく、Michael Gilesのドラミングやパーカッシブさが楽曲を劇的に彩り、儚くもドラマチックに聴かせる楽曲です。絶望さ溢れる歌詞感にマッチングしたサウンド・メイキングといい、目を瞑って聴けば、サウンドスケープたるや心に溢れだし、掻き毟られる想いになってしまいますよね。Greg Lakeが「crying」と繰り返すフレーズには「見えない明日」への想いが、冒頭曲「21st Century Schizoid Man」とは異なるカタチで伝わってきそうです。

4「Moonchild」は、物悲しくもメロディアスな唄メロのメロディラインの前半部と、アルバム全楽曲で最もジャズのインプロビゼーションを明確にも聴かせる後半部で印象的な楽曲です。前半部のメロディラインには物悲しくてもキャッチ―であり、淡々としたアルペジオのギターとMichael Gilesのシンバル類のきめ細やかなフレーズをメインとしたアンサンブルを主体としたヴァースを聴けば、独り口笛をしているかのようなサウンドスケープを魅せてくれます。2分前後から霞がかったメロトロンによるサウンド・メイキングには、現代のポスト・ロックに十分な影響を与えたであろう残響さを感じえますね。続き展開される約10分にも及ぶ後半部のギターとドラムをメインとしたインプレゼーションには、無音を含め、当アルバムに溢れる緊張感をつい忘れてしまいます。何を想って、この後半部はインプレゼーションを構築していったのかと考えながら聴いているうちに、クロージング曲「In The Court Of The Crimson King」へと繋がっていきます。

最終曲「In The Court Of The Crimson King」は、3「Epitaph」と同様にメロトロンやドラムをメインとしたドラマチックな楽曲です。いっぽうで、後年7thアルバム「Red」でより洗練された叙情さを聴かせる「Starless」のように、尊厳ともいうべきドラマチックさをテンポチェンジも入れながら聴かせてくれたり、4分15秒前後のフルートによるソロ・フレーズに、ベース・ギター、ドラム、ピアノがじわじわと絡み合うパート、7分30秒からのティン・ホイッスルのようなサウンド・メイキングのパートなどを交えながら構築されるシンフォニックさには、メロウなアンサンブルとは対をなす衝撃さを感じますよね。

不穏なSEで幕を上げる冒頭曲から、不協和音でクロージングするまで最終曲まで、全篇1つ1つの音に緊張感に満ちたアルバムです。

[収録曲]

1. 21st Century Schizoid Man including Mirrors(邦題:21世紀のスキッツォイド・マン)
2. I Talk To The Wind(邦題:風に語りて)
3. Epitaph including March For No Reason and Tomorrow And Tommorow(邦題:エピタフ(墓碑銘))
4. Moonchild including The Dream and The Illusion(邦題:ムーンチャイルド)
5. In The Court Of The Crimson King including The Return Of The Fire Witch and The Dance Of The Puppets(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)

当アルバムの楽曲はロックの名曲として認知される楽曲ばかりですので、これからプログレッシブ・ロックを聴く方、または当アルバムをまだ聴いたことがない方にも、おすすめです。

当アルバムを発売後、サウンド・メイキングの一端を担ったIan McDonaldが脱退してしまいますが、当アルバムで感じえる叙情性や刹那さ溢れる唄メロなどは、以降のアルバムでも引き続き1つの要素として展開していきます。または、当アルバムに影響を受け、プログレッシブ・ロックバンドを結成するバンドや、プログレのエッセンスを含めた楽曲やアルバムを展開するミュージシャンが出現します。プログレッシブ・ロックの試金石として、ぜひ聴いて欲しいアルバムです。

当アルバムでKing Crimsonの「抒情性」と云う点で好きになった方は、1970年発表の2ndアルバム「In The Wake Of Poseidon(邦題:ポセイドンのめざめ)」とMcDonald & Giles名義の同名アルバム「McDonald & Giles」、1997年発表の当King Crimson1期の公式ブートレグで1997年発表のアルバム「エピタフ Vol.1-Vol.4」を手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。「狂気さ」やメタリックさには、1973年発表のアルバム「Larks’ Tongues In Aspic」以降のking Crimsonの第2期のアルバムもいかがでしょうか。

「In The Court Of The Crimson King」のおすすめ曲

1曲目は2曲目「I Talk To The Wind」
メロトロンのイメージが強い楽曲に思い入れがあるため、はじめて聴いた時には素朴な楽曲との印象が強かったのですが、流麗なフルートのソロ・フレーズとドラミングを聴いていると、当アルバムの他楽曲とはかけ離れて、翳りはあるがたおやかで明朗さもあるサウンドスケープが感じえて素敵だからです。

2曲目は3曲目「Epitaph」
2015年現在、Ian McDonaldの唯一のソロ・アルバム「Driver’s Eyes」の哀感のあるスローな楽曲の唄メロのメロディラインを聴くことで、あらためて当楽曲の持つメロディラインの骨組みにはIan McDonaldらしさが溢れていると感じるんです。King Crimsonの2ndアルバム以降にはほぼ参加していないIan McDonaldの存在に、もしもメンバーであり続けたとしたら、さらにどんな哀感のある楽曲が生まれていたのだろうか、と考えてしまうからです。また、そのような妄想を抜きにしても、哀感、哀愁さ、刹那さ、溢れる楽曲は素敵なことに変わりはありません。

下記でIan McDonaldの1999年発表のソロ・アルバム「Driver’s Eyes」を紹介しています。
プログレおすすめ:Ian McDonald「Driver’s Eyes」(1999年イギリス)

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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