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プログレおすすめ:Asia「Aria(邦題:天空のアリア)」(1994年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 1990年代, イギリス, メロディック・ハード ,


Asia -「Aria」

第156回目おすすめアルバムは、イギリスのバンド:Asiaが1994年に発表した5thアルバム「Aria」をご紹介します。
Asia「Aria」
Asiaの5枚目にあたるアルバム「Aria」は、ボーカルがJohn WettonからJohn Payneに代わる、俗に第2期Asiaとしてのアルバム「Aqua」に続くアルバムです。

4thアルバム「Aqua」では、第1期Asiaからのオリジナル・メンバーであるSteve Howe(ギター)とCarl Palmer(ドラム)は制作に参加していましたが、当アルバムでは、遂にオリジナルメンバーはGeoffrey Downesのみとなってしまいます。
バンドの音楽性の特徴は、Geoffrey Downesの音楽的嗜好が最も反映されてると思うかもしれませんが、4thアルバム「Aqua」でもJohn Payne(ボーカル)によるハードロック的なアプローチは新機軸に感じえました。

当アルバムでは、アメリカ人のAl Pitrelli(ギター)とMichael Sturgis(ドラム)を新たなメンバーに迎え、前作「Aqua」では、明確に分かれていたハードロック的な楽曲とブリティッシュ情緒も溢れる楽曲の基軸が昇華し合った印象です。さらに、第2期Asiaらしさ溢れるメロディのフックに富み、一聴し、メロディックなハードロック風と感じさせてくれますが、プログレ・ハード的なアプローチも感じるサウンド・メイキングに仕上がっています。

第1期Asiaとは異なるが、メロディックでダイナミックにハードなアプローチが聴けるアルバムとして、好アルバムと思います。

楽曲について

冒頭曲「Anytime」は、ソウルフルなJohn Payneのボーカリゼーション、ミニマルな鍵盤のリフからシンセの音色などの様々なパターン、ストレートにエッジの効いたギターのフレーズ、メロディアスな唄メロなど、第1期Asiaのヒット曲(「Heat Of The Moment」、「Don’t Cry」「Go」など)とアプローチは異なるけれども、同様にコンパクトに纏められたキャッチ―な楽曲で、メタリックな質感の備わったパワーメロディとも捉えられる仕上がりです。第1期Asiaと同じバンドとして考えずに聴けば、ドラマチックさある展開に魅了されると思うんです。

そのドラマチックな楽曲の構成の一部として、4thアルバムではストレートにエッジの効いたギターの楽曲はロック然とした楽曲で違和感があったアンサンブルも、2「Are You Big Enough?」や6「Don’t Cut The Wire (Brother)」のタイトなリズムや8「Remembrance Day」のエッジの効いたギターなど、1つの楽曲にうまく融合しているように思います。

また、Geoffrey Downesがメインで濃厚と感じさせるのは、いずれの楽曲のサビ部にもGeoffrey Downesが関与しているようなフックを感じさせてくれるところでしょうか。ソウルフルにも静から動へ情感たっぷりに展開する3「Desire」、5「Sad Situation」や、ややアンニュイにもクールな情感さのある4「Summer」、7「Feels Like Love」など、プログレッシブ・ロック然としたアプローチは減ったけれども、アルバム全篇に満ち溢れたJohn Payneのボーカルを活かすようなドラマチックさはアルバム全篇に統一感も感じさせてくれます。

いっぽうで、第1期Asiaを想起させてしまうとすれば、10「Military Man」のイントロ部のキーボードによる印象的なフレーズ、ヴァースの唄メロのメロディラインなどでしょうか。個人的に、名曲「Only Time Will Tell」や楽曲「Never In A Million Years」などを彷彿とさせるメロディラインが聴けることで、ふと第1期Asiaを脳裏を掠めてしまいます。それでもJohn Payneのソウルフルなボーカリゼーションにマッチングしたパワーを感じえるダイナックさは第2期Asiaの特徴の1つとして聴きたいと思わせてくれるし、第1期Asiaの楽曲のアンサンブルを彩るキーボードを駆使するGeoffrey Downesも鍵盤のアプローチ(音色、フック、メロディ感)は絶えず進化していると思うからです。

当アルバムに統一感を強く感じさせてくれるように、最終曲「Aria」は、他アルバムでのアルバム・タイトル楽曲(Aqua、Arena、Aurora)にはないボーカル曲としてのアプローチと、3「Desire」のリプライズで聴かせてくれます。

[収録曲]

1. Anytime
2. Are You Big Enough?
3. Desire
4. Summer(邦題:最後の夏)
5. Sad Situation
6. Don’t Cut The Wire (Brother)
7. Feels Like Love
8. Remembrance Day(邦題:TOWA NO TOKI~永遠の瞬間~)
9. Enough’s Enough
10. Military Man(邦題:時空の戦士)
11. Aria(邦題:天空のアリア)

大らかなアメリカン・プログレ・ハードからテクニカルな要素を取り除いたイメージと思い、ハードなアプローチによるメロディアスでダイナミックさのある音楽が好きな方におすすめです。

John Payneのソールフルで熱をはらんだようなボーカリゼーションに癖を感じてしまう方もいるかと思いますが、第1期Asiaを所謂『王道「Asia」』と思う先入観を捨てて、聴いて欲しいアルバムです。

当アルバムを聴き、第2期Asiaを好きになった方は、当アルバムのアプローチの楽曲も聴ける1992年発表の前作3dアルバム「Aqua」や2004年発表の7thアルバム「Silent Nation」もおすすめです。

アルバム「Aura」のおすすめ曲

1曲目は、10曲目の「Military Man」
第1期Asiaのサウンドやメロディのアプローチを思い出させてくれながらも、John Payneのボーカルで聴きたいと感じる素敵な楽曲と思うからです。

2曲目は、7曲目の「Feels Like Love」
静と動のアプローチにドラマチックな展開ながらも、他楽曲よりも複数に分かれた緩急のあるヴァースやフックがあるからです。サビ部手前でいったん緩める、穏やかさも感じえるパートがとても印象的で、第1期Asiaにはないクオリティの高さを感じました。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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