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プログレおすすめ:Asia「Asia(邦題:詠時感~時へのロマン~)」(1982年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 1980年代, イギリス, メロディック・ハード , , , ,


Asia -「Asia(邦題:詠時感~時へのロマン~)」

第157回目おすすめアルバムは、イギリスのバンド:Asiaが1982年に発表した1st同名アルバム「Asia」をご紹介します。
Asia「Asia」
プログレッシブ・ロックのみならず、過去に数々の名盤や傑作のアルバムや楽曲を発表してきたミュージシャンが集い新たなグループを組むということは珍しくはありません。それでもAsiaの4人(Geoffrey Downes、Steve Howe、Carl Palmer、John Wetton)が集うことは、1980年当時、大いにスーパーグループとして注目されたことかと思います。

1980年発表のアルバム「Drama」以後、Yesのメンバーとして活動を続けていくか岐路に立たされていたGeoffrey Downes(キーボード)とSteve Howe(ギター)に、当時のYesのマネージャーが、King Crimson、Uriah Heep、Wishbone Ash等の錚々たるバンドを渡り歩き、自身のトリオバンド:UKを結成し解散していたJohn Wetton(ベース兼ボーカル)を引き合わせ、その後、元Emerson, Lake & PalmerのCarl Palmer(ドラム)が加わって、バンドは軌道に乗り出します。

おそらくアルバムを聴くまでは、イギリスの5大プログレバンドのいずれかに参加していたことがある4人の経歴や、UKの存在からも、1970年代の長尺で複雑なアプローチのプログレッシブ・ロックを追及するイメージがもたれたのではないかと思います。

自分はアルバムのライナーノーツから読み解くことや、John WettonのUKでのアプローチからも自然の成り行きとして聴き受け入れることが出来ました。というより、当アルバムをリアルタイムで聴いたわけではないので、

「プログレッシブ・ロックのエッセンスを3分半にコンパクトに纏めた楽曲」と知りながら、当アルバムに出逢いました。

それでもなお、奥行きのあるサウンドのパノラマとメロディアスでファンタジックさあるプログレハードな感覚に衝撃を受けました。

楽曲について

イントロ部のコード一閃によるギターのストロークで幕を上げる冒頭曲「Heat Of The Moment」は、第1ヴァースでもそのまま変拍子を持続させながら、印象的なアンサンブルを重ねていく楽曲です。サビ部でのギターによるアルペジオ、メンバーによるコーラスワークなど、キャッチ―でポップさあるメロディラインには、それまでの4人のファンは衝撃だったかと思いますが、情報のみを知り、過去の音楽を何も知らず聴いた自分にさえ衝撃でした。聴けば聴き込むほどに、特に、Steve Howeの中間部でのスティール・ギターのフレーズとクロージング直前でのソロなど、どう聴いてもSteve Howeにしか成せないアプローチにただただ聴き入っていましたね。もちろん、John Wettonのクリーンで高音の伸びやかなボーカル、Geoffrey Downesに楽曲に色を添えるリズミカルでメロディアスな鍵盤のアプローチ、Carl Palmerのエンディングパートでの畳み掛けるタイトなドラムなど、普通に聴いても衝撃的過ぎる音楽に触れてしまった、と思いました。

2「Only Time Will Tell(邦題:時へのロマン)」は、前曲「Heat Of The Moment」に並ぶ衝撃を受けるに十分な楽曲で、力強くメロディアスなテーマをキーボード、ギターが奏で、奥行きを感じさせる第1ヴァースの展開に、ただただ高揚感を隠せずにいられなくなって聴き入ってしまいます。その第1ヴァースでボーカルの唄メロにカウンターメロディで奏でられていたキーボードのパートは、第2ヴァースでコーラスに置き換わるサウンド・メイキングには溜息をつかずにいられませんね。たった分強の尺の中で、カウンターメロディを活かしたヴァースに「音の隙間」を巧みに活かすクリエイティビティは、モータウン系のアプローチを根底に感じずにいられません。

3「Sole Survivor」は、John Wettonの艶やかでメロウな唄メロが特徴の楽曲ですが、イントロ部のギター、ベース、キーボードによる変拍子のユニゾンや、クロージング直前でのツー・バスの16分連打など、プログレッシブ系のエッセンスに、ハードなアプローチを交えたアンサンブルは圧巻です。

4「One Step Closer」もまた、サブ部の「One Step Closer」などだけでなく、終始、メインボーカルに寄り添うハミングするコーラスワークの清涼さを感じる唄メロに耳を奪われがちだが、イントロ部のミステリアスなキーボードのフレーズ、メインのテーマ直前での各楽器のユニゾンのプレイや、ヴァースでのグロッケンの音色のようなコロコロした音を交えたアンサンブルなど、様々なアプローチが聴けます。

5「Time Again」は、ギターとベースのユニゾンが、3段階のテンポチェンジを繰り返しながら途中で小休止も入れたり、キーボードもハープシコードやブラスの音色を使い分け彩りを加え、メリハリが効いた複雑なイントロ部にまずは耳を奪われてしまいます。以降そのイントロ部のテンションやクオリティは持続していきます。ヴァースでの唄メロに合わせたギターのカウンター・メロディ、コーラスワークの使い分けなども含め、当アルバムでのAsiaの楽曲の特徴とも云える、繰り返されるヴァースでは同じ演奏のアプローチをしない印象を強く感じさせてくれる楽曲です。

6「Wildest Dreams(邦題:この夢の果てまで)」は、メロディアスで力強い唄メロを活かすように、他楽曲以上にタイトなリズムが活きた楽曲で、「Fly away」の一節に続く2分50秒前後のテクニカルなギター・ソロや、4分前後のドラム・ソロなど、憂いを帯びたメロディアスなイメージに畳み掛けるダイナミックな展開には、前曲5「Time Again」と同様に圧倒されてしまいます。

7「Without You」は、ドラムのリズムがタイトにパワー・バラードともいえる展開が聴ける楽曲です。繰り返される刹那さ溢れる唄メロのメロディラインだけでなく、5「Time Again」とは楽曲の骨子は異なるものの、終始、楽曲の主役はギターの奏でるメロディであるかのように縦横無尽にギターを弾くSteve Howeのプレイが聴きどころと云えます。

8「Cutting It Fine(邦題:流れのままに)」は、アコースティック・ギターによる軽快なフレーズで幕を上げ、そのままエレクトリック・ギターによるアプローチへと変わり、5「Time Again」と7「Without You」を足して2で割ったような、抒情さとテクニカルさが交互に繰り返される切迫さに、心が掻き毟られてしまいそうな想いになります。そして、3分20秒前後からのリリカルなピアノのフレーズと、ブラスが重なり合いクロージングまで続くパートには、当アルバムの中でもひとときの安堵を感じてしまうかもしれません。

高らかにシンセがテーマを掲げてはじまる最終曲9「Here Comes The Feeling(邦題:ときめきの面影)」は、ヴァースのピアノのミニマルなフレーズをメインのアンサンブルに展開される唄メロの憂いさに、イントロ部のシンセのテーマをなぞるかのような「Here Comes The Feeling」の一節も含むサビ部の唄メロの爽快さが、かえって開放的にも感じ晴々とアルバムをクロージングするに相応しいメロディラインを持った楽曲と思いました。

1980年前後に、日英混合バンド:ForeignerやアメリカのStyx、REO Speedwagonに代表される「産業ロック」と云われる音楽がブームが起こり、Asiaも同類だという声が上がったり、プログレッシブ・ロックの生粋のファンからは敬遠されることもあったそうです。それでも、ポップでコンパクトに纏められた楽曲には、聴き込めば聴き込むほどに、1ヴァース単位や1テーマ単位で様々なアプローチを盛り込み、同じアプローチは繰り返さない姿勢を感じえるプログレッシブのエッセンスが感じえるんです。約3分半という楽曲の尺の情報量の少なさやポップさから感じられる先入観を捨てて、しっかりと耳を傾ければ、どっぷりと惹き込まれる素敵なクリエイティビティに溢れたアルバムと思います。

[収録曲]

1. Heat Of The Moment
2. Only Time Will Tell(邦題:時へのロマン)
3. Sole Survivor
4. One Step Closer
5. Time Again
6. Wildest Dreams(邦題:この夢の果てまで)
7. Without You
8. Cutting It Fine(邦題:流れのままに)
9. Here Comes The Feeling(邦題:ときめきの面影)

全米アルバム・チャート1位を9週間連続で獲得した大ヒットアルバムというだけでなく、ロックの名盤としても取り上げることがあるアルバムです。コンパクトさ、キャッチーさ、ポップさをキーワードにぜひ聴いて欲しい1枚です。

当アルバムを聴き好きになった方は、2ndアルバム「alpha(アルファ)」もぜひ聴いてみて下さい。

楽曲「Here Comes The Feeling」の記憶と分かれ目

実は、John Wettonは、当楽曲をフランスのプログレッシブ・バンド:Atollの一員として、前年1981年にアルバム「Rock Puzzle」に収録していました。収録した、といっても、当時、John WettonはAtollに参加していたかもしれないのです。しかし、「Here Comes The Feeling」をはじめとする楽曲を録音後、レコード会社との契約問題やタイミングも重なり、結局、John WettonはAsiaの一員としてデビューすることになったそうです。本当にAtollの一員として、John Wettonがデビューしていたら、Asiaとしてのデビューがなかったかもしれません。

また、楽曲「Here Comes The Feeling」には忘れらない想い出があります。当アルバム「Asia」を高校生の時に購入しました。ただ、購入後CDプレーヤーで聴くまでの間に、不幸にもCDを落とし盤面を傷つけてしまい、その代償は最終曲「Here Comes The Feeling」がイントロから20秒前後まで到達すると、音飛びし演奏エラーが起きることでした。当時は、同じCDを2枚を買うことに気が退けて、数年間この楽曲の全貌を知らず、他のAsiaのアルバムを買っては過ごしていた記憶があります。数年後、あらためてCDを再購入し、当楽曲をはじめて聴いた時は衝撃でした。他のAsiaのアルバムにはない、当アルバムの楽曲だからこそのクオリティに溢れていて、そのクオリティに触れずに過ごした数年に後悔を感じにいられませんでした。

そんなプログレな気持ち。みなさんはいかがですか?

アルバム「Aura」のおすすめ曲

1曲目は、2曲目の「Only Time Will Tell」
メインのテーマを唄う唄メロとカウンター・メロディとしてのコーラスワークが、時に合奏、時に輪唱とも取れる展開に、心地良さを感じたからです。

2曲目は、5曲目の「Time Again」
アルバムの中では、コンパクトに纏め上げられた最もプログレッシブ・ロックらしさを感じさせてくれる楽曲というだけでなく、1曲を通じた緊張感を維持しつつ、ギターをメインにリズムチェンジ、小休止を重ねユニゾンするパートやギターだけのソロ、ブラスのパートなど、個々人のメンバーのスキルフルさが素晴らしいからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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