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プログレおすすめ:ASIA「Alpha(邦題:アルファ)」(1983年イギリス)


ASIA -「Alpha(邦題:アルファ)」

第32回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:ASIAが1983年に発表した2ndアルバム「Alpha(邦題:アルファ)」をご紹介します。

ASIA「Alpha」(邦題:アルファ)
1982年発表の1stアルバム「ASIA(邦題:詠時感~時へのロマン)」の次にあたるアルバムです。
ボーカルにjohn Wetton(元King Crimson~Uriah Heep~Wishbone Ashなど)、キーボードにGeoffrey Downes(元The Buggles~YES)、ドラムにCarl Palmer(元Emerson, Lake & Palmer)、ギターにSteve Howe(元YES)による4人でバンドを結成しています。

とかく1stアルバム「ASIA」と比較される。

セールス、全米順位、楽曲によるバランス配置された作曲クレジット、プログレ臭とプログレハード感、コンパクトネス、ギターの印象度、などなど。2ndアルバム「Alpha」は、ボーカルのjohn WettonとキーボードのGeoffrey Downesの2名が主導で制作され、プログレハード感のあるコンパクトな哀愁漂う楽曲群のアルバムともいわれています。結果的に、ギターのSteve Howeは脱退してしまい、その有終の美を飾るような楽曲が見受けられないのではないかという印象があるそうです。

なら、この2ndアルバム「Alpha」は駄作なのか?との問いかけをされたら、リアルタイムで聴いていない自分でもそう言いきりたくないんです。1stアルバムは素晴らしすぎる。2ndアルバムも素晴らしい。と思うんです!
シングルともなった1「Don’t Cry]と2「The Smile Has Left Your Eyes」のカップリング曲(「Daylight」「Lyin’ To Yourself」)も合わせて聴けば、この時期の完成度の高い楽曲の良さの数々を感じるんです。

年々発表されるアルバムに、1stアルバム「ASIA」だけでなく2ndアルバム「Alpha」のような楽曲も聴きたい!というファンの方、同じようにいらっしゃいませんか?そう思う方がいたら、きっとこの2ndアルバム「Alpha」のファンですね。
聴けば聴くほど、2ndアルバムには素敵なエッセンスが溢れているんです。

楽曲について

冒頭曲1「Don’t Cry」は、ピアノとハープシコードの音色を左右のレンジで前拍でリズミカルに奏でれるGeoffrey Downesと、スティールギターによるSteve Howeのイントロが印象的な楽曲です。聴き手にはキャッチーでドラマチックに聴かせながらも、左右で音色を分けたキーボードによる音の妙や、通常のギターではフレットのない箇所をボトルネック奏法など技術力と機材という観点で駆使する姿勢はプログレッシブ・ロックを経験してきたメンバーだから可能にさせたクールさと感じました。もちろんイントロだけではく、ヴァースでディレイを効かせたストリングス、ミドルでグロッケンを利用したさりげないGeoffrey Downesのキーボード奏法や、サビ後半部のギターとベースのユニゾンも耳に残ります。ただしライブ音源でよく聴かれるエンディングのギターソロのパートは聴けないため、ライブ音源を聴くことで、よりこの楽曲の魅力が伝わるのではないかと思います。

2「The Smile Has Left Your Eyes」は、当アルバムで唯一john Wettonの作曲による楽曲です。キーボードを基調としたバラードスタイルの楽曲ですが、バラードにありがちな優しげな弾き語りでなく、クレッシェンドが効いた弾き方が印象的です。また、サビ後半部でSteve Howeがミュート気味に16分拍子で変則的に弾くフレーズにも驚かされます。そのフレーズはYES時代も含め、Steve HoweらしさとしてASIAのサウンドの特徴の1つとも感じてます。ただし当楽曲もライブ音源ではCarl Palmerのドラムの強弱による静(パート1)と動(パート2)でメリハリを効かせた構成となっており、ライブ音源も必聴ですね。

3「Never In A Million Years」は、ASIAの1つの特徴であるコード進行の途中から楽曲が開始したり、哀愁のあるコーラスがサビに溢れた楽曲です。そのサビに色を添えるGeoffrey Downesのこまかなグロッケンの音色を耳を澄まし聴いてると、穏やかさあるブリティッシュ・ポップさのある楽曲と思うんです。

4「My Own Time (I’ll Do What I Want)」は、イントロから終始弾かれるSteve Howeのアコースティックギターのフレーズが素敵な楽曲です。2ヴァースから入るCarl Palmerの2拍のドラムも良いアクセントとなり、サビで解放されたメロディセンス、ASIAらしいブリッジ、クロージングに向けたキーボードのホーンセクションの音色、Steve Howeのギターソロなど、個人的に当アルバムで歌詞も含め大好きな楽曲です。少しプログレハード的なサウンド感もあるかもしれません。

5「The Heat Goes On」は、ギターがイントロやヴァースでアクセントをつけるフレーズだけでなく、Geoffrey Downesのハモンドオルガンによるソロの応酬が緊張感や切迫感を駆り立てる楽曲です。ヴァースのキーボードとギターのアンサンブルがどうしても印象的で、良く耳を澄ませばシンセパッドのフェード感と3拍裏から入るギターのカッティングがかみ合ったの妙と分かりました。2ヴァース以降、ギターとキーボードが繰り返しのフレーズとなる二番煎じにならないように工夫していることが分かりますし、2コーラス以降のカウベルのアクセントもほんのりと素敵ですね。後半部でのクロージングまでのハモンドオルガンのソロも圧巻なのですが、そのパートに到達するまでにも聴きどころが十二分に溢れているんです。

6「Eye To Eye」は、john WettonがASIA結成直前に参加していたフランスのプロッグレッシブバンド:ATOLLのデモ音源の1曲を再現した楽曲です(※残り2曲のうち「Here Comes The Feeling」は1stアルバムの最終曲として収録されています)。当楽曲も3「Never In A Million Years」同様にコード進行途中から開始するASIAらしさあるだけでなく、Geoffrey Downesのキーボードの音色の使い方がとても際立ってますね。サビ箇所でのSteve Howeのミュート気味でのギターのフレーズや、後半部のギターソロといい、アルバム内ではもっともファンタジックさに溢れている気がするのです。

7「The Last To Know」は2「The Smile Has Left Your Eyes」ほど憂いを帯びていないが、それでもバラード調のしっとり感のある楽曲です。1ヴァースと2ヴァースとでは、ギターとキーボードのアクセントに違いが見られるため、同じ唄メロだからとスキップ出来ない構成になっています。ソロでのキーボードのグロッケンの音色と、アルバム中でも最もエッジを効かせたギターも聴けるんです。

8「True Colors」は、曲の随所で聴ける16分のプリング・オフ、ハンマリング・オンによるSteve Howeらしさがよく聴ける楽曲で、他の楽曲よりもシンプルな構成だからこそサビの「True Colors」のコーラスがとても際立ち聴かせてくれます。

9「Midnight Sun」はイントロからのメロトロンの音色が印象的な楽曲です。同じくイギリスのプログレッシブ・バンド:GENESISの1972年に発表した「Watcher Of The Skies」(4thアルバム「Foxtrot」の冒頭曲)ほど分厚くはなく、楽曲に浮遊感をあたえ、次曲と同様にプログレッシブなエッセンスを醸し出しています。その浮遊さに唄うjohn Wettonの歌声やSteve Howeのギターソロがとても素敵ですね。

最終曲10「Open Your Eyes」はイントロからほんのりとクワイアを活かし幻想さ溢れた楽曲です。はじめてこのアルバムを聴いた時に一番先に好きになってました。ブリッジの唄メロ、ギターソロ、後半のコーラスと連動した展開力はどこまでも儚くドラマチックで、唄メロはどこまでもメロディアスに感じます。後半部で重なり合うjohn Wettonによるコーラスワークも素敵だけれども、Carl Palmerによるじわじわとそれでいて目立ちはしないドラミングも強烈な印象があります。いちどタメを効かせたところからクロージングへなだれおちる構成力には琴線に触れてしまいます。

一切捨て曲もなく素晴らしい楽曲ばかりのアルバムですよね。

[収録曲]

1. Don’t Cry
2. The Smile Has Left Your Eyes(邦題:偽りの微笑み)
3. Never In A Million Years
4. My Own Time (I’ll Do What I Want)
5. The Heat Goes On
6. Eye To Eye(邦題:悲しみの瞳)
7. The Last To Know(邦題:時の旅人)
8. True Colors
9. Midnight Sun
10. Open Your Eyes(邦題:永遠の輝き)

「プログレッシヴ・ロックのエッセンスをポップスとして鏤めた3分半の楽曲」というスタイルでの2枚目のアルバムです。

1982年1stアルバム「Asia(詠時感~時へのロマン)」で抱いたポップだけど壮大なサウンドスケープからの流れ、耳を凝らせば聴こえてくるプログレハード的なプログレ臭のあるサウンドを聴きたい方にも、ポップでキャッチ―な楽曲が好きな方におすすめですね。

「Daylight」と「Lyin’ To Yourself」

いずれもシングルカットされた1「Don’t Cry]と2「The Smile Has Left Your Eyes」のカップリング曲です。
そして、当アルバムの他楽曲にもひけをとらない質の高さが垣間見せます。
「Daylight」はハモンドオルガンによるイントロの印象が強烈ですが、そのイントロからなだれ落ちるような唄メロやサビへの手展開が「Here Comes The Feeling」(1stアルバム収録曲)とも引けを取らない印象を与えるんです。

「Lyin’ To Yourself」はイントロの数秒程度の壮大さなオーケストレーションのイメージからは似つかわしくない可愛らしい唄メロが印象的で、祈りを捧げるかのようなサビの唄メロが素敵な楽曲です。

初期のベスト盤でも入手しづらかった当2曲を得た時に、2ndアルバム「Aplha」はあらためて素晴らしい楽曲を生み出したプロジェクトだったんだと感じたんです。

アルバム「Alpha」のおすすめ曲

1曲目は、最終曲「Open Your Eyes」
当楽曲の持つイントロからクロージングまでの展開が素敵すぎるからです。

2曲目は9曲目の「Midnight Sun」
メロトロンを効かせた浮遊感の中で唄メロも含め奏でられるアンサンブルには、真夜中に昇った太陽を眼下とし、出航する船を見送るイメージや、フィンランドのオーロラの風景など素敵なサウンドスケープを見せてくれるからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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