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プログレおすすめ:Arion「1st Album」(2001年ブラジル)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 2000年代, シンフォニック, ブラジル, 女性ボーカル


Arion – 1st Album「Arion」

第31回目おすすめアルバムは、ブラジルのシンフォニックなプログレッシブバンド:Arionが2001年に発表した1stアルバム「Arion」をご紹介します。2015年現在で唯一のアルバムと思われます。

Arion「1st Album」
Arionは、ブラジルで、クラシック、ジャズ、ブラジリアン・ミュージックのエッセンスをベースに、Magmaと云うバンド名で1993年に活動開始したのがはじまりと云われています。その後、『Classical Trained Singer』として活動する女性ボーカル:Tania Brazが加わると、プログレッシブ・ロックとしての活動が加速され、2001年に当同名アルバム「Arion」が発表されました。

当アルバムは、女性ボーカル:Tania Brazをフロントとし、Carlos Linhares(ベース、アコースティック・ギター)、Nelson Rosa(ドラム)、Luciano Soares(ギター)、Sergio Paolucci(キーボード)の5人編成に、楽曲7「Everyway」でボーカルを取るThyagaや、数曲でパーカッション奏者:Alexandre Reisがゲスト参加しています。

当バンドの特徴は、まず『Classical Trained Singer』として活動していた女性ボーカル:Tania Brazによるボーカリゼーションでしょう。イギリスのプログレシック・ロックバンド:Renaissanceの女性ボーカル:Annie Haslamに声量もより力強くしたような印象があります。微かにヴィヴラードを活かした歌唱もありますが、シアトリカルさのエッセンスも合わせ持っていると思います。

次にアンサンブルには、アルバムジャケットのように深海の透き通ったイメージを想起させるようなピアノのクラシカルなフレーズが印象的ですが、キーボードをメインのアンサンブルに、Renaissanceをはじめ、5大プログレバンドでいえば、YesやEmerson, Lake & Palmerなどの1970年代のクラシカルなプログレッシブ・バンドの影響を受けたバンドといえるでしょう。当アルバムでは、バンド・メンバー5人にメンバーの友人を加えた6人がコンポンザーに名前を連ね楽曲のイメージも彩り豊かにすると同時に、1970年代のクラシカルなプログレッシブ・ロックの影響だけでなく、グランド・ピアノによる優雅さやロックよりもジャズやブラジリアン・ミュージックに素養あるドラミングなどバンドらしさあるアンサンブルを堪能出来ます。

フォークやジャズの影響にも迫力あるブラジルの力から漲るシンフォニック像に触れてみましょう。

楽曲について

冒頭曲1「Eyes Of Time」は、イントロでのシンセの音色やフレーズ、ヴァースでのオルガン、ギター、ドラムなどをメインとしたアンサンブルに、イギリスのプログレ5大バンドの一つ:Emerson, Lake & Palmerを彷彿とさせる力強い演奏力を感じさせてくれます。ただし、彷彿とさせるだけでなく、曲中のブレイク時のギターのフレーズやクワイヤなどに、バンド特有のクリエイティビティも堪能出来ます。また、Tania Brazのボーカルによる前半のヴァースや、3分前後からベースによるメロディアスなフレーズにクラシカルなピアノのフレーズが絡み合うパート、9分前後でリズムチェンジ以降のパートなど、聴かせどころを十分に詰め込んだ約14分に及ぶ楽曲は、このバンドのアンサンブルでの構成力や、ボーカリゼーションの特徴が十二分に発揮されているのではないかと思われます。

2「Daybreak Child」以降もピアノとギターをメインに躍動さが溢れ、デジタル色よりもクラシカルさを感じる演奏が愉しめます。ブラジルの地とあれば、サンバのリズムを想像しますが、アルバムの各楽曲にそれほど大きくフューチャーされておらず、時折、ピアノの旋律にほんのりと表現活かしている程度なのも印象的です。

特に、6「Land Of Dreams」は、Emerson, Lake & Palmerの音楽を想起してしまうかもしれませんがその影響を強く感じてしまう楽曲です。イントロのキーボードのフレーズとギター、ベース、ドラムのアクセントをはじめとし、ダイナミックな楽曲構成約10分間に集約されています。

アルバム全篇、1970年代前半のクラシカルなプログレッシブ・ロックへのオマージュを感じさせながらも、フォークやジャズのエッセンスをまじえたアンサンブルを、最終曲7「Natureza Mistica」まで堪能することが出来ます。抒情性よりもメロディアス、繊細さ以上にダイナミックな構成力に快活に聴けるアルバムと思いました。これぞ「ブラジルの音楽!」というよりも、ブラジルの地からもクラシカルさを基調としたプログレッシブ・ロックをワールドワイドに展開出来るという気兼ねが伝わる、2015年現在、たった1枚のリリースに留まっているのが惜しいバンドです。

[収録曲]

1. Eyes Of Time
2. Daybreak Child
3. True Love
4. Land Of Dreams
5. Cosmic Touch
6. Everyway
7. Natureza Mistica

ブラジリアン・ミュージックやブラジルのロック音楽の本質は分かりませんが、ダイナミックな展開力のある楽曲は聴いていて心地良さがあります。その心地良さに、Emerson, Lake & Palmerの1つの側面であるプログレ・フォーク的な抒情性よりも、躍動的なアンサンブルさを好み、また、メロディアスな曲調を好む方にはおすすめです。

また、ブラジルの地で奏でるプログレに対し、先入観もなく耳を傾けたいという方にもおすすめです。

アルバム「1st Album」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭1曲目の「Eyes Of Time」
このバンドの持つ特徴が最も端的に表現されているだけでなく、アルバム・ジャケットのように深海の透き通ったイメージを想起させるようなピアノのクラシカルなフレーズに耳を奪われてしまいます。

2曲目は、6曲目の「Everyway」
他楽曲とは異なり、もっともアンニュイなメロディ感に溢れた導入部に異質さを感じてしまいますが、印象的な「ラララ」などのコーラスワークも含め、テーマがめまぐるしく変わるプログレッシブさを愉しめます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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