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プログレおすすめ:HARMONIUM「Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison」(1975年カナダ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 1970年代, カナダ, フォーク, フルート, メロトロン


HARMONIUM -「Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison」

第9回目おすすめアルバムは、カナダのHARMONIUMが1975年に発表した2ndアルバム「Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison」をご紹介します。
HARMONIUM「Si On Avait Beson D'une Cinquieme Saison」
どこかしらイギリスのプログレ的なフォークバンドが奏でるサウンドのイメージがします。

通常のギター、ベース、ドラム以外に、フルート、ピッコロ、サックス、クラリネット、ハープ、ピアノ、メロトロン、シンセサイザー、アコーディオンなど多彩な管楽器を1人で演奏する全6人のメンバーで構成されています。

楽曲の特徴はギターのストロークと管弦楽器を中心としたアンサンブルです。また、メロトロンとフルートが加わる楽曲にはもの悲しさが纏い、独特なのはシャンソンの唱法を取り入れたコーラス(Uh~、La~)で効果的に聴かせてくれます。

起伏激しい物悲しさやアンサンブルではなく、多彩な管楽器が重なり合い、各楽曲ともクロージングに向けてじわじわと盛り上がっていく展開が特徴ではないかと思います。また、シャンソンの唱法を取り入れたコーラスからも分かるとおり、英語ではなくフランス語で唄われる癖のないボーカルでたおやかさも伝わります。

楽曲について

冒頭1「Vert」はブリティッシュPOPっぽさが溢れ、途中3分前後からサイケデリック的な展開を見せたり、2「Dixie」では、アメリカのバンドLittle Feetほどではないが、楽曲のタイトル通りこのアルバムの中では「跳ねた」躍動感を感じさせてくれます。レビュー冒頭でバンドの演奏感をお伝えしましたが、様々な音楽ジャンルのエッセンスが盛り込まれているんです。

メロトロンが色濃く聴かせてくれるのが3「Depuis L’Automne」や5「Histoires Sans Paroles」であり、聴きごたえ十分にあると思います。前者の3「Depuis L’Automne」は、ギターとボーカルのみのヴァースと、メロトロンによる伴奏の2つの特徴的なアンサンブルがあり、特にコーラスワークを印象的に聴かせてくれます。

特に、5「Histoires Sans Paroles」は、イギリスの5大プログレバンドの1つのGENESISでいえば、5thアルバム「Selling England By The Pound(邦題:月影の騎士)」のファンタスティックでいてメランコリックなサウンドを感じよりも、2nd「Trespass(邦題:侵入)」や3rd「Nursery Cryme(邦題:怪奇骨董音楽箱)」など、多少フォーキーな感覚を残したメランコリックさを感じさせてくれるかもしれません。ギターのアルペジオによる伴奏でフルートの独奏がはじまり、その後、ピッコロ、ハープの音が重なり合います。そして、メロトロンの音がアンサンブル全体を覆いつくす時には、聴いていて恍惚となってしまいそうなんです。さまざまな楽器の音が交錯しながらも、アンサンブル全体にクラシカルな構築美を感じずにいられないため、約17分の長尺でも聴いていて飽きがこないんです。アルバムの最終曲に相応強い構成力ですよね。

アルバム全体では、メロトロンを色濃く聴かせてくれる楽曲(3「Depuis L’Automne」や5「Histoires Sans Paroles」)がありながらも、どの曲にも必ずメロトロンやフルートがアンサンブルに加わっており、楽器の奏でる音色がよりいっそう物悲しい戦慄へと際立たせているのが特徴でしょうか。

[収録曲]

1. Vert
2. Dixie
3. Depuis L’Automne
4. En Pleine Face
5. Histoires Sans Paroles

GENESISなどのファンスタティックさが好きな方、シンフォニック系ほどいかなくともたおやかさのあるフォーク寄りのサウンドが好きな方におすすめです。
もちろんメロトロンという楽器が聴けるアルバムとして気になる方にもおすすめですね。

アルバム「Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison」のおすすめ曲

1曲目は、ラスト5曲目の「Histoires Sans Paroles」
アルバムのラストを飾るに相応しく、さまざまな楽器の音が交錯し、聴いていて飽きさせないから。また、演奏全体にクラシカルな構築美を感じてしまうと、一気に時を忘れて聴き入ってしまうから。

2曲目は、3曲目の「Depuis L’Automne」
ラスト5曲目まではいかないまでも、ギターとボーカルのみのヴァースとメロトロンによる伴奏、および、特徴的なコーラスワークはメリハリが効いた物悲しさを感じてしまうから。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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