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プログレおすすめ:The Receiver「All Burn」(2015年アメリカ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2015年, アメリカ, ドリーム・ポップ


The Receiver -「All Burn」

第161回目おすすめアルバムは、アメリカのシンフォニック・ドリーム・ポップ系のデュオ:The Receiverが2015年6月23日に発表した3rdアルバム「All Burn」をご紹介します。
The Receiver「All Burn」
The Receiverは、2005年にアメリカはオハイオ出身のCasey Cooper(ボーカル、シンセ、キーボード、ベース)とJesse Cooper(ドラム、ボーカル)の兄弟による結成されたデュオです。
兄弟自身が、デンマークのMew、アメリカのBlonde Redhead、イギリスのRadioheadなどのオルタナティブ系や、フランスのエレクトロ系のAir、そして、イギリスの5大プログレバンドの1つ:Pink Floydに影響を受けていると語っています。その音楽性は、オルタナティヴ系に通じる、たぶんにエクスペンタル、ポストロック、シューゲイザ―も交えたドリーム・ポップにカテゴライズされ、プログレッシブ・ロックのシンフォニック系のエッセンスも感じさせてくれます。

終始鳴り響くキーボードのサウンド・メイキングやヴォーカルの声質も含め、ドリーム・ポップに相応しいと思います。当アルバムはCooper兄弟自身がセルフ・プロデュースでのぞみ、前作アルバム以上の完成度を誇っていますが、はじめて聴く方にもヴォーカルと唄メロのメロディラインが醸し出すアンビエントさとグルービさの「揺りかご」なサウンドには、他バンドとは異なるイメージを抱くと思います。

さあ、シンフォニック・ドリーム・ポップのサウンドに耳を傾けてみましょう。

楽曲について

Cooper兄弟によるハーモニウムが絡み合う1分弱のアカペラの冒頭曲「Drift」を聴けば、そのまま次曲2「Transit」を耳を澄まし聴き入ってしまうことに理由なんて必要ないと感じるぐらいに、冒頭曲「Drift」と2「Transit」は、アルバム全篇を代表し、聴き手に訴えかけてくるのではないでしょうか。

個人的には、フランスのバンド:Alcentのアルバム「Shelter」にエレクトロ系を強めにしたサウンドを想起させると同時に、1980年代のバンド:Cocteau Twinsのギターをキーボードに置き換えたアンサンブルやOrchestral Manoeuvres in the Darkの中期のポップさとサウンド感さえ、想起してしまいました。懐かしさもどことなく優しく包み込むようなサウンドに身を委ねて聴いてしまいましたね。

さらに、ドリーム・ポップ系に留まらず、同国のプログレッシブ・ロックの重要人物:Steve Willsonの楽曲を彷彿とさせる5「Dark Matter」やギリシャの音楽家:Vangelisにも通ずるシンセ処理された6「April Blades」などには、個人的に、ロマンチック・ムーブメントや映画のサウンドトラックが醸し出すサウンドスケープなど、共通し1980年代に隆盛した音楽のジャンルのエッセンスを垣間見せてくれるんです。

最終曲11「These Days」まで聴き終える頃には、聴き手によっては1980年代の音楽を懐かしみながらも、柔らかなビートがミドルテンポやスローテンポによる浮遊さと、キャッチ―なフックを含む唄メロのメロディラインに、爽快さを感じる1枚と思います。

[収録曲]

1. Drift
2. Transit
3. To Battle An Island
4. Collector
5. Dark Matter
6. April Blades
7. The Summit
8. Let It Dry
9. All Burn
10. How To Be Young
11. These Days

1990年代以降であれば、Cooper兄弟が影響を受けたと云うMew、Blonde Redhead、Radiohead、Air、また、1980年代であれば、イギリスのロマンチック・ムーブメントの一端となるドリーム・ポップ系のCocteau Twins、Orchestral Manoeuvres in the Darkを聴いてきた方々におすすめです。

また、アンビエントさやグループさを抜きにしても、POPさもあるキャッチ―な唄メロと流麗なメロディラインは、メロディを重視する方にもおすすめです。

アルバム「All Burn」のおすすめ曲

1曲目は、最終曲目の「These Days」
他楽曲と同様に包み込むドリーム・ポップな感覚だけでなく、オープニングからヴァースのアンサンブルまで一定のリフを奏でる鍵盤が印象的であり、マイナー調で刹那さ溢れる唄メロのメロディラインがより一層浮き彫りにされ、サビ部の厚みをましたサウンドで、せきをきったように刹那さが流れ出すような構成に聴き入ってしまうからです。

2曲目は、5曲目の「Dark Matter」
キーボードとシンセが漂う世界にも、ドラムレスでビート感がほぼない前半部でさえ、くっきりと確かな唄メロのメロディラインを感じることが出来き、メロディメーカーとしてのCooper兄弟の素晴らしさを感じるからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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