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プログレおすすめ:Thriloka「Bisura」(2007年スリランカ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2000年代, ジャズ&フュージュン, スリランカ


Thriloka -「Bisura」

第160回目おすすめアルバムは、スリランカのジャズ・ロックやフュージュン系のプログレッシブ・ロックバンド:Thrilokaが2007年に発表した1stアルバム「Bisura」をご紹介します。
Thriloka「Bisura」
Thrilokaは、3つの文字「Thrai-loh-kaa」をもじった言葉がバンド名の由来で、2005年に、スリランカで、Pabalu Wijegoonawardane(パーカッション)を中心に、Sarani Perera(ギター)、Eshantha Peiris(キーボード)、Harshan Gallage(ドラム)、Uvindu Perera(ベース)、Janaka Priyashantha (パーカッション)、Visharad Peiris(パーカッション)、Sajeeva Gurusinghe(フルート)らが結成したバンドです。

その音楽性は、メンバーの母国であるスリランカのトラディッショナルなフォーク系の音楽に、ラガー系、ジャズ系、ファンク系にプログレッシブ・ロックがブレンドしたオリエンタルでエスニックな「チェンバー・オーケストラ」とも印象になるサウンドです。

また、バンドには複数のパーカッション奏者が在籍しており、フュージュン系では、Kandyan drums、low country drums、dawulにudakki、インド系では、tabla、thavil、mizraue、chenndaにghatam、アフリカ系では、congasにdj embeなどの民族楽器と、bamboos、logs、stones、metal pieces、shakers、symbols、rain sticks、bells、conch shellsなど、多種多様なパーカッションが利用されています。

当アルバム発売以前に、バンドのリーダーであるPabalu Wijegoonawardaneが、スリランカの音楽を普及させ、鼓動を振るわす音楽そのものの体験を目指すのが活動の目的と語っています。

楽曲について

冒頭曲「Invocation」は、物憂げでいて経典がこだまするかのようなヒンデゥー語によるボーカルに、ギターのオブリガードとエレガントなピアノがアンサンブルの前半部の静のパートと、エッジの効いた轟音ギターにパーカッシブな動のパートが印象的な楽曲です。3分30秒前後からクロージングにかけて、ギターとピアノが並奏するフレーズに、パーカッシブが交互に展開するアンサンブルには、迸るパッションを強く感じるとともに、スリランカのトランディッショナルなリズム感覚と、驚くほどに洗練されエレガントなフレーズが聴けるピアノとのバランスに、ユニークさを感じずにいられません。

1「Invocation」に続き、メロディアスなテーマをピアノとギターが弾く2「Prashasthi」、終始明るいムードで軽快にフュージュン然としたアンサンブルの3「Raga De Latino」、ピアノをアンサンブルに、流麗で刹那さ溢れるギターのフレーズが印象的な4「Mirror And I」、パッション溢れるギターのフレーズが印象的な5「Rana Mayura」、ドラム・ソロをフューチャーした6「Seven 2 Six」、タイトでプログレッシブ・ロックが濃く複雑なリズムをファーストタッチなパーカッシブさで聴かせる7「Maha Ravana」など、多種多様なパーカッションを織り込みながら楽曲は展開されます。

なかでも、8「Aurora」は、女性が1つのテーマをスキャット(ナナナ~)につけ、ヴァイオリンとフルートのソロや、後半部のピアノとパーカッションによるパーカッシブなパート、綴れ織り風のギターのフレーズなど、管弦楽器の利用やパーカッシブなパートに、他楽曲にはない展開で聴かせてくれます。まるでスリランカの地で見つけた女性ボーカルの楽曲をメインに延長したプログレッシブ・ロックの原石のような印象すらあります。最終曲9「Chimera」も楽曲後半部でのサイケデリックなサウンドによる醸成にも、ヨーロッパのプログレッシブ・バンドとも錯覚しうる感覚を憶えます。

楽曲ごとに多種多様なパーカッションを活かし、ギターとピアノをメインにテーマを奏でる全篇ほぼインストルメンタルなアルバムは、癖がありそうで癖がないが、聴けば躍動的な気持ちになれるだろう、安心して愉しめる1枚です。

[収録曲]

1. Invocation
2. Prashasthi
3. Raga De Latino
4. Mirror And I
5. Rana Mayura
6. Seven 2 Six
7. Maha Ravana
8. Aurora
9. Chimera (Rana Mayura Video Versoin)

多種多様なパーカッションが用いられており、プログレッシブ・ロックにパーカッションによる陶酔さを求める方におすすめです。また、ジャズ系やフュージュン系のアンサンブルを強いため、カンタベリー系やチェンバー系のプログレッシブのエッセンスが好きな方にもおすすめです。

スリランカの地から、その土地柄の素敵な音楽としてぜひ耳を傾けて欲しいです。

アルバム「Bisura」のおすすめ曲

1曲目は、8曲目の「Aurora」
スキャットではなく、歌詞がある歌入りのボーカル曲として聴けたら、どのような感じになるだろうと聴くたびに思います。プログレッシブなパートの連続がたまりません。

2曲目は、1曲目の「Invocation」
一聴した時に、パーカッションの演奏とピアノの演奏にそれぞれ異なる印象を感じましたが、聴き終わった時に、スリランカにこれほどユニークで素敵な演奏を聴かせるバンドがあるのかと驚かせられました。アルバム全9曲をすべて聴くのに心を動かされるに十分なクオリティに溢れているからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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