プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:Quidam「Time Beneath the Sky」(2002年ポーランド)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 2000年代, ネオ・プログレ, フルート, ポーランド, 女性ボーカル


Quidam -「Time Beneath the Sky」

第4回目おすすめアルバムは、ポーランドのQuidamが2002年に発表した4thアルバム「Time Beneath the Sky」をご紹介します。

Quidam「Time Beneath the Sky」
Maciej Meller(ギター)やZbyszek Florek(キーボード)を中心とし、Jacek Zasada(フルート)、Radek Scholl(ベース・ギター)、Rafa? Jermakow(ドラム)に、女性ボーカリスト:Emilia Derkowskaをフロントに立てた6人編成のバンドです。

基本メンバーにフルート奏者がいることで、印象的なフレーズを数々の楽曲で聴かせてくれます。当アルバムでは、更にフルート奏者以外に、楽曲「Letter from the Desert I」ではオーボエ奏者、「Still Waiting (Letter from the Desert II)」ではフリューゲルホルン奏者、「You Are (In the Labyrinth of Thoughts)」ではコントラバス奏者など、管弦楽器のゲスト・ミュージシャンが各楽曲に色を添え、イギリスのインストルメンタルをメインとしたプログレッシブ・バンド:Camelを彷彿とさせるメロウな叙情性を垣間見せるシンフォニックさのエッセンスを感じさせてくれます。また、そのサウンドを活かし、Marillionに代表されるネオ・プログレ系を彷彿とさせる楽曲のクオリティも感じえます。

楽曲について

冒頭曲1「Letter from the Desert I」は、EnigmaやADIEMUSなどのヒーリング・ミュージックのジャンルを想起する印象的な女性のウィスパー・ヴォイスで幕を上げます。フルートやオーボエなどの楽器やリズムは中近東をイメージさせてくれますが、後半はエッジを効かせたギターがアクセントをつけ、さらにKing Crimsonの硬質でハードエッジなギターリフに近しいフレーズも聴けます。ただしあくまで近しいスタイルであって、イギリスやイタリアの代表的なプログレッシブ・ロックバンドと異なって楽曲が聴こえるのは、ポーランド特有の音感かなと感じました。

2「Still Waiting (Letter from the Desert II)」はゆったりと優美な唄メロを歌唱するEmilia Derkowskaの素晴らしさが際立つ楽曲です。途中で冒頭曲1「Letter from the Desert I」のような女性のウィスパー・ヴォイスを挟み、唄メロは展開していきます。どこまでも唄メロを重視した演奏でいて、サビにあたる箇所が2段階に積み重なり、ロマンシズムを強く感じてしまう楽曲なんです。3分25秒前後からのフリューゲルンホルンによる独奏も印象的で、どこまでもゆったりと淡々と楽曲は進行します。この曲のサウンドスケープは他曲と異なり、人と人の触れ合いを強く感じてしまうんです。

3「No Quarter」はLed Zeppelinの5thアルバム「Houses of the Holy(邦題:聖なる館)」の挿入歌をカバーした楽曲です。Led Zeppelinによる原曲は元々プログレな曲調で神秘的な楽曲ですが、Emilia Derkowskaによる荒涼としたイメージを想起させるボーカリゼーションの妙は、カバー曲なため、1「Letter from the Desert I」や2「Still Waiting (Letter from the Desert II)」とは異なるイメージですが、このバンドが影響を受けたと思われるPink Floydのギターを意識した音色や、後半部のフルートソロなどを聴けば、アルバムのこの位置に楽曲として並んでいても違和感ないアレンジがミキングも含め施されていると感じました。

4「New Name」、5「Kozolec (for AgaPe)」など、Emilia Derkowskaが本来持つ優しげでたおやかなボーカリゼーションが聴ける楽曲に続き、後半部の6「Credo I」、7「Credo II」、8「You Are (In the Labyrinth of Thoughts)」、9「Quimpromptu」、10「(Everything Has Its Own) Time Beneath the Sky」の流れは、冒頭で触れたCamelらしさを感じさせつつも、他楽曲と比べてもPink Floydの幻想感を想起させくれます。

アルバム全篇、聴き手の想い出などに語りかけるようなサウンドスケープ、映画音楽のようなビジョンを見せてくれるロマンシチズムが溢れる素敵なアルバムです。

[収録曲]

1. Letter from the Desert I
2. Still Waiting (Letter from the Desert II)
3. No Quarter
4. New Name
5. Kozolec (for AgaPe)
6. Credo I
7. Credo II
8. You Are (In the Labyrinth of Thoughts)
9. Quimpromptu
10. (Everything Has Its Own) Time Beneath the Sky

全曲ポーランド語で唄われてます。英語の歌詞の曲ばかりを聴いていて、ふと当アルバムに耳を傾けてしまうと聴き入ってしまいます。メロディアスでいて、聴きやすい楽曲が多いので、イギリス、イタリア、フランス、ドイツなどの西欧から離れたプログレッシブ・ロックを聴く幅を持たせたい方で、導入としてもおすすめなバンド、アルバムです。同国ポーランドでいえば、霞んだ感触はあるものの、叙情さのあるAbraxxsやCollageなどを聴く方にもおすすめです。

ただ、次作5thアルバム「SurREvival」以降は男性ボーカルがメインのアルバムを発表し続けています。女性ボーカルのアルバムを聴きたい方は、1stアルバム「Quidam」、2ndアルバム「Angels’ Dreams」、3rdアルバム「Angels’ Dreams(Polish version version)」、そして、この4thアルバム「The Time Beneath The Sky」まで
が良いかもしれません。

アルバム「Time Beneath the Sky」のおすすめ曲

1曲目は2曲目「Still Waiting (Letter from the Desert II)」
楽曲の冒頭部から何かしら想いを馳せるようなメロディが循環していくのですが、女性の囁き声のアクセントに続き、より一層盛り上がる唄メロはもうプログレと思うのではなく、唄モノとして捉える方が良いのかもしれません。たとえば、ウォン・カーウァイ監督の映画「恋する惑星」(1994年作)や「天使の涙」(1995年作)のワンシーンを思い浮かべてしまいました。それほどまでに音による映像描写(サウンドスケープ)を強く感じさせてくれる素敵な楽曲です。

2曲目は3曲目「No Quarter」
Led Zeppelinの5thアルバム「Houses of the Holy(邦題:聖なる館)」の挿入歌。Led Zeppelinには変拍子を多用した楽曲が多いですが、このアルバムの「The Rain Song」や「The Song Remains the Same(邦題:永遠の詩)」と同じぐらい、それ以上にプログレのエッセンスを感じる楽曲で、アルバム全体でプログレッシブさを強く感じるアルバムと考えています。その「No Quater」を女性ボーカルで、フルートなどを交えたカバーは必聴です。

この記事を読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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