プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:Albion「Wabiac Cieneie」(2005年ポーランド)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 2000年代, ネオ・プログレ, ポーランド, 女性ボーカル


Albion – 「Wabiac Cieneie」

第59回目おすすめアルバムは、ポーランドのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Albionが2005年に発表した3rdアルバム「Wabiac Cieneie」をご紹介します。
Albion「Wabiac Cieneie」
1995年発表の2ndアルバム「Albion」から10年間の時を経て発表されたアルバムです。その10年間の空白に、他バンドと同様に、どれほど過去とシンクロした印象を残しているのか、どのくらい進化したのか、どのくらい期待を良い意味で期待を裏切るサウンドを聴かせてくれるのか、リアルタイムで聴いたファンの方は感じたかもしれません。

当3rdアルバム「Wabiac Cieneie」は、2ndアルバム「Albion」でボーカルを担っていたAnia BatkoからKatarzyna Sobkowicz-Malecへとボーカルが代わり、ギターのJerzy Antczak、キーボードのKrzysztof Malecを中心としたドラム、ベースによる5人で構成されています。

楽曲について

冒頭曲1「Motyl」のクリーントーンのギターによる躍動感のあるアルペジオとコーラスワークに、SEやPink FloydのDavid Glmore風のギターのフレーズが重なるパートから、歪みのあるギターとシンセが絡み合うパート、2分前後からヴァースの伴奏のメインとなるピアノのしっとりとしたフレーズを聴けば、メロディアスなアンサンブルが2ndアルバム「Albion」から進化し、躍動さをともなって、心の衝動を抑えきれなくなるのではなかと思うんです。そして、抑制を効かせ、切々と唄うKatarzyna Sobkowicz-Malecのボーカリゼーションもとてもマッチングしいていて、躍動感のあるパートがありつつも、全体的にはソフィケイトされた流麗なシンフォニックのサウンドが楽しめます。

10年間待ち続けたサウンドに衝動を抑えれない気持ちに心が共感してしまうそうになります。

2「Szary」以降も唄メロを活かし楽器のアンサンブルを色を添える楽曲、インストルメンタルを強調させた楽曲が連なっています。前者は2「Szary」、4「Yuppie」、5「Inny」、後者は冒頭曲の1「Motyl」、3「Bieg po teczy」、6「Wolna」、7「Cienie」など尺が長い楽曲に比較的印象強く感じるです。ただ、ラストの7「Cienie」は、ほんの2分間で終了し、シークレットトラックのようなパートが続く楽曲です。

前者では、ミステリアスさの2「Szary」、POPな4「Yuppie」、アンニュイさの5「Inny」などアレンジにより各楽曲が与える印象が異なってすら感じるんです。後者では、3「Bieg po teczy」はもちろんSEやシンセによるアクセントをつけながらも、唄メロよりもギターやキーボードのメロディアスなアンサンブルが充満していて、とても聴きごたえがあるんです。楽器が奏でるテーマやフレーズにはリフレインが多用され、徐々に心へ伝えようとするサンド感がたまりません。そして、6「Wolna」はAlibonで個人的に最も好きな4thアルバム「Broken Hopes」の楽曲に多く見受けられる翳りのあるメロディアスでいてロマンチシズム溢れる楽曲の原曲さともいうべき唄メロにインストルメンタルのバランスがしっかりと伝わってきます。

10年間のブランクをおき、発売された当アルバムに、また次のアルバムを期待せずにはいられない楽曲が並んでいます。

[収録曲]

1. Motyl
2. Szary
3. Bieg po teczy
4. Yuppie
5. Inny
6. Wolna
7. Cienie

Albionのサウンドの特徴ともいうべき、アルバム1篇を通じ、SEを使用しながらPink Floydを想起させながらも、女性ボーカルのヴァースも楽曲のつのパートと捉えたかのようなシンフォニックなサウンドが聴けるアルバムと思います。

女性ボーカルのプログレでシンフォニック系のボーカルのアルバムを聴きたい方や、ポーランドの地特有のメロディ感をサウンドに見出したい方におすすめです。

Albionとのはじめての出逢い、現ボーカルのアルバムたち

筆者がAlbionのアルバムで初めて出逢ったのは4thアルバム「Broken Hopes」で、そして2014年現在の最新アルバムは5th「The Indefinite State Of Matter」です。

そんな4thアルバム「Broken Hopes」、5th「The Indefinite State Of Matter」については、

▼アルバム:「Broken Hopes」のレビューは下のリンクから▼
プログレおすすめ:Albion「Broken Hopes」(2007年ポーランド)

▼アルバム:「The Indefinite State Of Matter」のレビューは下のリンクから▼
プログレおすすめ:Albion「The Indefinite State Of Matter」(2012年ポーランド)

4thアルバム「Broken Hopes」ではよりロマンチシズム溢れる唄メロや、唄メロを際立たせつつキーボード、ギターの豊富なテーマやフレーズが素敵なシンフォニック系へと変貌し、さらに5thアルバム「The Indefinite State Of Matter」ではサウンドがよりダイナミックに構築されているのが印象的なんです。個人的には憂いを帯びた唄メロが多く、楽器のアンサンブルもバランス良く感じる4thアルバムが好きですが、各楽器のアンサンブルの印象が強い当3rdアルバムや5thアルバムもプログレッシブ・ロックのエッセンスが溢れ、「言葉」ではないサウンドスケープがより感じられ素敵なんですよね。

アルバム「Wabiac Cieneie」のおすすめ曲

1曲目は、3曲目の「Bieg po teczy」

長尺約11分にわたるインストルメンタルを中心としたロマンチシズム溢れるメロディアスな演奏に、楽曲中にSEを配しシンセのサウンドをアクセントにつける妙が緊迫感を与えてもいますが、何度でも聴いてしまいます。

2曲目は冒頭曲1「Motyl」

10年のブランクを置き、発売されたアルバムの冒頭曲として、期待感を持ち聴いたであろう当時のリアルタイムなファンの気持ちに少しでも近い気持ちで聴こうと思えば思うほど、アルバムのはじまりに相応しい構成力やアンサンブルにうっとりと聴き入ってしまうんです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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