プログレおすすめ:Albion「The Indefinite State Of Matter」(2012年ポーランド)
公開日:
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最終更新日:2015/12/02
2010年‐2013年, ネオ・プログレ, ポーランド, 女性ボーカル Albion
Albion -「The Indefinite State Of Matter」
第29回目おすすめアルバムは、ポーランドのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Albionが2010年に発表した5thアルバム「The Indefinite State Of Matter」をご紹介します。
女性ボーカル:Katarzyna Sobkowicz-Malecをメインとし、Jerzy Antczak(ギター)、Krzysztof Malec(キーボード)の3人編成のバンドです。そこに、ベース、ドラム、バッキングボーカルがゲスト参加しています。
楽曲について
時を刻むようにしてはじまるSEと共に、じわじわとシンセのオーケストレーションが奏でられる冒頭曲1「Particle Of Soul」は約10分におよぶインストルメンタルの楽曲です。メインテーマを奏でるディスト―ションが効いたギター以外のフレーズや音(ドラムのタム、アコースティックギター、ピアノなど)にはエコライジングされた独特な残響として鳴り響き、同郷のシンフォニック系のバンド:Quidamと同様にポーランドの地特有の音楽性を感じさせてくれるんです。
冒頭曲1「Particle Of Soul」のギターの演奏から切れ目なく2曲目の「When I See The Light」の導入部へと繋がります。切なげなフレーズを弾くギターのイントロ後、たおやかでいて穏やかなヴァースやサビの唄メロを唄うKatarzyna Sobkowicz-Malecのボーカリゼーションとベース、ドラムの絡み合ったグルーブが心地良さを届けてくれるんです。ただそれも、後半部のロングトーンで奏でられるギターソロがじわじわと心に問いかけ、心地良さからは胸を掻き毟るように揺さぶられてしまうんです。
たおかやであり穏やかな唄メロが心地良さがあると感じたKatarzyna Sobkowicz-Malecのボーカリゼーションは、ギターのリフが印象的な3「Childrens Rhyme」では妖麗さへと変わり、リズムとピアノのみで奏でられる4「Airborne」では清廉さへと変貌します。そのボーカリゼーションは、楽曲のサビの言葉尻を聴くことで優美さと憂いに満ちた声質がある女性ボーカルではないかと思うんです。
アンサンブルに加わるドラムは手数が多く、ベースは独特なフレージングで楽曲を彩っています。ドラマーやベーシストがゲスト参加であることが驚きのようでもあり、その存在を忘れてさせてくれるのが5「Indefinite State」のイントロです。イントロに過ぎずともその構成力たるやしっかりとしていると感じるんです。
最終曲6「Fear」はSEによる幻想さを漂わせながらも、ベースとドラムをメインとしたインストルメンタルな楽曲です。冒頭曲1「Particle Of Soul」と当曲を聴くことで、どことなくイギリスの5大プログレバンドのうちの1つ:Pink Floydの初期アルバムの楽曲のエッセンスも想起してしまいます。ほんのりとした感覚に過ぎませんが、あっという間に過ぎていく時間がもったいないぐらいに何度も聴きたくなってしまうアルバムですね。
[収録曲]
1. Particle Of Soul
2. When I See The Light
3. Childrens Rhyme
4. Airborne
5. Indefinite State
6. Fear
どの楽曲にもイントロから終始SEがほんのりとでも鳴り響き、また、どことなくPink Floydのデビットギルモアのようなギターのフレージングが聴けるため、Pink Floyd的な幻想さのあるエッセンスが好きな方や、優美さと憂いに満ちた女性ボーカルが好きな方におすすめです。
同郷のQuidamはポーランド語で歌唱だけでなく、その土地柄を漂わせた独特のトーンやPink Floyd的な幻想感のるサウンドも感じさせてくれました。その初期のQuidamほど癖はなく、それでいて洗練されたAlbionのサウンドメイキングをQuidamと聴き比べても面白いかもしれません。
▼アルバム:Quidam「Time Beneath the Sky」のレビューは下のリンクから▼
プログレおすすめ:Quidam「Time Beneath the Sky」(2002年ポーランド)
アルバム「The Indefinite State Of Matter」のおすすめ曲
1曲目は2曲目の「When I See The Light」
当楽曲に限らずベースとドラムのグルーブが必聴なのですが、さらに、たおやかでいて穏やかなボーカリゼーションを聴かせながらも、一気に感情の起伏を頂点へと向けさせない曲調がもどかしいぐらいに感じ、心地良さが心を掻き毟るような感覚へとうつるさまに心が捉えて離れないんです。
2曲目は冒頭曲「Particle Of Soul」
10分におよぶインストルメンタルな楽曲ですが、「華麗」が似つかわしい序曲であり、いっぽうで冷ややかな抒情性を感じさせてくれるのがポーランド地特有の感性かと感じるからです。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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