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プログレおすすめ:Truimvirat「Illusions On A Double Dimple(邦題:二重えくぼの幻影)」(1974年ドイツ)


Truimvirat -「Illusions On A Double Dimple」

第234回目おすすめアルバムは、ドイツのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Truimviratが1974年に発表した7thアルバム「Illusions On A Double Dimple」をご紹介します。

Truimvirat「Illusions On A Double Dimple」
Truimviratは、1969年に、ドイツはケルンにて、Hans-Jürgen Fritz(ハモンド・オルガン、ムーグ・シンセサイザー、エレクトリック・ピアノ、グランド・ピアノ、ボーカル)、Hans Bathelt(ドラム、パーカッション)、Werner Frangenberg(ベース)のトリオ編成で結成されたバンドです。

結成当初からキーボードをメインでトリオ編成と云う点で、Keith EmersonとともにEmerson, Lake & Palmerが引き合いに出されがちです。しかし、どちらかといえば、Keith Emersonが1960年代に所属していたThe Niceの楽曲アレンジへの影響が大きく、異なるメロディラインに対してはリスペクトをもっていたとバンドは語っています。

当アルバムは、1972年にデビューを飾った1stアルバム「Mediterranean Tales」から2年振りのアルバムです。デビュー前にWerner Frangenberg(ベース)に代わり加入していたHans Pape(ベース)がレコーディング中に脱退し、あたらにHelmut Köllen(ボーカル、ベース、ギター)が加入し制作されました。そのため、途中で脱退してしまったHans Papeのベースプレイも一部盛り込まれています。

仕上がったアルバムには、1人の人間が人生に敗北を感じて学生時代を回想すると云う作詞家としてのHans Batheltの能力が発揮されたコンセントのもと、The Cologne Opera House Orchestra、The Kurt Edelhagen Brass Section、Karl Dewo(サックス) がアンサンブルに加わることで、楽曲に彩りを与え、

Emerson, Lake & Palmerのクローン・バンドと捉えられても十分過ぎる程のクオリティで迫る素晴らしいアルバムです。

楽曲について

アルバムには、それぞれが21分以上を超える6部構成の1「Illusions On A Double Dimple」と2「Mister Ten Percent」の2曲が収録されています。

1「Illusions On A Double Dimple」は、ピアノがアイリッシュ風のエレガントな伴奏にボーカルだけと云う「a. Flashback」で幕を上げ、1分50秒前後からの「b. Schooldays」では、ピアノの旋律の断片1つにKeith Emersonのプレイを彷彿とさせながらも、続くムーグ・シンセサイザー、オルガン、ピアノをメインとしたアンサンブルは、Keith Emersonが駆使する楽器のサウンド・メイキングは踏襲しつつHans-Jürgen Fritzによる独自アレンジで、アコースティック・ギターも交えプログレ・フォーク系の展開をしていきます。4分前後からの「c. Triangle」では、ハモンド・オルガン、アコースティック・ギターにリズムセクションによる居突猛進さ、ピアノの一定のシークエンスにムーグ・シンセサイザーの音色と旋律にはバンド単位でのEmerson, Lake & Palmerを彷彿とさせるアンサンブルが聴けます。さらに、イギリスの5大プログレバンド:Yesやプログレ・ハードロック系のバンド:Uriah Heepの1970年代全盛期を彷彿とさせるコーラスワークが盛り込まれ、アンサンブルから受ける印象には英国ロックへからの深い影響が感じられますね。

11分5秒前後からのナレーションとともにはじまる「d. Illusions」と「e. Dimplicity」でも、ピアノの旋律の断片1つにKeith Emersonを彷彿とさせるプレイが聴けます。Uriah Heepを彷彿とさせる情感さ溢れる唄メロのメロディラインとコーラスワークがダイナミックに展開する「d. Illusions」と、リズミカルなリズムセクションにポップさ溢れるヴァースを聴かせ、途中、コーラスワーク「woo」や「la-la-la-la」には、1960年代のThe Beatlesの名曲「You Won’t See me」や「Nowhere Man」を想起してしまい思わずにニンマリもしてしまう「e. Dimplicity」が繰り返されます。そして、伸びやかなコーラスに導かれ18分30秒前後の「f. Last dance」からは、コーラスワークに、エレクトリック・ピアノ、ムーグ・シンセサイザー、ハモンド・オルガンの荒れぶるうKeith Emersonを彷彿とさせるプレイが炸裂し、クロージングへ向けて、Emerson, Lake & Palmerの名曲「hoedown」を想起させるメロディラインにもをただただひたすら展開する痛快なアンサンブルが堪能出来ます。

「Emerson, Lake & Palmer ミーツ Uriah Heep ウィズ The Beatles」なフィーリング!

2「Mister Ten Percent」は、前曲のEmerson, Lake & Palmerを彷彿とさせる居突猛進さを変拍子を駆使し、より濃密なアンサンブルでたたみかえる「a. Maze」で幕を上げます。前半部では高音と後半部では低音とピアノが印象的なフレーズで躍動するさまが鮮烈です。3分前後からの何かの呪縛から解放されたかのように華麗な旋律を奏でるピアノのプレイが印象的すぎる「b. Dawning」を挟み、突如として、4分前後からのブラスセクションとコーラスワークが華やかに舞う、どなりちらするかのようなボーカリゼーションでドラスティックな曲調の「c. Bad Deal」では、1960年代後半に活躍したイギリスのロック・バンド:Sly & The Family Stoneの1stアルバムを彷彿とさせる躍動さに心躍りますね。

サックス・ソロに導かれ5分45秒前後からの「d. Roundabout」は変拍子が多用された、ミステリアスさも極まりないEmerson, Lake & Palmerを彷彿とさせるアンサンブルが聴けます。ムーグ・シンセサイザー、エレクトリック・ピアノによるミステリアスな旋律、たたみかけるドラムのけだましさ、変拍子を多用し無機質さを醸し出すベースライン、ハモンド・オルガンとドラムの強烈なアプローチのアンサンブル、グランド・ピアノのミニマルな高速フレーズなど、Emerson, Lake & Palmerのファンであれば、ニンマリするぐらいにプログレッシブな展開を堪能出来るかと思います。11分35秒前後の「e. Lucky Girl」でムーグ・シンセサイザーによるソロが色を添えつつ、アコースティック・ギターをメインとしたアンサンブルに、思わず脳裏にはEmerson, Lake & Palmerの名曲「Lucky Man」を思い浮かべてしまいます。16分前後からの「f. Million Dollar」では、オルガンの旋律が徐々に哀愁さを漂わせつつ弾き倒し、18分50秒前後からはピアノが下降ラインを辿り、オーケストラが高らかに、ブラスセクションも交え、メロディックな唄メロが聴けます。

「Emerson, Lake & Palmer ウィズ Sly & The Family Stone」なフィーリング!

アルバム全篇、変拍子を多用し、Hans-Jürgen FritzによるKeith Emersonを彷彿とさせるハモンド・オルガン、ムーグ、ピアノの縦横無尽なプレイに、オーケストラやブラスを加えた唄メロのメロディラインでは、1960年代の代表的な英国ロックバンドを彷彿ともさせてくれるポップさもある楽曲で聴き応えがあります。

[収録曲]

1. Illusions On A Double Dimple
– a. Flashback
– b. Schooldays
– c. Triangle
– d. Illusions
– e. Dimplicity
– f. Last dance
2. Mister Ten Percent
– a. Maze
– b. Dawning
– c. Bad Deal
– d. Roundabout
– e. Lucky Girl
– f. Million Dollars

キーボードを主体としたプログレッシブが好きな人におすすめです。

また、懐かしき唄メロのメロディライン(The Beatles)やブラスセクションを交えた躍動さあるメロディライン(sly & The Family Stone)などに、1960年代中盤から後半にかけてのポップやロックでのメロディラインにも、Emerson, Lake & Palmerが好きな方におすすめです。

当アルバムを聴き、Triumviatを好きになった方は、1972年発表の1stアルバム「Mediterranean Tales」と1975年発表の3rdアルバム「Spartacus」にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。さらに、1976年発表の4thアルバム「Old Loves Die Hard」では、より成熟したキーボードをメインとしたアンサンブルも堪能出来ます。

アルバム「Illusions On A Double Dimple」のおすすめ曲

※2曲のみの構成のため、ひかえさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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