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プログレおすすめ:Tangerine「De L’Autre Cote de la Foret」(1975年フランス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 1970年代, フォーク, フランス, フルート, 女性ボーカル


Tangerine -「De L’Autre Cote de la Foret」

第44回目おすすめアルバムは、フランスのプログレ・フォーク系のバンド:Tangerineが1975年に発表した1stアルバム「De L’Autre Cote de la Foret」をご紹介します。

Tangerine「De L'Autre Cote de la Foret」
Tangerineは、1970年代後半の3年間で当アルバムも含め3枚のアルバムを発表し解散してしまったバンドです。当アルバムは、女性ボーカルのValery Btesh(ボーカル、ギター)をフロントに立て、Marc Donahue(ギター、フルート、クラビア、サックス、ボンゴ)、Gabriel Malka(12弦ギター、ボーカル)、Charlie Sabban(アコースティック・ギター、ボーカル)、アコースティックギター、フォークギター、12弦ギターなどのギター奏者による4人構成に、リズム・セクションにはAlain Carnel(ベース)とRoger Gremillot(ドラム、パーカッション)をゲストに迎え、アルバム制作しています。

アンサンブルのメインがギターであることはメンバー編成でも読み取れます。いっぽうで、Marc Donahueが奏でるフルート、クラビア、サクソフォンのフレーズは各楽曲を彩っていることや、ボンゴを取り入れてポリリズムさを醸し出し民族的なエッセンスが感じるのことは、フランスのみならず、ワールドワイドにみても、プログレ・フォーク系のバンドとは異なる特徴ではないでしょうか。

楽曲について

クラビアで奏でられるイントロのフレーズが印象的な冒頭曲1「De L’autre Cote De La Foret」は、各ギターが紡ぎ合うアンサンブル、ヴァースでたおやかに唄うValery Bteshのボーカリゼーション、ところどころでヴァースに重なり合うコーラスワークには、同時期1970年代のブリティッシュ・フォークを彷彿とさせ、アンサンブルに加わるフルートの音色や旋律が楽曲の抒情さをより一層際立たせ、優しげな世界観をサウンド・スケープさせてくれるのです。

フランス語圏にあるカナダのプログレ・フォーク系のバンド:HARMONIUMと比較されがちですが、アコースティカルなギターとフルートを基調としているため、よりブリティッシュ・フォークに近い印象かもしれません。

特に、3「Meditations」は、12弦ギターの響きが際立つとともに、アルバム中で最もフルートが凛としたフレーズを聴かせてくれます。そのアンサンブルが醸し出す感覚は、なんともいえない浮遊感さえ感じるんです。楽曲後半部ではリズムチェンジし、ギターとドラムによるインタープレイに、サクソフォンが入りまじります。このパートには、プログレ・フォーク系のみならず、他プログレッシブ・バンドにはないTangerineらしさともいえる奥ゆかしさを感じます。

当アルバムの楽曲は、そのボーカルの発声言語とギターの奏法にも特徴があります。楽曲で唄われる言語には母国語のフランス語と英語が交じり合い、ギターにはストロークをメインとする楽曲もあれば、アルペジオをメインとする楽曲もあります。

ギターのアルペジオではじまる4「Liberte」では、いくぶん男性の声質をメインとし、女性のValery Bteshとの混成によるヴァースが聴けます。英語で唄われる5「It’s Ending」は男性ボーカルが最初のヴァースを唄い、つづいて女性のValery Bteshも加わることで、男女のデュエットとも捉えられる楽曲です。特に、フルートの奏法が聴きどころで、ヴァースの唄メロのメロディラインに呼応するかのようにカウンターメロディを伸びやかに奏でるフレーズ、2分30秒前後からギターのカッティングとともにスタッカートを効かせるフレーズには、ただただ聴き入ってしまいます。アルバム全篇通じても、ハイライトとも云える最終曲9「Direction Sud」でも、フルートのフレーズはユニークさがあり素敵なのですが、この5「It’s Ending」でのフルートのスキルフルさは群を抜いていると思います。フルートの優しげでいてスキルフルな奏法を聴いていると身震いする心持ちにもなりますが、抒情性でセンチメンタリズムさの一端も感じます。

さらに、ボーカリゼーションにも特徴があります。それぞれの楽曲の唄メロのトーンやマナーではなく、楽曲1つ1つに対し、女性のValery Bteshと男性の2人のボーカルは、言語(英語とフランス語)による使い分けだけでなく、楽曲のニュアンスを異なった印象に与えるボーカリゼーションをしているため、最後まで飽きずに聴けるアルバムと思いました。

[収録曲]

1. De L’Autre Cote de la Foret
2. Death
3. Meditations
4. Liberte
5. It’s Ending
6. Listen
7. Time
8. Eveil
9. Direction Sud

イギリスのmellow Candle、Renaissance、Keith Cross & Peter Ross、Heron、カナダのHARMONIUM、ドイツのCarol Of Harvestなどのブリティッシュ・フォークに連なるプログレ・フォーク系のサウンドが好きな方や、The ByrdsやAmericaなどのフォーク系のバンドを好きな方にもおすすめです。

また、フルートの奏法には特筆するものがあり、プログレッシブ・ロックバンドでフルートの聴きごたえがあるバンドを探している方にもおすすめです。

アルバム「De L’Autre Cote de la Foret」のおすすめ曲

1曲目は、5曲目の「It’s Ending」
はじめて聴いた時に、ただただフルートのフレーズを聴き入ってしまい、身震いする感覚をするぐらいに人間の五感へ響き感受してしまったからです。

2曲目は、3曲目の「Meditations」
当アルバムで最も長尺(約7分)の楽曲です。特徴的ともいえるフルートだけでなく、複数の楽器が彩るアンサンブルには、当バンドの音楽性やアイデンティを強く感じさせてくれます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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