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プログレおすすめ:UZVA「TAMMIKUINEN TAMMELA」(2000年フィンランド)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2000年代, ジャズ&フュージュン, フィンランド


UZVA -「TAMMIKUINEN TAMMELA」

第45回目おすすめアルバムは、フィンランドのチェンバーロック系のプログレッシブ・ロックバンド:UZVAが2000年に発表した1stアルバム「TAMMIKUINEN TAMMELA」をご紹介します。

UZVA「TAMMIKUINEN TAMMELA」

UZVAは、1994年に、Heikki Puska(ギター、アコーディオン)、Pekko Sams(ベース)、Olli Kari(ドラム)、Lauri Kajander(ギター)の4人で結成したバンドで、当初は、サイケデリック/スペース系やプログレッシブ・ロックの楽曲をカバーしていました。カバー期をきっかけに、彼ら自身のオリジナル楽曲をインストルメンタルを中心とした演奏スタイルへと変貌したようです。

クラシック、ジャズ、トラディッショナル・フォークのエッセンスをもたらすミュージシャンとの交流を重ねることで、どこかあたたかみもある芸術性のクオリティが高きチェンバー・ロック系の演奏スタイルをうみだします。そして、フリー・ジャズ系やロックのインプロビゼーションや、異国情緒溢れるフォーク系の音楽のエッセンスが含み、ピースフルで、のどかな田園のシーンをサウンドスケープさせてくれるような、クラシカルな交響楽のサウンド・メイキングさえ、感じさせてくれます。

当アルバムは、メンバー4人のロック・カルテット以外にも、クラリネット、フレンチホルン、ヴァイオリン、チェロ、トロンボーンなどの管楽奏者や、スティールパンやマリンバの打楽器奏者をまじめ、

ふと静かな日の夕暮れ時にフィンランドの地を想い馳せてつつも、めくるめく変貌を遂げる音楽の印象があるアルバムです。

楽曲について

アルバムは、冒頭曲1「Intro」とタイトルに「Part」を冠する5曲(「Part I」から「Part V」)の計6パートの構成に、組曲形式のスタイルを取っています。

チェンバーロックの奏者をメインとしたアコースティックなアンサンブルには、バロック調の気品の良さを最も感じられながらも、どことなく静かな日の夕暮れの風景を切望してしまうサウンドスケープから、いつのまにか、ロック・カルテットであるUZVAが過去にカバー演奏をし吸収した凶暴さや陰鬱さに垣間見える叙情さ、東欧プログレがもつロマンチシズムを感じることでしょう。

・・・紡ぎ合うように音が重なりハートフルでふわっとした情景をサウンドスケープさせてくれるMike Oldfield、ブルース系をベースとしたサウンド・スタイルの同国フィンランドのジャズ・ロックバンド:Tasavallan Presidenttiやノルウェーのハードロック・ヘビーメタル系のバンド:Wigwam、サイケデリック・ジャズ・ロックの比重さがあるSoft Machine、凶暴さや硬質さなどの第2期King Crimsonなどを背景に持つ、カメレオンのような音楽を創造しうるミュージシャンのFrank Zappaのアルバムでジャズ系のエッセンスの比重が高いアンサンブルなどを思い浮かべてしまいます。

自分は海外に行ったことがいちどもありません。ムーミンの発祥の地であるフィンランドに、冬の季節になるとオーロラを思い浮かべてしまい、いつか見に行きたい、と切望してしまいます。静と動のアンサンブルに、たとえば、上記のミュージシャンやバンドにあげられるような瞬間を感じさせながらも、どことなく静かな日の夕暮れの風景を切望してしまうサウンドスケープに、かえって、感傷的なセンチメンタリズムを抱いてしまいますが、長らく愛聴する大切にしたいアルバムです。

[収録曲]

1. Intro
2. Part I
3. Part II
4. Part III
5. Part IV
6. Part V

チェンバーロック系と云うジャンルを意識せず、アルバム全篇、聴き終えると、穏やかな気持ちにもさせてくれるアルバムが聴きたい方におすすめです。

フリー・ジャズ系の即興さに、癒し音楽やアルファ波ミュージックなどを醸し出すニューエイジ系と云うわけではありませんが、アルバムタイトルにもあるフィンランドの南部Tammelaがどんなところだろう、と思い浮かべて頂けたのなら、おすすめしたかいがあります。

当アルバムを聴き、UZVAの音楽を好きになった方は、続いて、2002年発表の2ndアルバム「Niittoaika」、2006年発表の3edアルバム「Uoma」を聴くこともおすすめします。

チャンバー・ロックとは

ウィキペディアによれば、室内楽(チェンバー・ミュージック)で用いられる管楽器、弦楽器をロックに組み入れた構成とのこと。イタリア・プログレにも垣間見えるバロック調など、プログレがとりわけ室内楽的なアプローチを大きく打ち出した音楽ジャンルのことを指すようなのですが、このジャンルの垣根は、なかなか分かりづらいですね。一方で、UZVAはジャズ要素も持ち合わせており、ジャズロックの概念とも紐付けるとなかなかジャンル分けが難しそうです。

アルバム「TAMMIKUINEN TAMMELA」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ組曲となっている全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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