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プログレおすすめ:Gentle Giant「1st Album」(1970年イギリス)


Gentle Giant -「1st Album」

第228回目おすすめアルバムは、イギリスのシンフォニックなプログレッシブバンド:Gentle Giantが1970年に発表した同名1stアルバム「Gentle Giant」をご紹介します。

Gentle Giant -「Gentle Giant」

CDを買って・・・

Gentle Giantは、1960年代に、ビート・バンドで活躍していたDerek Shulman(ボーカル)、Phil Shulman(サックス、トランペット、リコーダー、ボーカル)、Ray Shulman(ヴァイオリン)のシャルマン3兄弟が、1970年に、Gary Green(ギター)、Kerry Minnear(キーボード、チェロ、ボーカル)、Martin Smith(ドラム、パーカッション)らと結成したバンドです。

その音楽の特徴は、名盤と呼ばれる1972年発表の4thアルバム「Octopus」を一つの区切りして考えてみても、各メンバーがスキルフルで、テクニック(変拍子、リズム・チェンジ、転調、移調、対位法、重奏など)を駆使した緻密なアンサンブルに、まずポイントして挙げられます。

そして、ロック、ブラス・ロック、ジャズ、クラシック、教会音楽など、様々な音楽を楽曲にアレンジとして取り込む姿勢には、1つの楽曲の中でも、時に弦楽器を交えてリリカルでメランコリックさを醸し出すクラシカルで優雅にも、時にギターを中心にハードロック系で縦横無尽のアプローチを魅せてくれます。

さらに、イギリスのバンドらしく、英国ロックの良質なメロディを唄メロや楽器の旋律に反映させて唄心があることと、Gentle Giantだからこそ、メンバー全員がボーカルを取れるぐらいに素晴らしいコーラスワークと、各種管弦楽器(フルート、サックス、リコーダー、トランペット、ヴァイオリン、チェロ)を扱えるメンバーが在籍していることは、音楽の表現やニュアンスを伝えるうえでも、他バンドにはない個性といえます。

デビューを飾った1970年前後はプログレ黎明期にあたり、イギリスでは5大プログレバンド(King Crimson、Yes、Genesis、Emerson, Lake & Palmer、Pink Floyd)をはじめ、ぞくぞくとプログレッシブ・ロックバンドが世に出てきますが、そのなかでも追随を許さないぐらいに、技巧的なバンドなのです。

1stアルバムにして、技巧を駆使した水準の高いサウンドが聴けるアルバムです。

はじめてGentle Giantの1stアルバムを聴く方は、youtubeで楽曲を聴き、そして、CDのカバーアートに先入観をもたず、CDを購入しアルバム・ジャケットを拡げてみて下さい。

・・・優しさが伝わると思います。CDを買う前にカバーアートで後ずさりせず、手にして頂ければ素晴らしい音楽の入り口に出逢えると思います!

楽曲について

※あまりにも多くの技巧が盛り込まれ、分析するには分析しきれないアンサンブルとサウンド・メイキングに溢れているため、通常のレビューよりも、抽象的なイメージで纏めさせて頂きます※

冒頭曲1「Giant」は、チャーチ・オルガンの旋律で幕をあげ、ビッグ・バンド風のホーンを交え、ハード・ロック系のアプローチのアンサンブルで進行します。パワフルなアンサンブルに、ボーカルもソウルフルにメロディを唄い上げるさまが印象的です。3分15秒前後からエンディングまで、エキゾチックなベースラインのリフレインに、オルガンとメロトロンが優雅に音色を奏で、そして、ブラスに、メロトロンと4声コーラスで壮大に盛り上げるパートを2回繰り返し、冒頭部のパワフルなアンサンブルに戻り、クロージングします。

2「Funny Ways」は、途中で、パーカッシブさとファンキーなオルガンの入るパートを挟み、チェロとヴァイオリンをアンサンブルに、チェンバーロックの延長上にあるかのような優美なメロディラインが素敵な楽曲です。メイン・ボーカルへのハーモニー、メロディラインにオブリガードに絡み合う弦楽器や、2分30秒前後からのギター・ソロによるドラマチックな動のアプローチなどが冴えます。

タムタムと「Funny Ways」のリフレインと物悲しすぎます・・・。

3「Alucard」は、ブラス、サックス、ギター、オルガンなどが盛り込まれたヘビーなアプローチのアンサンブルですが、ファズがかかったギター、オルガン、ベースなどが、不気味さを演出していきます。ボーカルのパートもシアトリカル風にも不気味さがでていて、怪奇ミステリアスな楽曲かなと思いますが、楽曲の構成がぐちゃぐちゃで破綻した印象がしないのは、やはり、技巧を駆使しているからなのでしょう。

4「Isn’t It Quiet And Cold?」は、ヴァイオリン、チェロ、アコースティック・ギターによるアンサンブルがシャンソウ風にも感じるユーモラスな楽曲です。心地良いのは、アンサンブルだけでなく、四声コーラスとともに、1960年代のThe Beatlesに代表されるブリティッシュ・ロックのサイケデリック期の古き良い良質な唄メロのメロディラインが活きているからだと思います。

5「Nothing At All」は、アコースティック・ギターをメインのアンサンブルではじまり、起伏あるプログレッシブ・ロックな展開が堪能出来る約9分にも及ぶ大作です。2「Funny Ways」や4「Isn’t It Quiet And Cold?」と同様に、メランコリックで良質な唄メロのメロディラインが印象的なプログレ・フォーク系の前半部から、ソウルフルなボーカルが冴えるハードロック系のアプローチの中間部へ、左右のPANを行き交うギター・ソロ、ドラム・ソロ、ピアノによるリストの「夢のまた夢」の旋律、そして、ドラムとピアノによる前衛的で実験的なサウンドへ発展していきます。7分40秒前後に、シンバルが鳴り響くと同時に、再び、前半部のプログレ・フォーク系が聴かれ、クロージングします。

それにしても、クラシカルさや良質な唄メロのメロディラインが、なんてこんなにも優美なんだろうと、ハードロック系や前衛的なアプローチを挟まれるたびに、溜息ついてしまいますね。

6「Why Not」は、静と動のパートのメリハリに、さらに静と動のメイン・ボーカルが分かれた起伏の激しい楽曲です。動のパートでは、冒頭曲1「Giant」のように、ソウルフルなボーカルに、ブラスをまじえハードロック系のアンサンブルで、ファンキーにもパワフルに聴かせ、静のパートでは、リコーダーも印象的にメランコリックな唄メロのメロディラインが聴かれます。そして、4分前後からのギターのリフとともに、ブルーズを下敷きにしたオールド・ロック調でテンポアップしていき、ロックお決まりのフレージングにて、クロージングを迎えます。

そして、イギリス国歌をロックにアレンジした小曲の最終曲7「The Queen」でアルバムはクロージングします。

あたかも、5年後の1975年に、同国イギリスのロック・バンド:Queenが発表する名盤4thアルバム「A Night At The Opera(邦題:オペラ座の夜)」のクロージング・ナンバーとして演奏される楽曲「God Save The Queen」と同じように・・・(こちらの楽曲の方が先ですね。)。

[収録曲]

1. Giant
2. Funny Ways
3. Alucard
4. Isn’t It Quiet And Cold?
5. Nothing At All
6. Why Not
7. The Queen

テクニックを駆使したアンサンブルが好きな方におすすめです。

さらに、英国ロックの良質なメロディ、独特のコーラスワークだけでなく、時に弦楽器を交えてクラシカルで優雅に、時にブラスとギターを中心にハードロック系のアプローチのアンサンブルによる様々なジャンルの音楽を吸収する姿勢、アグレッシブさが好きな方におすすめです。

1977年発表の9thアルバム「The Missing Piece」まで、プログレッシブ・ロックの醍醐味を満喫出来る素晴らしいテクニックや技巧を駆使し水準の高いアンサンブルが聴けます。当アルバムを聴き、Gentle Giantを好きになった方は、まずは、名盤と呼ばれる4thアルバム「Octopus」までの初期4枚のアルバム(後は、1971年発表の2ndアルバム「Acquiring the Taste」、 1972年発表の3rdアルバムThree Friends」)も含め、1stアルバムから順番に触れてみてはいかがでしょうか。

アルバム「Gentle Giant」のおすすめ曲

1曲目は、2「Funny Ways」
弦楽器を贅沢に、途中アクセントをつけながらも、唄メロを含めて優美なメロディが素敵です。

2曲目は、6「Why Not」
Gentle Giantに影響を受けたバンドがもつエッセンスに溢れていると思うからです。当楽曲は、現代のプログレッシブ・ロックを聴くうえでも重要です。静と動のメリハリや、様々なジャンルを織り交ざっています。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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