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プログレおすすめ:Alien Gun「Tales From Unbroken Souls」(2015年チリ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 2015年, チリ, メロトロン, ロック


Alien Gun -「Tales From Unbroken Souls」

第199回目おすすめアルバムは、チリのプログレッシブ・ロックバンド:Alien Gunが2015年9月15日に発表した2ndアルバム「Tales From Unbroken Souls」をご紹介します。
Alien Gun「Tales From Unbroken Souls」

Alien Gunは、2011年に、チリの首都Santiagoで、Felipe Ábrigo(キーボード、ギター、シンセサイザー、ボーカル)とAndrés Riobó(ギター、シンセサイザー、ボーカル)の2人での結成がきっかけでした。

2013年発表の1stアルバム「Dreaming at 1420Mhz」は、制作の過程で、Claudio Calderón(ベース)、Germán Mendoza(ドラム)が加わり、最終的に4人編成のバンドでしたが、その1stアルバム発表後に、リズムセクション(ベース、ドラム)が脱退してしまい、当アルバム「Tales From Unbroken Souls」の制作時には、Jorge Peña(ベース)とSamuel Álvarez(ドラム)を新たに迎え入れ、制作しています。

バンドの音楽の特徴は、自らの出身地を「Spiral Universe」(=渦巻銀河)と語るほどに、空間処理を施したサウンド・メイキングをベースとし、1970年代から2000年代のブリティッシュ・ロック(英国ロック)のプログレッシブ・メタル、オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、インディー・ロックも含め、プログレッシブ・ロックから派生するジャンルを多用に表現しているクロスオーヴァー系ではないでしょうか。

当アルバムは、人生において仕事、愛、挫折、失望、生死などに直前した時に内外面で感じるうつろう心情のさまを描くことをコンセプトのもとで制作されています。たとえば、5大プログレバンド:Pink Floydのアルバム「The Wall」やDavid Bowieのアルバム「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」のコンセプト・アルバムにあるメロディックさ、King CrimsonやPorcupine Treeにみる薄暗さや陰鬱さなど、

パーソナルな幸福と苦悩を表現するかのように、前作1stアルバム以上に多様性を剥き出しなサウンドに溢れたアルバムです。

楽曲について

ヘビィ・メタル風のギターのリフがリードする冒頭曲「Pull Myself Down」は、ヴァースでのビートのドライブ感が冴えわたるギターのリフをメインとしたアンサンブルと、ミドル部の2000年代のブリティッシュ・ロックのインディ・ロックシーンの楽曲を彷彿とさせる歯切れ良さあるギター・カッティングと唄メロが対照的な楽曲です。また、インストルメンタルのパートでPink Floydを想起させるサイケデリック/スペース系を醸し出すエフェクトな処理や、メンバー全員がボーカルを取るぐらいにコーラスワークの爽快さなど、ファーストタッチに突き抜けていきながらも、Ailen Gunのアイデンティもちらほら見え隠れしてます。

2「Stardust」は、エレクトリック・ピアノの旋律とギターによる物憂げなアンサンブルで幕を上げ、35秒前後のディスト―ションかかったギターのタメを合図に、40秒前後からメロトロンの音色が聴こえます。エレクトリック・ピアノの旋律が醸し出す残響さとともに、ハーモニウムをともなう唄メロの唄い上げるメロディラインには、Pink Floydのアルバム「The Wall」を聴いてる心地へとサウンドスケープさせてくれます。さらに、3分20秒前後からのフラジングされたギターの旋律やリフをメインとしたアンサンブルとサイケデリック/スペース系なサウンドには、まさに第2期King Crimsonの薄暗さや混沌さなど1970年代のクラシカルなロックが聴けます。それでいて、メロトロンが盛大に盛り上げ、クロージングまで体感する当感覚は仄かな切迫さはあるものの、コンテンポラリーな処理がされています。

アルバム・コンセプトのうち「愛と心傷」を描き出したと云う3「Blew It All To Hell」、5「Nice To See You」、7「Softly Turn Away」もまた、1分に満たないPink Floydを彷彿とさせる残響音による小曲4「Tumour」とオーケストラによる小曲6「Softly Turn Away, The Prologue」)を挟み、1970年代から2000年代に溢れたロマンチックでメロディックな唄メロのメロディラインと浮遊さあるアンサンブルが愉しめます。

8「Throes」は、ほんの約1分30秒前後の楽曲ですが、最初と最後に波のSEを挟み、ミステリアスな音色によるシンセの独奏がモノトーンに響き、開閉するドアの音、マッチを擦り煙草を吸い一息をつくまでをリアルにもサウンドスケープさせ、直前までのコンセプトに一区切りをつけるかのような印象深さがあります。

より掘り下げたテーマを取り上げ、見離されていく人々を描く9「Wasted Chances」では、サイケデリック/スペース系のサウンドとともに、2「Stardust」の憂いさよりもディープな世界を魅せてくれます。そして、死への祈りを込めた最終曲10「Pray For Death」では、終始、テンションの高いギターのプレイが冴えわたり、4分前後からは、ギター・ソロが執拗なまでに唸りをあげ、最後には虚無しか残らないかのように、ノイズ音がたちこめ、楽曲はクロージングします。

アルバム全篇、チリの地の利もある独特なアンサンブル(ラテン音楽など)はほぼ感じられず、英国ロックの懐かしきロマンチシズムやメロディックさ溢れる唄メロのメロディラインに、時としてサイケデリック/スペース系や薄暗さが、時としてオルタナティブ・ロックのざらつくギターの旋律が響き渡るアンサンブルには、イギリスのバンドのアルバムを聴いているかと錯覚してしまいました。このアルバムのコンセプトを表現しきるかごとく、ネガティブに苛まれたアクテビティを濃厚に感じるアルバムです。

[収録曲]

1. Put Myself Down
2. Stardust
3. Blew It All To Hell
4. Tumour
5. Nice To See You
6. Softly Turn Away, The Prologue
7. Softly Turn Away
8. Throes
9. Wasted Chances
10. Pray For Death

「プログレおすすめ」としてのアルバムであるため、1970年代から2000年代のブリティッシュ・ロック(英国ロック)のプログレッシブ・メタル、オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、インディー・ロックを聴いてきた方で、楽器のアンサンブルよりもメロディックな感性が好きな方におすすめです。

プログレッシブ・ロックを聴いてきた方には、メロディックさに幻想さを醸し出させる空間処理やサイケデリック/スペース系のエッセンスが好きな方におすすめです。もしくは、やはり、Pink Floydのアルバム「The Wall」やDavid Bowieのアルバム「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」で魅せるアクテビィティをキーワードに興味をもちましたらぜひ聴いてみて下さい。

現代で言えば、プログレッシブ・ロックの最高峰:Porcupine TreeやSteve Willsonでのメロディックさ、薄暗さ、メタリックさを好む方にもおすすめです。

「Tales From Unbroken Souls」のおすすめ曲

1曲目は2曲目の「Stardust」
ミドルテンポで、メロトロンとサイケデリック/スペース系の音処理に包まれ、綴られるロマンチシズム溢れるメロディックなメロディラインは、どこか懐かしき郷愁を誘うが如く、英国ロックの古き良き音楽に満ち溢れていると感じたからです。

2曲目は10曲目の「Pray For Death」
プログレッシブ・ロック然とした楽曲ではないですが、コンセプト・アルバムとしてのプログレッシブ・ロック系の括りにて、アルバム全楽曲中、救いようのないテーマを描ききるか如く、アンサンブルにエッジの効いたギターの執拗なまでに響くさまは、ざらついた質感に溢れているからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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