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プログレおすすめ:Kauan「Sorni Nai」(2015年ロシア)

公開日: : 2015年, ポスト・ロック, ロシア


Kauan-「Sorni Nai」

第240回目おすすめアルバムは、ロシアのポストロック系のバンド:Kauanが2015年10月20日に発表した6thアルバム「Sorni Nai」をご紹介します。
Kauan「Sorni Nai」

「死の山(Mountain of the Dead)」

バンド名が、フィンランド語で「For A Long Time」を意味するKauanは、2005年に、ロシアはチェリャビンスクで、Anton Belov(ボーカル、ギター、キーボード、プログラミング)によって結成されたバンドです。

2011年発表の4thアルバム「Kuu…」をもって、2007年デビュー当時からユニットを組んでいた女性のバイオリン奏者:Lubov Mushnikovaは脱退してしまいます。Anton Belovがメンバーを刷新し制作にのぞんだ前作2013年発表の5thアルバム「Pirut」に続き、当アルバム「Sorni Nai」でも、Alex Vynogradoff(ベース)、Anton Skrynnik(ドラム)、lina Roberts(キーボード)、Anatoly Gavrilov(ヴィオラ)らとともに、5人編成のバンド形態で制作しています。

当アルバム「Sorni Nai」は、弦楽器がヴァイオリンからヴィオラに変わったことと、ビーなボーカリゼーションやギターのアプローチなど、デビュー以前からの音楽性にあったドゥーム・メタルのエッセンスが比重をあげていることとで、4thアルバム「Kuu…」以前よりも、どっしりとしたバンド・サウンドを感じさせてくれます。それでもなお、シンセサイザーによる旋律に包まれ、アコースティック・ギター、ピアノ、そして、ヴィオラによる音1つ1つには、Anton Belovがデビュー時から提示してきたアンビエント系やポスト・ロック系のサウンドも盛り込まれており、

重厚なコンセプトをヘビーなアプローチで響かせるサウンドが聴けるアルバムです。

コンセプトと楽曲について

当アルバムは、1959年2月2日の夜、当時のソ連領ウラル山脈の北部で、「死の山(Mountain of the Dead)」と呼ばれる山の東斜面をスノートレッキングしていた男女9人の登山グループを襲った「ディアトロフ峠事件」と云う実話をコンセプトにしてます。

男女9人が異なる場所で不可解に死因不明の遺体となって発見された当事件は、1990年の映画「Die Hard 2: Die Harder(邦題:ダイ・ハード2)」や2001年の映画「Driven」などの映画監督として知られるフィンランド人Renny Harlin監督によって、2013年に映画化された「Devil’s Pass / The Dyatlov Pass Incident(邦題:ディアトロフ峠事件)」をご存知の方もいらっしゃることと思います。

「バンドとして最も全うするべきことは、楽曲が聴き手の聴覚に旅をもたらすこと(Our ultimate mission as a band is to create an aural journey with every song we create)」(←解釈が間違っていたら申し訳ありません。)と語るバンドは、この奇妙な事件を取り上げ、型式ばった表現や道理に束縛されることない音楽をもって聴き手の聴覚に触れさせ、避けようもなかったこの自然の驚異やこの不可解さをサウンドスケープをさせるかのようです。

タイトル楽曲「Sorni Nai」のみで、7つのパートで構成された約52分にも及ぶ大作には、そのコンセプトに基づいた心情風景へ訴えかけるサウンドの断片に溢れているのです。

吹き荒れる雪風の猛威を連想させるSEで幕を上げる第1パート「a. Akva」は、女性のスキャットとヴィオラの旋律が物悲しく鳴り響く冒頭部から、ピアノの旋律と自然のSEを覆うシンセサイザーの音の波による中間部、男性のボーカルが綴るヴァースと壮大に拡がるサウンド・・・いやがおうでも「死の山(Mountain of the Dead)」をサウンドスケープさせてくれます。

シンセサイザーによる壮大な旋律、ニューエイジ系のAdiemusを彷彿とさせダークに重苦しくしたヴォイシング、語り手となる男性のナレーション、アコースティック・ギターやヴィオラやピアノの独奏、そして、ドゥーム・メタルによるアンサンブルやボーカルによる展開などで、続き第2パート「b. Kit」、第3パート「c. Khurum」、第4パート「d. Nila」、第5パート「e. At」、第6パート「f. Khot」、第7パート「g. Sat」音楽を綴っていきます。

最終パートとなる第7パート「g. Sat」は、冒頭部からドゥーム・メタルによるヴォイシングが炸裂し、気がつけば、ギターがほぼロングトーンで一定のフレーズをメインに響かせ、途中からタイトなドラムとスキャットが加わり、吹雪とも轟音とも似たSEへ繋がるようにして、アルバムはクロージングをします。

このまま第1パート「a. Akva」を聴きなおせば、抽象的なSEがイマジネーション溢れるSEへと、再度、アルバムのコンセプトを脳裏に思い浮かべてしまうぐらいに・・・。

[収録曲]

1. Sorni Nai
– a. Akva
– b. Kit
– c. Khurum
– d. Nila
– e. At
– f. Khot
– g. Sat

コンセプト・アルバムを聴きたい方におすすめです。

そして、ドゥーム・メタル系も聴けて、ポストロック系やアンビエント系の音楽が好きな方にもおすすめです。

また、アメリカのポストロック系のバンド:Explosions in the Sky、スイスのプログレッシブ・メタル系のNucleus Tornなど、ポストロック系やアンビエント系と云う括りだけではおさまりきれないプログレッシブ・ロックのエッセンスがあります。

アルバム「Sorni Nai」のおすすめ曲

※当アルバムは、コンセプト上、アルバム全篇がおすすめです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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