プログレおすすめ:Hidria Spacefolk「Hdrsf-01」(2001年フィンランド)
公開日:
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最終更新日:2015/12/29
2000年代, スペース・ロック, フィンランド, フルート Hidria Spacefolk
Hidria Spacefolk – Hdrsf-01
第128回目おすすめアルバムは、フィンランドのサイケデリック/スペース系の:Hidria Spacefolkが2001年に発表した1stEP盤「Hdrsf-01」をご紹介します。
Hidria Spacefolkは、イギリスのサイケデリック/スペース系では重要なバンド:Ozric Tentaclesの音楽性に影響を受けたKimmo Dammert(ベース)、Mikko Happo(エレクトリック・ギター、ディジュリドゥ、ポストホルン)、Sami Wirkkala(アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、MIDIギター、ジャウ、パーカッション)、Janne Lounatvuori(ローズ・ピアノ、シンセ)、Teemu Kilponen(ドラム、パーカッション)の5人編成によるバンドです。
影響を受けたというOzric Tentaclesがもつギターのアンサンブルや重厚なアンビエントさよりも、ファンキーさやジャズ系のエッセンスを感じさせるメロディラインと、当ジャンルといえば印象的に残るフルートだけでなく、チェロやヴァイオリンなど誰もが想像しうる弦楽器やワールドワイドな弦楽器(ディジュリドゥ、マリンバ、マンドリン、シタール、ヴィブラホーンなど)の音色がアンサンブルを彩る楽曲もあります。
一聴すれば、アコースティックなアンサンブルに、
バンドの名称の一部が的を得ているような「Space」と「Folk」的な「Spacefolk」サウンド
を感じさせてくれるアルバムです。個人的には、北欧のバンドが持つラジカルさなどよりも、たとえば、イギリスのバンド:Kula Shakerの3rdアルバム「Stangefolk」を彷彿とさせるオーガニックなブリティッシュ・フォークにサイケデリック/スペース系のエ
ッセンスが融合したサウンド・メイキングを感じずにはいられません。
楽曲について
冒頭曲「Amosame」は、ミニマルなギターのリフとカッティングをメインのアンサンブルに、フルートやギターがいくつかの魅力的なテーマを奏でる楽曲です。そのアンサンブルも、5分50秒前後に、レゲエ調にリズムチェンジし、エレピによるシャレたフレーズが繰り出す展開が待っています。冒頭曲の当展開を聴けば、2曲目以降にもどのような楽曲構成が待っているのか、レンジを拡げ聴く耳を傾けていきたくなります。
サイケデリック/スペース系の持つビンテージ感やアコースティックさの古めかしさよりも洗練された楽曲の躍動さが心に訴えてくる。癖になる感覚を憶えた。
2「Kafar-I」は、ひきずるようにもきめ細やかなドラミングに、変拍子や変則なカッティングを凝らしたギターがメインに展開する楽曲です。冒頭曲よりもサイケデリック/スペース感を増す中、 堰を切ったよう放たれる4分前後からのギター・ソロの伸びやかでクールなフレーズにただただ恍惚と聴き入ってしまいますね。ためを効かせたリズム感がさえたファンキーさやフュージュンっぽさもあるアンサンブルは、あまりにもクールすぎます。
ドイツのクラウトロックを彷彿とさせるシンセのリフが印象的な3「Sindran Rastafan」は、5大プログレバンドの1つ:Pink Floydを彷彿とさせるブレイクや、東洋的なメロディラインを聴かせるなど、リズムセクションよりもサウンド感の妙を愉しめる楽曲です。メイン・テーマを奏でるギターのパート以上に、アンサンブル真っただ中で展開される音の空間処理を歪めたサイケデリックなトリップ感に腫れてしまいます。
4「Gnomen」は、フィンランドの地特有であろうパーカッシブなリズムに、エレクトロな音色をメインとしたテーマが展開される楽曲です。
5「Marastronaut」は、中間部のミニマルにも変則的なハードエッジなギターのリフを交えながら展開される楽曲です。どことなくイギリスのサイケデリック/スペース系で重要なバンド:Porcupine Treeのハードさを抑えたリフを彷彿とさせます。
前半楽曲ではリバーヴによる残響さやディレイによる奥行きさがありながらも、アコースティックな弦楽器を交えた洗練されたアンサンブルをサイケデリック/スペース系、中間の楽曲ではリズムセクションやサウンド・メイキングでのエッセンス、後半の楽曲ではエレクトロさや現代サイケデリック/スペース系の持つヘビーなエッセンスなど、多種多様な楽曲の展開に、来たるべく1stアルバム「Symbiosis」のサウンド感を期待させてくれるEP盤です。
[収録曲]
1. Amos Ame
2. Kafar-I
3. Sindran Rastafan
4. Gnomen
5. Marastronaut
イギリスのOzric Tentaclesはもちろんのこと、フランスのGong、デンマークのMantric Muse、ベルギーのQuantam Fantayなど、ラガー・ロック調も垣間見えるサイケデリック/スペース系のプログレッシブ・ロックのエッセンスが好きな方におすすめです。
特に、フィンランドの地特有のリズム感や、アコースティック・ギターや弦楽器を活かしたアンサンブルが印象的なため、プログレ・フォーク系やラガー・ロックなどの聴く方が、サイケデリック/スペース系を聴きたいという方におすすめですね。
当EP盤を聴き、Hidria Spacefolkにご興味を持った方には、2002年発表の1stアルバム「Symbiosis」もおすすめです。当EP盤の各楽曲に垣間見えた多彩なエッセンス(エレクトロ、ファンキー、パーカッシブ、中東風など)を楽曲ごとに昇華し、サイケデリック/スペース系のエッセンスを素敵に聴かせてくれます。
アルバム「Hdrsf-01」のおすすめ曲
※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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