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プログレおすすめ:Judy Dyble「Talking With Strangers」(2009年イギリス)


Judy Dyble -「Talking With Strangers」

第56回目おすすめアルバムは、イギリスのシンガー・ソングライター:Judy Dybleが2009年に発表した4thアルバム「Talking With Strangers」をご紹介します。
Judy Dyble「Talking With Strangers」
Judy Dybleは、イギリスのフォーク歌手:Sandy Dennyがヴォーカル参加し有名なトラッド・フォーク系のバンド:Fairport Conventionにて、初代ボーカリストを担っていたことで有名です。当アルバムでは、これまでのアルバム同様に、オーボエ、ヴァイオリン、サックスなどの金管木管楽器などが楽曲に色を添えながら、さらに同国のKing Crimsonや前述のFairport Conventionのメンバーや、フィーメールを主軸とするヴォーカリストが多数参加しています。

顕著な参加メンバーでは・・・
前作3rdアルバム「The Whorl」に続きギターで参加のRobert Frippに加え、サックス、フルート、ウクレレでIan McDonaldがKing Crimson人脈で参加しています。King Crimsonの1stアルバムの2曲目「I Talk To The Wind(邦題:風に語りて)」をカバーしていましたが、当アルバムでもKing Crimsonの抒情さやリリカルさを聴くことが出来ます。特に約20分に及ぶ最終曲「Harpsong」では、例えば、King Crimsonの3rdアルバム「Lizard」期を想起させるようなインプレのアンサンブルを含み、じっくりと聴かせてくれるんです。

その他、アコースティックギターで参加のSimon NicolはFairport Conventionのバンドメンバーであり、冒頭曲「Neverknowing」をはじめ、印象的なアルペジオのフレーズを聴かせ、プログレッシブ・ロックバンド:Porcupine TreeのSteven Wilsonとともに結成したNo-ManからはTim Bownessがギターで参加しています。

そして、さらに驚いたのは、PentangleのJacqui McShee、ALL ABOUT EVEのJulianne Regan、TREESのCelia Humphrisなど、同国の重要なプログレッシブ・ロックバンドでヴォーカルを取る女性ボーカリストがバッキングボーカルとして参加しています。各楽曲を聴き、これまでのアルバム以上に、たおやかな女性らしさの印象も感じます。

楽曲について

冒頭曲1「Neverknowing」はアコースティックギターによるアルペジオとJudy Dybleだけの2分弱の世界観。穏やかで清涼感のあるフォークの旋律が進行していきます。そして、Judy Dybleによるオート・ハープがアンサンブルへ加わった瞬間に、2曲目「Jazzbirds」へと移行します。そのオート・ハープによる煌びやかでいて仄かな演奏と少しばかり物憂げなヴァースに、1980年代のIan McDonaldの楽曲に垣間見られた独特なコーラスワークが聴けたかと思えば、1分40秒前後から、そのIan McDonaldによるリリカルなソロが聴けます。アンニュイで物憂げな退廃感を感じさせる楽曲でありますが、どことなく懐かしくなる3分ほどの楽曲。このアンサンブルで尺をもっと長くし構成をして欲しかったと思うぐらいに素敵な時間なんです。

3「C’est la vie」は、5大プログレバンドのEmerson, Lake & Palmerのアルバム「Works Volume1」収録曲でGreg Lake主導の楽曲のカバー。原曲はギターのアルペジオとGrek Lakeの抑制を利かせたヴォーカリゼーションで印象的な「C’est la vie」やウクレレのソロなどが印象的ですが、Ian McDonaldによるウクレレも交え、同様に抑制を利かせたヴォーカリゼーションで応えています。冒頭曲1と2の次に連なる楽曲にも違和感なく収まり、しっとりとほんのりと。

4「Talking With Strangers」はシークエンスを活かしたピアノの伴奏のみによる印象的な楽曲で、同国のプログレフォークなバンド:Renaissanceの小曲を想起してしまいます。

5「Dreamtime」は、ゲストヴォーカルで参加しているJacqui McSheeのバンド:Pentagleの初期楽曲で感じえたトラッド的な風味を色濃く感じるんです。Judy Dybleのオートハープ、そして、オーボエに、男性によるコーラスがサビにアクセントを加え、後半部で聴けるIan McDonaldのフルートも印象的です。楽曲のタイトルを想起させてくれる音感で溢れていると思います。

6「Grey October Day」はピアノの伴奏と女性ボーカルの出だしから物悲しくメランコリックさを綴られていきます。途中から男性ボーカルも加わり、半音階ずつ堕ちていくヴァースに、音と音の間に溜息をつくことも忘れるぐらい聴き入ってしまいますね。男女混成のボーカルに、アルトサックスが哀愁を帯びたフレーズを聴かせれば、映画の悲哀を讃えたラストシーンのようでいて、緊張感のあるサウンドスケープなんです。一聴した時には、たとえば、同国のミュージシャン:Paul MaCartneyが1970年初頭に結成したバンド:Wingsの1972年発表の1stアルバム「Wild Life」の最終曲「Dear Friend」を想起してしまいました。きっとこの楽曲でアルバムが終了してしまっていたら、心は深く浸ったままではち切れそうになったままで・・・。

ただ、このアルバムでは、次に約20分にも及ぶ最終曲「Harpsong」を控えています。プログレフォーク的な流れを前曲6「Grey October Day」でジャジーな要素で聴かせ、当曲では、例えば、King Crimsonの3rdアルバム「Islands」期を想起させるようなインプレのアンサンブルを含むことで、混沌としたプログレッシブ・ロックな構成としてアルバムがクロージングします。冒頭曲1「Neverknowing」で聴かれたテーマを少しずつ変えながらも、当アルバム全体で聴かれる印象的なコーラスワークに導かれ、クロージングします。

[収録曲]

1 Neverknowing
2 Jazzbirds
3 C’est la vie
4 Talking With Strangers
5 Dreamtime
6 Grey October Day
7 Harpsong

プログレフォーク的なアンサンブルも確かに聴けますが、3rdアルバム「The Whorl」でのKing Crimsonの1stアルバムの2曲目「I Talk To The Wind(邦題:風に語りて)」のカバーにはじまり、Robert FrippとIan McDonaldがアルバムに参加することで、King Crimsonの楽曲に通ずる緊張感や2010年来のモダンなサウンドスケープが見えてきます。アルバムは、前半部(1、2、3、4,5)の楽曲にKing Crimsonの1stアルバムや2ndアルバムで感じた抒情さのあるプログレフォーク的な流れ、後半部(6、7)の楽曲に3rdアルバムや4thアルバムの静寂さや混沌さのあるフリージャズ的な流れを感じずにいられません。

イギリスのMellow Candle、Renaissanceに代表されるプログレ・フォークなバンドのサウンドが好きな方におすすめですが、きっとKing Crimson的な抒情性や緊張感のあるアンサンブルを愉しみたい方にもおすすめですね。

当アルバムを聴き、Judy Dybleの抑制されたヴォーカリゼーションによるトラッド調、フォーク調のプログレ楽曲を好きになった方には、Robert Frippが参加した3rdアルバム「The Whorl」や2ndアルバム「Spindle」だけでなく、Judy Dybleのオートハープがより効いた1stアルバム「Enchanted Garden」も含め、全アルバムがおすすめです。

アルバム「Talking With Strangers」のおすすめ曲

1曲目は、2曲目「Jazzbirds」
タイトルから連想しどんな楽曲かと思えば、King Crimsonの抒情さを十分に感じ、もっと尺を長く聴き続けたいと願ってしまうんです。フルートやコーラスワークで見落としがちですが、Robert Frippによるサウンドスケープが表情を豊かにさせてるのではないかと強く感じずにはいられません。

2曲目は、6曲目「Grey October Day」
男女混成による最後のヴァースが落ち着く瞬間までの張りつめた緊張感は絶望的なサウンドスケープかもしれませんが、この世界観を生み出すことはなかなか耐えがたいと思うんです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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