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プログレおすすめ:Uriah Heep「Look At Yourself(邦題:対自核)」(1971年イギリス)


Uriah Heep -「Look At Yourself」

第294回目おすすめアルバムは、イギリスのハード・ロック系のバンド:Uriah Heepが1971年に発表したアルバム「Look At Yourself(邦題:対自核)」をご紹介します。

Uriah Heep「Look At Yourself」

自分を見ろ

もしかすると、1971年当時、店頭に並んでいたオリジナルLPのアルバム・ジャケットを手にしていたら、反射素材のホイールを用いた「鏡」がその中央正面に配置され、覗けば、まさに「自分を見ろ!」と心地になったかもしれない。物心を憶え、自らが入手したのはCD形態でした。さらに、既に様々な手法でアルバムは再発がされ、中央の「鏡」の形状やサイズもジャケット全体と比べて、どれが本当のオリジナル比率なのか分からない状態でした。

そして、1970年代のロックに傾聴していた頃、某雑誌で、Led Zeppelin、Deep Purple、Blach Sabatと並び、4大ハードロックバンドとして紹介されてた記憶もあります。「異なる音楽スタイル」の先進性は抜きんでてたものの、他3つのバンドと比べては音楽史上にうすれた存在であると、いろいろな文書で拝見してますね。

・・・それは、このバンドが好きだからやりきれない・・・

そう、知る人のみが知る通なバンドと捉えられたとしても、魅力あふれる「姿」を伝えたい。

そう、「自分を見ろ」の姿勢で。

Uriah Heepは、1967年に、David Byron(ボーカル)とMick Box(ギター)が結成したSpiceと云うバンドを母体に、Paul Newton(ベース)、Ken Hensley(オルガン、ギター、ボーカル)、Alex Napier(ドラム)が加入し、1970年に、バンド名をUriap Heepとして改名し、1stアルバム「VERY ‘EAVY, VERY ‘UMBLE(邦題:…ヴェリー・ヘヴィ・ヴェリー・ハンブル)」でデビューを飾ります。

ただ、3rdアルバム制作までにリズムセクションのベースとなるドラマーの変更が多く、初代ドラマー:Alex Napierは1stアルバムに部分的に関与し、楽曲によってはNigel Olssonがドラムを叩いてますし、1971年発表の2ndアルバム「SALISBURY(邦題:ソルズベリー)」では、ドラマーはKeith Bakerに変更されてます。当3rdアルバム「Look At Yourself」では、正式なクレジットはないままに、Iain Clarkがドラムを叩いてます。

バンドの特徴は、Deep Purpleを彷彿とさせるKen Hensleyによるオルガン(ハモンドオルガン)のリフを全面に押し出し、また、当時のハードロック系やメタルバンドには塁をみないコーラスワークと、キャッチ―な唄メロのメロディラインだと思います。音楽ジャンルではあやふやな括りが多いですが、プログレッシブ・ロックで語られる時には、プログレ・ハードに括られることもあるアンサンブルに様式美を感じさせてくれます。

当3rdアルバム「Look At Yourself」は、アルバムごとに代わるドラマーの存在、そして、オリジナル・ベーシストであるPaul Newtonが最後に関わった作品である経緯や、Mick Boxによるアイデアと云われる「鏡」のクリエイティビティなどがありつつも、次作以降、これまで以上に評価が上がっていく上昇気流に追い風へ乗った感覚となる傑作アルバムです。

1970年代のロックファンであれば、楽曲「Look At Yourself」や「July Morning」などは一度は耳にしたことあるかもしれない超名曲が彩り、Uriah Heepらしさを感じえると思います。

楽曲について

ハモンドオルガンの豪快なリフが際立ち、エッジの効いたギターとベースもドライブする強力なアンサンブルの冒頭曲1「Look At Yourself」は、アルバム・タイトル楽曲にして、バンドの代表曲です。ヴァースとヴァースを繋ぐギターの印象的なプレイ、Ken
Hensleyによる伸びやかなボーカリゼーション、攻撃的でメロディックな唄メロとユニークなコーラスワーク、後半部の叩か見かけるパーカッシブなアンサンブルなど、次作4thアルバム「Demons and Wizards(邦題:悪魔と魔法使い)」でヒットした楽曲「Easy Livin(邦題:安息の日々)」のキャッチーな唄メロだけでない、インストルメンタル部も含めた構成美で聴かせるキャッチ―なハードさが素敵です。

2「I Wanna Be Free」は、Uriah Heepそのものでユニークなコーラスワークがまず耳に残り、それは後発バンドに多大な影響を受け、世界各地で活動するプログレッシブなロックバンドの楽曲に垣間見えたります。ギター奏法を含めたアンサンブルやサウンド・メイキングなどは、アメリカのロック・バンド:Allman Brother bandのツインリード・ギターのプレイスタイル、特に、”sky dog”こと、Duane Allmanのプレイを彷彿とさせます。

ブルガリアの伝承にインスピレーションを受けて制作されたと云う3「July Morning(邦題:六月の朝)」は、約10分30秒前後にも及ぶ大作です。まず1「Look At Yourself」で畳み掛けるようにリフをスタイルとしたオルガンを、単音をベースとしたリリカルなフレーズが耳に入り、離れられくなります。哀愁を帯びたオルガンのフレーズと、David Byronが淡くも儚いボーカリゼーションで唄うヴァースは、ヴァースの合間をオルガンがリフで彩ることで奥行きを感じ、心の琴線に触れていきます。多くのロックファンがこの唄メロの展開に心を鷲掴みにされただろう。何度となくヴァースの切れ目で溜息のように繰り返されるボーカルとコーラスワークの妙、そしてギターのリフが入るサビ部での盛り上がりは、どこまで心が鷲掴みにされるのだろう、と感じてしまいます。そして、5分前後からのギター・ソロや、6分40秒前後からオルガンのリフレインされる旋律と、途中からユニゾンするギターに合わせて7分30秒前後から絡み合うモーグ・シンセサイザーによる旋律が、混沌と哀愁とのバランスを危うく保ち続けクロージングへ向かいます。

きっとDeep Purpleが1970年に発表した名曲「Child In Time」(※アルバム「Deep Purple in Rock(邦題:インロック)」収録)も同様な心地で聴いた記憶が脳裏を過る方もいるかもしれない。1970年代当時のヴィンテージな音色によるロック世界観が溢れてます。

4「Tears in My Eyes」は、2「I Wanna Be Free」と同様にアメリカのロック・バンド:Allman Brother bandを彷彿とさせるギターがメインのアンサンブルで、1分35秒前後からのアコースティック・ギターをメインに徐々にエレクトリック・パートの楽器が重なっていきますが、3分前後まで約1分30秒にも及びコーラスワーク「Na Na Na~♪」による独特なパートの展開が堪能出来ます。このコーラスワークは、現代であれば、アメリカのハードロック系のロックバンド:Bon Joviを彷彿とさせてくれるでしょう。3分10秒前後からはスライド・ギターを中心に、音圧を上げていき、4分15秒前後に最初のヴァースへと戻り、ロッキングし楽曲はクロージングを迎えます。

5「Shadows of Grief」の冒頭のオルガン一閃とドラムのタム回しは、後年1974年発表の名曲「Return To Fantasy(邦題:原点への回帰)」を彷彿とさせる重厚さを感じますが、25秒前後からのオルガンの不気味なリフとリフにユニゾンするコーラスワークから異なった重厚さ溢れるアンサンブルへと展開していきます。1「Look At Yourself」よりもテンポアップし、切迫さとラフさは、ハードロック系とプログレッシブなエッセンスが合わさり、先見性あるプログレ・ハード系ともいえるべきクオリティを感じにいられません。

畳み掛けては、3分55秒前後からギターのローサウンドに這いずるように響き渡り、4分10秒前後から不気味なコーラスワークによるUriah Heepの特徴の1つである魔的な世界観が拡がっていきます。6分前後に前半のハードなパートへ戻り、6分55秒前後からオルガンのみによる独奏がこだまし、ギターが混沌となるフレーズをはじめ、サウンド・オブストラクトが織りなすサイケデリックな世界観を漂わせながら、8分前後にハイトーンヴォイスが響き渡り、さらにシンバルが響き渡ると同時に、約8分40秒にも及ぶ大作は終わります。

6「What Should Be Done」は、ヴィブラードが端正にも落ち着いた唄メロのメロディラインとともに、オルガンをバックに、ピアノのリフの比重が高い楽曲です。ヴァースでのコーラスワーク(Ohh~la~la)、ワウワウ・ギターによるフレーズなど、アルバム楽曲では、終始し落ち着きを持ってます。

オルガンの重厚なフレーズで幕を上げる最終曲「Love Machine」は、リズミカルな印象にもツイン・ギターならではのハードでキャッチ―な楽曲です。2分15秒前後からのソロと、途中途中でギターとオブリガードするプレイのあるオルガンの存在は、「Look At Yourself」よりもオルガン比重を抑え、楽曲後半は、パーカッシブではなくノイジーなサウンドが比重のあるクリエイティブがあります。

アルバム全篇、全体的にノリの良さ溢れるベースラインと、キャッチ―な唄メロが中心のハードロック系の楽曲が占め、また、オルガンとコーラスワークを交えつつ、随所に3「July Morning」と6「What Should Be Done」など楽曲全体にリリカルさ、哀愁さや憂いさを感じさせる楽曲があったりと、傑作アルバムであることも頷ける内容です。

[収録曲]

1. Look at Yourself
2. I Wanna Be Free
3. July Morning
4. Tears in My Eyes
5. Shadows of Grie
6. What Should Be Done
7. Love Machine

ロック系であれば1970年初頭のハードロック、プログレッシブ・ロック系であれば、プログレ・ハード系やアートロック系が好きな方におすすめです。

当アルバムを聴き、Uriah Heepにご興味を持たれた方は、1stアルバムから順番に聴くのもおすすめしたいところです。もしくは、
同年1971年発表の次作4tアルバム「Demon And Wizards(邦題:悪魔と魔法使い)」、1972年発表の5thアルバム「The Magician’s Birthday(邦題:魔の饗宴)」の2枚のアルバムはぜひ聴いて欲しいアルバムです。

当アルバムで印象的なUriap Heedのアンサンブルやサウンド・メイキングがちらほら見受けられる、1972年発表の6thアルバム「Sweet Dream」、1973年発表の7thアルバム「Wonderland(邦題:夢幻劇)」、1974発表のアルバム「Return To Fantasy(邦題:原点への回帰)」まで、おすすめです。

アルバム「Look At Yourself」のおすすめ曲

1曲目は、3曲目の「July Morning」
前半部の唄メロのメロディライ、後半部のムーグシンセサイザーが加わるインストルメンタルのパートなど、哀愁さ、憂いさ、ウイットさや、徐々に盛り上がり積み重なっていくスローテンポな楽曲と云う点でもを鷲掴みにされるエッセンスが多いです。

2曲目は、冒頭曲1曲目の「Look at Yourself」
キャッチーでハードな前半部とパーカッシブで陶酔さを感じさせる後半部で、それぞれに異なる魅了をされます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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