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プログレおすすめ:21st Century Schizoid Band「Live In Japan」(2002年イギリス)


21st Century Schizoid Band -「Live In Japan」

第208回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:21st Century Schizoid Bandが2002年に発表したライブ・アルバム「Live In Japan」をご紹介します。
21st Century Schizoid Band「Official Bootleg Volume One」
当アルバムは、King Crimsonの1stアルバム「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)」を発表後に脱退したIan McDonaldとMickael Gilesがメインとなり、1970年代初期のKing Crimsonの音楽を再現しようとし、Mel ColinsとPeter Gilesに、Jakko M Jakszykを加えた5人編成で、2002年11月6日に日本の新宿厚生年金会館で行ったライブの実況盤です。

実際のライブでは、Ian McDonaldがアルトサックス、キーボード、グランド・ピアノ、パーカッションを、Mel Collinsが各種サックス(バリトン、テノール、アルト)、フルート、キーボードを駆使し、Peter GilesのベースとMichael Gilesのドラムによるリズムセクションに、Jakko M Jakszykがギターを弾きながらボーカルを担当していたかと思います。

ライブのセットリストには、第1期King Crimsonのアルバムのうち3枚(1969年発表の1stアルバム「In The Court Of The Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)、」、1970年発表の2ndアルバム「In The Wake Of Poseidon(邦題:ポセイドンのめざめ)」、1971年発表の4thアルバム「Islands」)と、Ian McDonaldとMichael Gilesのプロジェクトや各ソロアルバムから選曲され、

Ian McDonaldとMichael Gilesのソロ活動を含む、第1期King Crimsonの集大成をイメージしたライブです。

楽曲について

ライブは、Jakko M Jakszyk作曲によるアンビエント風の冒頭曲1「Schizoid Intro」で幕を上げます。約2分ほどの楽曲ですが、当ライブから9年後の2011年に、Robert FrippやMel Collinsらとのプロジェクト・バンド:King Crimson Projekctで制作したアルバム「A Scarcity of Miracles」のモダンな世界観を予見してそうでたまりません。

選曲で面白いのは、次の2「A Man, A City」でしょう。楽曲「Picture Of A Ciry(邦題:冷たい街の情景)」(2ndアルバム「In The Wake Of Poseidon」収録)の原曲にあたり、Ian McDonald在籍時のライブでも演奏していた「A Man, A City」を選曲したところにニンマリしてしまいますね。

3「Cat Food」は、原曲よりも明瞭なボーカリゼーションのJakko M Jakszykと、原曲と異なり、Ian McDonaldによるアルトサックスのソロが加わることで、楽曲中盤以降の印象が増した印象です。

4「Let There be Light」は、原曲がイギリスのバンド:Procol Harumのボーカリスト:Gary Brookerのイメージが強い楽曲ですが、Ian McDonaldによるストリングス・アレンジがKing Crimsonの「Red」期の重苦しさを彷彿とさせ尊厳な響きが映えることや歌詞がPeter Sinfiledであることで、違和感なく聴けます。

5「Progress」は、1978年には発売しようとしたが御蔵入りとなり、当プロジェクト発足し、2002年に突如同名タイトル・アルバムが発売となったMichael Gilesによる作品です。冒頭から華麗に吹きまくるバリトンやテノールの旋律とともに、カンタベリー系のジャズ・ロックに仕上がったスピーディーな演奏です。ヴァースではクリーントーンの歯切れの良いカッティング、4分30秒前後からはシンコペーションを多用したメロディックさもあるソロをギターで弾くJakko M Jakszykや、5分30秒前後からのIan McDonaldのアルトサックスのソロなどが印象的です。

6「In the Court of the Crimson King」は、オリジナル音源ではアルバムの最後に収録された楽曲であり、ライブ前半から中盤にかけてのハイライトともいうべきアンサンブルを聴かせてくれます。オリジナル音源よりもトーンを抑えたコーラスワークに、4分15秒前後からのIan McDonaldによるフルート・ソロは聴きどころです。ソロがはじまると同時に、会場から拍手があがり、さらに「Ian~」と声があがるライブ音源ならではの熱狂さを感じえるのです。

7「Formentera Lady」は、原曲でのkeith Tippetらによるフリー・ジャズ系のアンサンブルよりもロックに近しいアンサンブルで進行していく演奏です。Mel Collinsが奏でるピアノに、Ian McDonaldはフルートとアルトサックスを使い分け、楽曲中盤のJakko M Jakszykのスキャットも印象的に、すべての旋律がデュエットしているか如く、それでいて幻想的な世界観を醸し出すアンサンブルは素晴らしいライブ・バージョンと思います。

8「Tomorrow’s People」と9「If I Was」は、当ライブではオリジナル音源に最も近いサウンド・メイキングとアンサンブルを感じさせる演奏です。

10「Ladies of the Road」は、オリジナル音源よりもアルトサックスのエンド・ソロを長めにとり、ディスト―ションの効いたギターのミニマルなフレーズがリフレインしながら、フリーキーな吹きっぷりが炸裂します。

11「I Talk to the Wind」は、オリジナル音源よりも若干テンポアップと同時に、アンサンブルにギターが組み込まれているため、姉妹曲?!の楽曲「Cadence And Cascade」(2ndアルバム「In The Wake Of Poseidon」収録)に近しいアレンジと思います。

12「Epitaph」は、オリジナル音源にほぼ忠実なアンサンブルやサウンド・メイキングではないかと思うのですが、当ライブ音源を聴くことで、名曲は忠実に再現されての素晴らしさをあらためて再認識させてくれます。

13「Birdman」は、約17分にも及ぶオリジナル音源の組曲のうち、最終章の約4分に近いパートだけの演奏です。印象的なコーラスを含まず、ピアノ、オーケストラ、ギターで、いくぶんしっとりと聴かせてくれます。

最終曲14「21st Century Schizoid Man」は、オリジナル音源のもつジャズ系のエッセンスを含むアグレッシブさを感じえる演奏です。さすがにオリジナル音源のもつ混沌さが破壊的なアグレッシブさまでには不十分ですが、Robert Frippとは異なるギター・プレイのアプローチや、オリジナル音源に迫るアルトサックスの吹きっぷりなど聴きどころ満載です。

ライブ全篇、第1期King Crimsonのアンサンブルで感じえた緊迫感や切迫さよりも、各メンバーのスキルフルで質の高い技巧が冴えわたっています。当プロジェクトが2002年活動当時には、Jakko M Jakszykのボーカルやギターに賛否両論を抱く方もいたかと思いますが、現King Crimsonのボーカルを担当することで払拭出来ていると思います。

個人的に、Ian McDonaldの繊細さのあるサウンド・メイキングや各楽器の旋律が好きなんです。ただし、名盤「In The Court Of Crimson King」以来、メロトロンを導入しておらず、当ライブでもメロトロン本体を機材として利用していなかったのが残念でなりません。

「1970年代初期のKing Crimsonを再現しよう」としたプロジェクトであるため、良くも悪くも1970年代初期当時のKing Crimsonと比較してしまいがちですが、懐メロとの印象を持ったとしても、2000年初頭に、その音楽を再現させたくれたプロジェクトのライブとして大いに楽しみたいライブ・アルバムですね。

[収録曲]

1. Schizoid Intro
2. A Man, A City
3. Cat Food
4. Let There be Light
5. Progress
6. In the Court of the Crimson King
7. Formentera Lady
8. Tomorrow’s People
9. If I Was
10. Ladies of the Road
11. I Talk to the Wind
12. Epitaph
13. Birdman
14. 21st Century Schizoid Man

当アルバム「Live In Japan」の各収録曲のオリジナル音源のアルバムは下記のとおりです。
1969年発表のKing Crimsonの1stアルバム「In The Court Of Crimson King」の収録曲
6. In the Court of the Crimson King
11. I Talk to the Wind
14. 21st Century Schizoid Man

1970年発表のKing Crimsonの1stアルバム「In The Wake Of Poseidon」の収録曲
3. Catfood

1970年発表のMcdonald & Gilesの1stアルバム「Mcdonald & Giles」の収録曲
8. Tomorrow’s People
13. Birdman

1971年発表のKing Crimsonの4thアルバム「Islands」の収録曲
7. Formentara Lady
10. Ladies of the Road

1999年発表のIan McDonaldの1stアルバ、鵜「Driver’s Eyes」の収録曲
4. Let There be Light
9. If I Was

2002年発表のMichael Gilesの1stアルバム「Progress」の収録曲
5. Progress

+2. A Man a City(楽曲「Picture Of A City」の原曲

第1期King Crimsonでのクラシカルさ、ヘビーさ、ジャズ系のエッセンスに、叙情さや混沌さがある第1期King Crimsonが好きな方におすすめです。

当アルバムを聴き、21st Schozoid Manを好きになった方は、当アルバムのオリジナル音源が収録されたアルバムと、当バンドが2002年に発表したスタジオ・ライブで収録したアルバム「Offcial Bootleg Volume One」を聴くことをおすすめします。楽曲「Epitaph」以外のKing Crimsonの楽曲と、楽曲「A Man a City」を聴くことが出来ます。

また、ボーカルのJakko M Jakszykが気になった方は、2006年発表のアルバム「The Bruised Romantic Glee Club」を聴くこともおすすめします。

「Official Bootleg Volume One」のおすすめ曲

1曲目は、10曲目の「Ladies of the Road」
2曲目は、7曲目の「Formentera Lady」

大半の楽曲がオリジナル音源に忠実な演奏はしているとは言い切れませんが、4thアルバム「islands」の楽曲は、本来がKieth Tippet Groupのメンバーらによるサウンド・メイキングやアンサンブルをベースとしているため、当プロジェクトのメンバーでの演奏は、他楽曲よりも聴き楽しみがいがあるテイクです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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