プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:Pentangle「The Pentangle」(1968年イギリス)


Pentangle -「The Pentangle」

第295回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックなバンド:Pentangleが1968年に発表した1stアルバム「The Pentangle」をご紹介します。

Pentangle「The Pentangle」

追悼の念も込めて・・・

長い歴史を持つバンドだからこそ、休止や再結成を重ねることがあるかと思います。当バンド:Pentangleは、2007年にデビュー時のオリジナル・メンバーで30年振りに復活するものの、メンバーのうちBert Janschが2011年に、John Renbournが2015年に亡くなってしまってます。当アルバムから連なる数々の作品を聴くことで、その惜しむらくは込めたい想いが、音楽ファンには伝わることを願ってやみません。

追悼の念を込めて・・・

ご冥福をお祈り申し上げます。
Please accept my sincere condolences over the passing of
そして、素晴らしい音楽をありがとうございました。
And thank you for your wonderful playing the style From old days….

1965年以降、それぞれが自身のソロアルバムの制作や、1966年にアルバム「Bert And John」を共同制作するなど、既に音楽キャリアを積む2つのギタリスト:John Renbourn(ギター、シタール、ボーカル)とBert Jansch(アコースティック・ギター、ボーカル)が中心となり、1967年に結成したのがPentangleと云うバンドのはじまりです。

バンドの音楽の特徴は、バンド結成前でに音楽キャリアを積むまでに傾聴していたスタイルが結成後に良質なケミストリーが生まれたことではないでしょうか。

John Renbournのソロアルバムに参加した経緯もある紅一点の女性ボーカリスト:Jacqui Mc Sheeは、トランディッショナル・フォーク系の影響を受けており、後年のバンドの作品(1970年発表の4thアルバム「Cruel Sister」)に結実してます。また、バンドのリズムセクションであるDanny Thomson(ダブル・ベース)とTerry Cox(ドラム、パーカッション、グロッケンスペル、ボーカル)は、Alexis Korner’s Blues Incorporatedという「ブリティッシュ・ブルースの父」と呼ばれるAlexis Kornerのバンドで脇を固めた職人であり、ジャズへの敬愛があります。さらに、バンドの中心人物である2人のギタリスト:John RenbournとBert Janschがブルース・フィーリングのあるジャズ系やフォーク系のスタイルとコンテンポラリー系へ繋がることで、当時のブリティッシュ・フォーク、トラディッショナル・フォーク、ブルースなどのミュージシャンが制作し発表と異なり、一種異質な先進性のある音楽性を生み出します。

1967年にバンド名を冠し発表した当デビュー・アルバム「The Pentangle」は、2ndアルバム以降のポップさ、聴きやすさ、メンバー1人の趣味嗜好に偏重する過程へ経ることのない、バンドが由来する音楽性の原石を感じるだけでない、デビュー・アルバムにして素晴らしき音楽性を発揮したアルバムとして語り継ぐべき名作といえるでしょう。

プログレッシブ・ロックとして括ってしまえば、トランディッショナル系かプログレ・フォーク系のジャンルとしての起源ともなりうるバンドの1つとして紹介されることが多いかもしれません。

楽曲について

シタールの音色が響き渡りつつ、ウッドベースとブラシを駆使したドラムによるリズムセクションがベースラインを司り幕をあげる冒頭曲「Let No Man Steal Your Thyme」は、トランディッショナル系のメロディを流麗にも唄い上げるJacqui Mcsheeのボーカリゼーションに、まず聴き耽ってしまいます。しかし、1分5秒前後から2分前後までのシタール、アコースティック・ギター、パーカッション、グロッケンスペルによるインストルメンタル部へ移行すれば、当バンドの緊張感溢れる一音一音のアンサンブルの構成美が感じられるでしょう。

2分前後からは最初のヴァース部から繰り返され、Jacquiの唄メロのメロディラインに呼応するかのようにシタールがガイドしながら、楽曲はクロージングします。

2「Blls」は、1本のギターがメインとなるリフを徐々にカタチを変えて繰り返しつつ、20秒前後から絡み合うもう1本のギターとのアンサンブルの緊張感が堪らない楽曲です。John RenbournとBert Janschという後年の数多くのバンドやミュージシャンに影響を与えただろう名ギタリストの素晴らしきアンサンブルが堪能出来ます。と思いきや、1分50秒前後から3分前後までに及ぶドラムがメインでタム回しによるソロ・パートを司るのも聴きどころの1つです。前半部でのギターの緊張感溢れるアンサンブルを支えたドラムのパートが1分50秒以降、メインにフォーカスされるというクリエイティブなパフォーマンスを感じずにいられません。

ジャジーなベースラインで幕を上げる3「Hear My Call」は、ブルーズを下敷きにした唄メロのメロディラインにも、Jacquiの物憂げにも淡々と唄うボーカリゼーションが儚くも響き、1分10秒前後からのブルーズ・フィーリングを感じさせるギター・ソロとドラムによるブラシのプレイのパートを挟みつつ、前半2曲よりは、緊張感が和らぎ、肩の力を抜いた感覚を感じます。

4「Pentangling」は、唄メロのメロディラインをガイドしつつ、流麗なギターとの独特なヴァースは、前曲3「Hear My Call」よりも少し緊張感が頭を上げた展開が印象的な約7分にも及ぶ楽曲です。1分50秒前後からのコンテンポラリー系にも通じる未来を予見するエッセンスは、ベースラインに後から絡み合うかのように、2本のギターとのアンサンブルが堪能出来ます。3分20秒前後からはベースラインのソロが展開します。アヴァンギャルド系やメタル系による切迫さや緊張感溢れるアンサンブルにも1種の昂揚感(エクスタシー)を感じえる場合もありますが、トランディッショナル系のメロディラインや楽器構成に、アコースティカルでアンプラグドな感覚を聴くは、また異なった緊張感があり、1つ1つの出音がスキルフルに溢れたミュージシャンであればあるほど、少ない音の積み重ねであっても、聴き手にだましも聴かない圧倒的な心地にさせてくれると思うんです。ただ、とっつきにくいジャンルではあるため、音楽史に於いて他ジャンルよりも評価が埋もれた感が否めないのが心寂しくなってしまいますね。

ドラムのブラシ、ギターとベースのフレットを擦り減るかのように摩擦する指との感触、そして、それぞれの楽器の独奏や絡み合い積み重なる音のアンサンブル、そして、Jacquiによる歌声に、ただただ身震いし聴き耽る。

たった2分ほどの尺の5「Mirage」、Jacquiの晴やかに唄う中では、聴きやすさと云う点で当アルバム隋一の6「Way Behind the Sun」、前半部のヴァースで男女混成のツインボーカルが特徴の7「Bruton Town」など、アルバム後半を聴き行くにつれて、The Pentagleのアンサンブルを耳から身に受けては、ブルーズを下敷きにした唄メロのメロディラインと進行にも、たとえば、2人のギタリストの緊張感溢れるハイブリットなアンサンブルでは、鋭利な刃物のように弦をつまぶくイメージとライブ感をサウンドスケープしてしまいます。

最終曲8「Waltz」は、ワルツというには恐ろしくもファーストタッチで、スピーディなギターのフレーズとともに、リズムセクションがジャージーにも力強く絡み合うアンサンブルが堪能出来ます。3分前後からいったんスローテンポに移行しながらも、ウッドベースによる独奏が響き、ブラシによるドラム、ギターがアンサンブルに絡み合い、4分25秒前後に演奏メンバーが感極まったのか発狂する様が聴き取れるなど、緊張感や切迫感のあるパートを含む楽曲が多い中でも、アルバムの最終曲にして、胸の奥底にある「鼓動」を揺り動かし、気が付けば呼吸のタイミングが楽曲のテンポにシンクロしていくような感覚に陥ってしまいます。

約33分ほどのアルバム全篇にて、個々のスキルフルさがブルーズ・フィーリングにジャズ系が融合し、ハードなフォーク系のアンサンブルとも感じえる研ぎ澄まされたスキルフルさは、トランディッショナルな味わいもあることで、どことなく危うさを感じえる鋭利な刃物のような感覚さえ憶えてしまいます。よくファースト・アルバムがそのバンドの最高傑作や名盤と云われることも多いですが、当バンドも例にもれず、同様な評価で聴きたいアルバムです。

[収録曲]

1. Let No Man Steal Your Thyme
2. Bells
3. Hear My Call
4. Pentangling
5. Mirage
6. Way Behind The Sun
7. Bruton Town
8. Waltz

イギリスのmellow Candle、Renaissance、Keith Cross & Peter Ross、Heron、カナダのHARMONIUM、ドイツのCarol Of Harvestなどのブリティッシュ・フォークに脈するプログレ・フォーク系を聴いてきた方が更に深淵なる起源へとジャンルの奥底へ足を踏み込みたい方におすすめです。

The Pentagleを興味を持った方は、1stアルバムの発表前後過程でメンバーの作曲能力の向上や当時のライブ音源などを納めた同年1968年に発表した2ndアルバム「Sweet Child」がおすすめです。また、BBCのTVドラマシリーズ「Take Three Girls」のテーマ音楽に使用された「Light Flight」を筆頭に「Sally Go Round The Roses」、「House Carpenter」も使用されるなど聴きやすさと商業的成功に繋がった1969年に発表した3rdアルバム「Basket Of Light」もおすすめですね。

また、同時期にトランディッショナル系やフォーク系で活躍した中では、Fairport Convention、Steeleye Span、Albion Country Bandなども聴いてみてはいかがでしょうか。

そして・・・Pentagleもまた、もしも「10大プログレバンド」と云う表現があれば、イギリスで俗に「5大プログレバンド」なる5つのバンド(King Crimson、Genesis、YES、Emerson Lake & Palmer、Pink Floyd)に、個人的に、Rush、Kansas、Uriah Heep、Curved Airとともに、加えてしまう好みのバンドです。

・・・そんなプログレな気持ち。みなさんはいかがですか?

アルバム「Pentangle」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭曲の「Let No Man Steal Your Thyme」
Youtubeで聴いた時には、少しささくれだったギター、ベース、ドラムを中心としたアコースティカルな楽曲とも感じたのですが、楽曲中間部のインストルメンタルなポートでの緊張感溢れる一音一音のアンサンブルの構成美に魅了されてました。それからは当アルバムを入手し、他アルバムも貪りつくすように聴き漁った記憶があります。当時の同系統で「聴けるスタイル」では、個人的に頭一つ抜けてて、個人的に衝撃でしたね。

2曲目は、4曲目の「Pentangling」
アルバムが約30分の尺が「短い」という概念を、当アルバムを聴き終えて、アルバム後半へ聴き続けると忘れてしまう魔力を当楽曲でいつも感じてしまいます。「短い」というよりも、「目の前で今すぐライブで聴きたい」と感じてしまう、気が付けば心悲しくもなる思い入れのある楽曲です。一時期、日本のインディーズのミュージシャンで、ピアノやアコースティック・ギターをメインとしたアコースティカルな編成のライブに足を運んでいたりしたのですが、その想いを心の奥底にあることをあらためて感じる瞬間でもあります。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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