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プログレおすすめ:Hedgehog Pie「The Green Lady」(1975年イギリス)


Hedgehog Pie -「The Green Lady」

第252回目おすすめアルバムは、イギリスのエレクトリック・フォーク系のロックバンド:Hedgehog Pieが1975年に発表したアルバム「The Green Lady」をご紹介します。

Hedgehog Pie「The Green Lady」
Hedgehog Pieは、1969年に活動をはじめ、メンバーチェンジを繰り返しつつ、1975年に、The Doonan Family Bandで活動していたMichael Doonan(フルート、ピッコロ・フルート)とStu Luckley(ベース)とMargi Luckley(ボーカル)に、Dando Shaftで活躍していたMartin Jenkins(マンド・チェロ、マンドリン、ヴァイオリン、タンバリン)、Jed Grimes(エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター)らフォーク系のバンドで活躍していた5人で、1stアルバム「Hedgehog Pie」を制作しデビューを飾っています。

その音楽の特徴は、フォーク系のファンであれば、ロックへと転身を図ったものの解散してしまうDando Shaftからも想像しうるトラディッショナルなエレクトリック・フォーク系のジャンルかと思います。さらに、Michael Doonanによるフルートの旋律にはJethro Tull、掻き鳴らすスタイルのギターの旋律にはFairport Conventionを彷彿とさせるプログレ・フォーク系のエッセンスがアンサンブルに幅をもたせています。

また、Stu LuckleyとMargi Luckleyによる男女混合リード・ボーカルによる英国フォーク系の気品さや翳りあるメロディラインもあり、凛とした音楽を堪能出来ます。

当2ndアルバム「The Green Lady」は、あらたに、Dik(ドラム、コンガ、ピアノ)を加えリズムセクションを強化したことは伺えますが、個人的には、どことなく同国イギリスのカンタベリー系のバンド:Caravanが1972年発表のアルバム「Waterloo Lily」や1973年発表のアルバム「For Girls Who Grow Plump In The Night」を想起させてしまう

個々のスキルフルさがジャズ系とハードなフォーク系のアンサンブルが均衡しメロディアスなサウンドを聴かせてくれます。

そして、何よりも、男女ボーカルが在籍していることは、楽曲に大きく印象を与えるほど、強みとは思います。

楽曲について

冒頭曲1「The Burning Of Auchendoon」は、ギターのクリーントーンによるアルペジオとフルートの旋律が仄かにファンタジックさを醸し出す冒頭部から、女性ボーカル:Margi Luckleyによる凛としたヴァースが展開する楽曲です。イギリスのCurved AirのSonja Kristinaの声質を想起してしまうMargi Luckleyのボーカリゼーションに、男性によるコーラスワークが加わることで感じえる聴き心地と、インストルメンタル部での流麗なフルートの旋律にギターとリズムセクションによるフックなど、ジャズ系のエッセンスを感じながらも、ささやかなカラフルさに彩られ躍動的なアンサンブルが聴くことが出来ます。

2「Forest Child」は、タメを効いたリズムセクションに、チェロ、フルートが加わったヴァースの旋律は仄かにエレガントさを感じるフォーク系の楽曲です。フルートとチェロがユニゾンするタイミングにはぞくっとしてしまいますね。

3「Go With The Flow」は、予測がつかないプログレ・フォーク然とした楽曲です。掻き鳴らすギターとフルートをメインとしたアンサンブルで展開するヴァース、1分20秒前後からのフルートの旋律と男性によるユニークなスキャットでののカンタベリー系を彷彿とさせるパート、1分55秒前後からの冒頭部と異なるパターンでのフォーク系のアンサンブルによるヴァース、2分50秒前後からのノイジー寸前のギター・ソロとユニークなベースラインに絡み合うフルートの旋律、3分50秒前後からテンポアップしたアンサンブルするなど、さまざまなアイデアが盛り込まれ楽曲は展開していきます。

何かを祝うようにフルートの旋律が舞う約2分のトラディッショナルなインストルメンタル曲4「Hunter’s House / The Oak Tree」に次ぎ、5「The Green Lady」は、約6分にも及ぶ大曲です。冒頭部から奏でられるアンサンブルには、フルートの旋律に、チェロの旋律とリズムセクションに、Caravanの1973年発表のアルバム「For Girls Who Grow Plump In The Night」の楽曲「C’thulu Thulu」を軽快にした世界観を感じずにいられません。ヴァースでのMargi Luckleyによる淡々と綴られていく唄メロに、オブリガードで絡み合うチェロの旋律、そして、フルート、ベースによるスローテンポのアンサンブルは、突如、4分30秒前後に、一定なシークエンスのフレーズを弾くベースに、ヴァイオリンやギターが不穏な旋律を奏で、6分前後からのマンドリンとフルートによるヴァースへと移行し、クロージングします。楽曲の展開性も含め、ほどよい緊張感もあるカンタベリー系を感じずにはいられません。

ヴァイオリンとフルートがスリリングな旋律を繰り広げ、途中、ギターとベースも加わるインストルメンタルな小楽曲6「Cool Reelies」に次ぎ、7「The Gardener」は、アコースティック・ギターの歯切れ良いストロークをアンサンブルに、Margi Luckleyがボーカルによる楽曲です。フルート、マンドリン、チェロがアンサンブルに加わり、朗らかでフォーク系のアンサンブルが聴けます。何度も聴けば聴くほど、各楽器が入れ替わりユニゾンする旋律の構成力に溜息がついてしまいます。

8「Daemon Merchants」は、Margi Luckleyが唄う1つのメロディラインに、豊富なアンサンブルのモチーフが彩りを魅せるトラディッショナルな味わいのあるフォーク系の楽曲です。時折、唄メロのメロディラインをなぞるギターのアルペジオをメインとしたアンサンブルのヴァースから、1分10秒前後からアンサンブルにベースラインが加わったヴァース、1分30秒前後からのフルートの旋律による短めのパートを挟み、1分45秒前後から男性がコーラスワークに参加するヴァース、2分25秒前後からMargi Luckleyの独唱に戻り、2分55秒前後から唄メロのメロディラインを弾くギター・ソロ、3分15秒前後からのフルートの旋律にほんの少し聴こえるスキャットとともに、リズムチェンジと裏伯とシンコペーションを活かしたアンサンブルのヴァースへ移行したクロージングを向かいます。終始、微風が吹くか如く流麗なプログレッシブな展開が聴けます。

フルートとヴィオラによるいくぶん重々しいアンサンブルのインストルメンタル曲9「Camlaan Battle」を挟み、最終曲10「Dreamer」は、タイトなドラムと掻き鳴らすアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターが掛け合うかのようなアンサンブルに、低音を効かせた男性ボーカルと女性コーラスが翳りある唄メロのメロディラインを歌唱し、1分40秒前後からロングトーンのメロディラインのヴァースに、短めのギターのフレーズを挟み、2分前後から女性コーラスとともに、より拡がりある唄メロのサビへ展開していきます。エレクトリック・ギターによるロック・サイドのソロが響き渡り、男女コーラスワークやフルートも加わることで、穏やかにも徐々に奥行きをもたせ、いやがおうにも盛り上がりをみせて、フェードアウトし楽曲はクロージングします。

アルバム全篇、トラディッショナルなフォークと、エレクトリック・フォーク系をベースとした楽曲が収録されています。アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターが、時に歯切れよく掻き鳴らしたり、マンドリンなどとともに繊細なアルペジオを奏でます。また、フルート、チェロ、ヴァイオリンも加わり、リズムセクションとのフックの効いたパートでは、ジャズ系のエッセンスも豊かにカンタベリー系をほのかに想起もさせてくれます。男女ボーカルがいることが活き、プログレッシブな展開を魅せる素晴らしいアルバムと思います。

[収録曲]

1. The Burning Of Auchendoon
2. Forest Child
3. Go With The Flow
4. Hunter’s House / The Oak Tree
5. The Green Lady
6. Cool Reelies
7. The Gardener
8. Daemon Merchants
9. Camlaan Battle
10. Dreamer

思わず「ジャケ買い」したくなるアルバムかと思いますが、おそらく、2015年現在CD化されていなので(自分もですが)レコードでの入手を強いられるかもしれません。ある程度、有名どころのプログレ・フォーク系を想起させるトラディッショナル・フォーク系からエレクトリック・フォーク系の英国ミュージシャンのアルバムを聴いたら、きっと、聴いてみたい!と思わせる演奏が聴けるので、おすすめです。

レビュに引き合いを出したDando Shaftが1971年発表のアルバム「Dando Shaft」や1972年発表のアルバム「Lantaloon」
、Caravanが1972年発表のアルバム「Waterloo Lily」や1973年発表のアルバム「For Girls Who Grow Plump In The Night」でピンときた方におすすめのアルバムです。

アルバム「The Green Lady」のおすすめ曲

1曲目は、8「Daemon Merchants」
ほぼ1つの基本となる唄メロのメロディラインを、フォーク然とし様々なモチーフのパートが連なるアンサンブルには、予測出来ない構成の3「Go With The Flow」とは異なり、じわじわと心地良く聴ける展開が愉しめます。

2曲目は、3「Go With The Flow」
フォーク然とした楽曲にも、一聴した時に予測出来ないプログレッシブな展開が聴けることと、カンタベリー系を想起してしまいました。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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