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プログレおすすめ:Dave Greenslade「Cactus Choir」(1976年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 1970年代, アート・ロック, イギリス ,


Dave Greenslade -「Cactus Choir」

第154回目おすすめアルバムは、イギリスのミュージシャン:Dave Greensladeが1976年に発表したファースト・ソロアルバム「Cactus Choir」をご紹介します。
Dave Greenslade「Cactus Choir」
Dave Greensladeは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:Colossumのキーボード奏者として活躍し、その後、自らの名を冠したバンド:Greensladeを結成し、1974年発表の名盤:2ndアルバム「Bedside Manners Are Extra」を含む、4枚のアルバムを発表します。

Greensladeの特徴の1つは、オルガン、エレクトリック・ピアノ、メロトロンも含め、Dave GreensladeとともにDave Lawsonが奏でるツイン・キーボードでした。Dave Lawsonのキーボードの演奏スタイルは、ジャズ要素も感じられるキータッチの強いハモンドを中心とした印象のプレイに対し、Dave Greensladeのキーボードの演奏のスタイルは、シンセサイザーだけでなく、オルガンやエレクトリック・ピアノを重要視し、クラシカルさにも優しさ溢れるタッチかと思います。

当アルバム「Cactus Choir」は、Greensladeを解散し、最初に制作し発表したソロ・アルバムです。本来、バンド形態での演奏を想定し制作された各楽曲と云われており、Greensladeが1975年に発表したラスト4thアルバム「Time & Tide」の後に続くアルバムとなっていたら、どうなっていただろう?と考えずにいられません。

そう、アルバムジャケットを描くのは、Greensladeの1st同名アルバム「Greenslade」や2ndアルバム「Bedside Manners Are Extra」のジャケットを描いてたRoger Deanであり、ジャケットにはGreenslade特有の魔法使いのような人物も描かれています!

Greensladeの楽曲のアンサンブルにスリリングさを感じさせてくれるエッセンスの1つとも考えられる元King CrimsonのAndy McCullochではなく、現在では著名なSimon Phillipsが若干19歳でドラマーとして参加し、ベースにはColossumからの盟友:Tony Reevesが参加しています。

たとえば、激しさのあるドラム・ソロに、オルガンとエレクトリック・ピアノは叙情性豊かに刹那さ溢れる感情を掻き毟る楽曲「Drum Folk」(2ndアルバム「Bedside Manners Are Extra」収録)はなく、洗練されたサウンドのキーボードも聴ける、より落ち着いたアルバムと思います。

楽曲について

アルバムは、Dave Greenslade自身がボーカルを取る3「Swings and Roundabouts」と、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:Rarebirdのボーカル:Steve Gouldによる2曲(2「Gettysberg」や6「Cactus Choir」)以外はインストルメンタルの楽曲で占められています。

突如ファズを効かせたギターのフレーズで幕を上げる冒頭曲「Pedro’s Party」は、Tony ReevesとAndy McCullochによる整然としたリズムセクションに、テーマとなるアンニュイなメロディラインをシンセサイザーが伸びやかに奏でるのが印象的なインストルメンタルの楽曲です。クロージングへ向かうにつれ、イントロ部のゴリゴリ感を忘れてしまうぐらいに凛としたキーボード群によるアンサンブルが聴けます。

2「Gettysberg」は、冒頭曲「Pedro’s Party」のテーマに近しいメロディラインで唄メロを聴かせてくれる楽曲です。明朗な唄メロや洗練されたアンサンブルは、プログレッシブ・ロックのファンタジック系のエッセンスを感じつつも、プログレッシブ・ロックの楽曲と云うよりも、1970年代後半に台頭するAORの楽曲にも通じるものかと感じました。

いくかのモチーフをリフレインする3「Swings and Roundabouts」に続き、Dave Greensladeのボーカルが聴ける4「Time Takes my Time」では、アンサンブルの一部分とも感じる女性の終始スキャット風のコーラスワークが印象的ですが、キーボードをアンサンブルに、後半部に奏でられるギター・ソロのパートには、アメリカのウエストコーストにも通じる音楽のエッセンスとともに、当楽曲がアルバムのクロージングとも感じさせてくれます。

5「Forever and Ever」は、アンニュイなメロディラインのフレーズをリフレインしながら、どことなく寂しげに展開する楽曲です。大きく起伏のあるリズムやエッジの効いた音色はなくとも、アンニュイさから郷愁さにも満ちたメロディラインへ移行する流れは素敵な展開ですね。いくつもの楽器の音色が重ねられ、楽曲はクロージングします。

アルバムタイトル曲6「Cactus Choir」は、前曲5「Forever and Ever」の世界観を展開しつつも、1分前後から跳ねたリズム・セクションのパート((a)The Rider)、カントリー風味のスイング感に大らかに唄われるボーカル・パート((b)Greeley and the rest)、ほんのり不穏さを感じさせながらもマーチ風のリズムにメインのメロディラインを奏でるオルガン((c)March at Sunset)の3部構成の楽曲です。Greensladeの音楽的な特徴であるスリリングさよりも、きっちりとしたリズムセクションで聴かせるプログレッシブ・ロックで聴かせる当アルバムらしさの楽曲ではないでしょうか。

7「Country Dance」はスラップベースの高速フレーズで聴かせるファーストタッチの楽曲です。エレクトリックピアノをメインとしたアンサンブルは、ファーストタッチといっても、Greensladeのスリリングさよりも、より洗練されたフュージュン系のアプローチに近いイメージでしょうか。終始ポジティブで躍動的に心地良いサウンドを聴かせてくれます。

8「Finale」は、一定のシークエンスで弾かれるハモンドオルガンの単音のリフに、メロトロン・フルートがメインのテーマをかかげ、2分20秒前から、3分30秒前後からは当アルバム中で最もハモンドオルガンがアグレッシブなフレーズを弾き、聴かせてくれるパートへと移行します。緩急もあるDave Greensladeによる演奏には土壇場とも云え、それでいて、さりげなく6分15秒前後からのオーケストラへと繋げる展開と、前半部のパートを奏でるオーケストラの演奏を含めた構成力が素晴らしいです。

アルバムを聴き終わる頃には、いつのまにかGreensladeの「5thアルバム」として聴きたかったことも忘れてしまい、キーボードをメインとした構成の楽曲をただただ聴き入っていました。いっぽうで、Greensladeの柔らかなハモンドオルガンの音色に、メロディアスで優しさ溢れるサウンドの一端はDave Greensladeのパーソナリティによるものであると、あらためて感じさせてくれるアルバムです。

[収録曲]

1. Pedro’s Party
2. Gettysberg
3. Swings and Roundabouts
4. Time Takes my Time
5. Forever and Ever
6. Cactus Choir
a) The Rider
b) Greeley and the rest
c) March at Sunset
7. Country Dance
8. Finale

当アルバムは、1976年発表後、入手することが困難な音源でしたが、2014年に初CD化された1枚です。オルガン、メロトロン、エレクトリックピアノなど、キーボードをメインにしながらも、陰鬱さや刹那さよりも朗らかさも感じるサウンドを好む方におすすめです。

1970年代のヴィンテージさといえば想起させるサウンドではないものの、Dave Greensladeが本来もつポップスさに、1876年当時のアメリカのウエストコーストにも通じるアンサンブル、AOR系やフュージュン系を感じさせてくれるキーボードをメインとした音楽に触れてみるのはいかがでしょうか。

当アルバムで、Dave Greensladeのキーボードの奏法や、楽曲へのクリエイティビティを好きになった方は、よりブリティッシュ・ロックを感じさせつつ、スリリングさもあるGreenslade期のアルバムを聴いてみて下さいね。そうすれば、そのサウンドの延長上にプログレと称される音楽があるのかと、当時のGreensladeの他メンバーとのアンサンブルによるケミストリーの素晴らしさも再確認することも出来ると思います。

そんなプログレな気持ち。

アルバム「Cactus Choir」のおすすめ曲

1曲目は、8曲目の「Finale」
スローテンポで、楽曲タイトルにも相応しい展開で聴かせるだけでなく、Dave Greensladeらしさのあるハモンドオルガンのプレイや、オーケストラのパートをうまく融合させる展開が素敵だからです。

2曲目は、5曲目の「Forever and Ever」
アンニュイでミステリアスなメロディではじまり、どことなく寂しげでいながら、楽曲がクロージングする頃には、郷愁さも感じさせてくれる各楽器のフレーズの積み重ねが聴いていて素敵なんです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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