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プログレおすすめ:Yak「Quest for the Stones」(2015年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/03 2015年, イギリス, ネオ・プログレ, フルート, メロトロン


Yak -「Quest for the Stones」

第147回目おすすめアルバムは、イギリスのネオ・プログレ系のバンド:Yakが2015年6月に発表した4thアルバム「Quest for the Stones」をご紹介します。
Yak「Quest for the Stones」
Yakは、当初、Martin Morgan(キーボード)、Robin Hodder(ギター)、SySnell(ベース)、John Wynn(ドラム)の4人で活動するプロジェクトでしたが、各メンバーが離れ離れの場所で仕事することを余儀なくされ、活動は休止します。Martin Morganはそれまでに制作したマテリアルを破棄し、新たにYakとして一人で制作をはじめ、2003年に1stアルバム「Dark Side of the Duck」として発表しています。その後、Robin Hodder(ギター)とJohn Wynn(ドラム)がバンドに復帰(ベースはMax Johnsonに代わり)し、2006年には2ndアルバム「The Rutland Chronicles」が発表されます。

当アルバムは、さらにメンバーチェンジがなされ、Martin Morgan(キーボード)に、Gary Bennett(ベース)とDave Speight(ドラム)によるトリオ編成で2008年に発表した3rdアルバム「Journey of the Yak」に続く7年ぶりのアルバムです。

その音楽の特徴は、イギリスの5大プログレバンドのうちの1つ:GenesisのSteve Hackett在籍時や同イギリスのCamel、そして、UKなど、いくぶんテクニカルさがあるものの、メロウな比重の高いシンフォニック系、現代で云えば、ネオ・プログレ系のエッセンスです。Dave Speightは、当プロジェクトに自ら参加したいと歩み寄り、そのDave Speightは長年に渡り活動をともにするGary Bennettを連れてきます。

インストルメンタルを奏でるトリオ(プロジェクトのメインとなるMartin Morganに、意欲的にプロジェクトへ参加した2人)が織りなすサウンド・メイキングは、そのいきさつを知れば知るほど、充実したプロジェクトの産物として受け止めたいと、ドラマチックなシンフォニック系のクリエイティブを感じさせてくれるはずです。

楽曲について

アルバムは、インストルメンタルによる約24分の「Quest for the Stones」と約20分の「Vale of Aeternum」の大作2曲で構成されています。

Steve Hackett在籍時でも、Phill Collinsがボーカル期の2枚(1976年発表の「A Trick Of The Tail」や1977年発表の「Wind & Wuthering(邦題:静寂の嵐)」)の楽曲で見受けられる叙情さも刹那さも感じつつ、繊細でいてポップさもあるメロディラインを奏でるキーボードを中心としたアンサンブル、ライトでいてそれでいて大胆にも刻まれる跳ねたリズムに躍動し、シンセによるギター、フルート、メロトロン系の音色を配すことで、ファンタジックさ、ドラマチックさ、シンフォニックさなど、ゆたかで美しいメロディが溢れては拡がるアンサンブルをたえず聴かせてくれます。

また、メロディの伸びやなラインはCamel、ポップさもあるリズミカルさにUKもそれぞれ彷彿させもしてくれるので、1970年中期から後期のイギリスのプログレッシブ・ロックのシーンをリスペクトするかのようなサウンドを感じずにいられません。

同時期に、Genesisは決して複雑さのあるテクニックやリズムによるポリリズムさも追及していますが、Yakは、フルートやメロトロンの音色も含むライトなシンセの使用も含め、Genesisのサウンドの一端を彷彿とさせるファンタジックさやソフィケイトなシンフォニックさの比重が高いアンサンブルで聴かせてくれます。かといって、決して、リズムに裏打ちされたパートがないというわけではなく、1「Quest for the Stones」の14分30秒に突如として聴かれる躍動的な後半部のパートでは感じれます

インストルメンタルで長尺にも関わらず、どこまでも伸びやかに響くメロウでファンタジックさにただただ身を委ねて聴きいってしまいますね。

2「Vale of Aeternum」もまた、自然の音をSEに、オープニングからユニゾンでギターとシンセが奏でられ、まさにネオ・プログレ系が織りなす構成力で聴かせてくれます。1「Quest for the Stones」が静の前半部、動の後半部の印象がありながらも、この2「Vale of Aeternum」は楽曲の中で、スムーズに静と動を行き交うアンサンブルが特徴でしょうか。緩やかにも起伏ある楽曲は、冒頭部の自然の音のSEがリフレインされ、消え入るようにクロージングします。

[収録曲]

1. Quest for the Stones
2. Vale of Aeternum

1970年代中期から後期のイギリスのプログレッシブ・ロックのシーンでも、前述のGenesis、Camelなどでインストルメンタルのパートのメロウさやファンタジックさを好む方におすすめです。

ネオ・プログレ系でも唄モノにコンパイルしたプログレッシブ・ロックを聴かせる楽曲が多い中で、1980年代に活躍したバーレーンのOsirisなどのインストルメンタルなパートに共通性を見出すことも出来ます。当アルバムでYakを知り、その音に触れて好きになった方は、ぜひ3rdアルバム「Journey of the Yak」とともに、Osirisに触れてみることをおすすめします。

アルバム「Quest for the Stones」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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