プログレおすすめ:藤枝匠太(as ButterFlyKIss)「Wisteria Violet」(2014年日本)
公開日:
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最終更新日:2016/04/24
2014年, 日本, 関連プログレ[日本] ButterFlyKIss, mitsuko, Myspace, 藤枝匠太
藤枝匠太(as ButterFlyKIss)-「Wisteria Violet」
第14回目おすすめアルバムは、日本のゴシックロックバンドButterFlyKIssでキーボード奏者として活躍する藤枝匠太が2014年2月に発表した1stソロアルバム「Wisteria Violet」をご紹介します。
キーボード奏者:藤枝匠太さんにはじめてお会いしたのは2009年5月のGWだったと記憶しています。現在でもゴシックロックバンド:ButterFlyKIssのキーボード奏者として、コンポーザーとしてご活躍されてます。
楽曲について
アルバム「Wisteria Violet」は、幻想的でいてシアトリカルな冒頭曲1「Labylinth」ではじまります。続いて聴き手にアルバムへ気持ちを惹きこませるかのような2「Exploration」はButterFlyKIssの楽曲をリアレンジした楽曲です。ButterFlyKIssのボーカルであるmitsukoさんのコーラスやButterFlyKIssのサポートミューシャンでもある松川さん、マーヤさんによる演奏も随所に散りばめられ、アルバムの序章に一層彩りを添えています。
3「Spiral Cloud」や4「moon」は、その鍵盤の1つ1つの音を聴くたびに、Rick Wakemanのソロアルバム(たとえば1986年発表の「Country Airs」や1990年発表の「Night Airs」)のように、しっとりとした情感を個人的に感じてしまうんです。
かといって、しっとりした鍵盤だけが楽曲の骨子ではなく、3部構成にも取れる3「Spiral Cloud」は1分30秒前後から躍動感溢れ、1つ1つの音が拡散するフレーズが聴けるし、4「moon」は1つ1つのテーマがしっかりと積み重なり合っていく様が伝わってくるんです。初めて聴いた時は最も良く印象に残る流麗なテーマのみが心に残ったのですが、何度か聴き返すたびに、音が1つ1つ繊細にリンクしていくように聞こえてきました。2分30秒以降の演奏の展開には、何を想いながら藤枝さんはこの1つ1つの音を弾いているのかと思うぐらいに、前半部とは異なる起伏さや緩急さにただ耳を傾けてしまいます。
5「missing」はButterFlyKIssの楽曲です。藤枝さんの鍵盤を伴奏に、mitsukoさんの歌のみにリアレンジされています。個人的に最も好きなButterFlyKIssの楽曲ですが、歌詞はとても切なく、その切なさが雪崩れるかの様に藤枝さんが弾く鍵盤のフレーズがとても印象に残ってます。特に2分30秒からのフレーズや、2分45分以降のブリッジ裏など楽曲を際立たせるフレーズには溜息をついてしまいますね。音数が少ないからこそmitsukoさんの歌声には心へ伝わるものがあり素敵ですよね。
また、それまでの楽曲の流れと反し、明るいサウンドスケープが拡がる6「paradise」は鍵盤の高速フレーズが堪能出来ますが、2分20秒前後からのゆったりとした藤枝さんの鍵盤のフレーズを聴くとほっとしまうんです。
7「player」はピアノ以外の音色(藤枝さんのtwitterの楽曲紹介では、バイオリン、オルガン、チェンバロ、シンセサイザー)が楽曲を彩っています。イギリスのプログレッシブ・バンド:GENESISがアコースティカルなアンサンブル比重を活かしプログレッシブさを発揮した1971年発表のアルバム「Tresspass」の挿入歌「Dusk」のようにファンタジックなサウンドに、イタリアのプログレッシブ・バンド:Banco Del Mutuo SoccorsoやPremiata Forneria Marconiに代表されるイタリア・プログレが持つ、どことなく「あたたかみ」のある雰囲気とが重なったイメージを抱き、心が躍動します。
8「Before The Down」は、3「Spiral Cloud」や4「moon」で抱いたRick Wakemanのような感覚もあるし、個人的には、小さい時分に聴いた日本のユニット「S.E.N.S.」が極力鍵盤だけで表現しているような世界観に慕ってしまいます。アルバムのこの曲位置で朝を迎えることで、小曲がとても印象的に感じてしまうんです。
[収録曲]
1. Labylinth
2. Exploration
3. Spiral Cloud
4. Moon
5. Missing
6. Paradise
7. Prayer
8. Before The Dawn
9. Infinite+Love
10.Save The World
9「Infinite++Love」は現ButterFlyKIssのプロデューサー:TAKAさん、10「Save The World」は、ButterFlyKIssの楽曲をボーカルはmitsukoさんのままに、ゲスト・ボーカルにRikoさんを加えてリアレンジしています。9や10はこのアルバムを最後まで聴き続けたリスナーに対し、最後に送り届けた楽曲による特典に思えてなりません。「ソロ」的な見解と、レビューのテーマ上、プログレ観点で1曲目から8曲目までを1つの流れとしご紹介させて頂きました。
元YESのRick Wakemanのようにクラシカルな素養の鍵盤のフレージング、もしくは、鍵盤以外の楽器を含みファンタジー溢れるメロディアスなサウンドを好む方におすすめです。
藤枝さんに抱いたプログレ感のきっかけ
ButterFlyKIssの演奏は、アメリカのゴシックロックバンド:Evanescenceに近しい演奏からポップ、爽やかさも感じさせてくれます。
2009年当時、ButterFlyKIssは、odaiba.tvのUSTERAM配信番組「ButterFlyKissのクールビューティーアワー」に定期的に出演されてました。番組中で藤枝さんがキーボード演奏する姿を、時にはブース面前で聴きいってると、クラシカルな素養を大切にする人ではないかと強く感じたんです。そう感じてから、ButterFlyKIssのライブに足を運び、楽曲を聴けば、その鍵盤から奏でられる音にこれまでと変わった「サウンドスケープ」を感じていました。
どことなくイギリスのプログレッシブ・ロックバンド:YESの元メンバーであるRick Wakemanのようにクラシカルな素養を感じるフレーズと、Rick Wakemanのニューエイジ風のソロアルバムで魅せる姿とシンクロしたんです。藤枝さんがソロアルバム「Wisteria Violet」を発売することと、ご自身の「心情」を表現したアルバムとの話を聞き、よりアーティスティックな音に期待せずにいられませんでした。
出逢えないこともある中でとても感謝です。
アルバム「Wisteria Violet」のおすすめ曲
1曲目は3、4、5の3曲連続の流れ(「Spiral Cloud」~「Moon」~「Missing」)
「おすすめな曲」にも関わらず、すいません!
5「Missing」に対する想い出があるからこそ、3「Spiral Cloud」、4「moon」は5「Missing」まで繋げる素敵なピアノ・メドレーによる序曲と錯覚してしまいます。この3曲は単独でも素晴らしい構成力があるけれど、1つの流れとしても素晴らしい構成力があると思うから。
2曲目は7曲目の「Prayer」
次に続く8「Before The Dawn」が「夜明け前」の時間だとしたら、この曲は夢追い人が遠望し慕う世界に向けて「祈り」続けるイメージを抱いたんです。まだ「夜明け前」じゃない。それはネガティブな意味ではなく、まだ追い求め続ける世界があるのだから・・・。そう感じてしまうんです。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
CDの購入について 現在、当アルバムはライブ会場か通販のみで発売となっています。 ご購入などの問合せ先はネイバーフット有限会社宛へ。 ↓ 問合せ用メールアドレスはこちら ↓ です。 メール件名に「Wisteria VioletCD購入について」と記載し是非お問合せ下さいね。 |
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