プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:Cicada「Pieces(散落的時光)」(2011年台湾)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2010年‐2013年, ヴァイオリン, ポスト・クラシカル, 台湾


Cicada -「Pieces」

第163回目おすすめアルバムは、台湾のポスト・クラシカルと云われるチェンバー系のバンド:Cicadaが2011年に発表したアルバム「Pieces」をご紹介します。
Cicada「Pieces」
Cicada(シカーダ)は、2009年に、台湾でピアニスト、ヴァイオリン奏者×2、チェロ奏者、ギタリストの5名で結成されたバンドです。当アルバムの発表時には、ヴァイオリン奏者が1人抜け、全作曲担当の江致潔(ピアノ)と張靖英(ヴァイオリン)、林宛縈(チェロ)の女性3人に、男性の林村宜(ギター)による4人編成となります。

その音楽性は、アメリカのチェンバー系のバンド:Rachel’sやドイツの作曲家:Volker Bertelmannのソロ・プロジェクト:Hauschkaなどから影響を受けたと云われています。ピアノやストリングスなどによるクラシック音楽に、エレクトロを融合させており、俗に「ポスト・クラシカル」と云われるそうです。たとえば、アメリカのミュージシャン:Album Leafのようにポスト・ロックでもなく、はたまたヒーリング・ミュージックにも通じるニュー・エイジでもありません。

※いつも以上に私的な想いが入り込んでいるため、ご興味のない方は以降閲覧お気を付けください。※

アルバムの7曲目:晨霧(Drowning In The Fog Of Yours)


「プログレおすすめ」として紹介したことについて

多くのプログレ・ファンはこぞってプログレッシブ・ロックの系統にも属さないということでしょう。それでも、このアルバム「Pieces」を紹介したのは、室内楽アンサンブルによるチェンバー系のエッセンスがあることと、また、その音楽を聴き終わたフィーリングにプログレッシブ・ロックをどうしても感じてしまうからです。

プログレッシブ・ロックの人脈との関連性はありませんが、Hauschkaのアルバムはディスクユニオンの「Progressive Rock」オンラインサイトでエレクトロ系で紹介もされていることから、プログレ関連のクラシカルな音楽としてご紹介できればと思うに至ったんです。

楽曲について

アルバム全篇、インストルメンタルの楽曲たちは、一聴すれば「ながら」聴きも出来るかのような感触もありますが、特に、ピアノやヴァイオリンが楽曲の進行を先導する様は予測が出来ないメロディラインであり、いつの間にか、その音に耳を傾けてしまいます。そのメロディラインは、時に暖かさ、時に刹那さを感じさせるぐらいに表情豊かに心に問いかけてくるようです。

すべての音楽に共通することですが「音楽の評論」ではなく、感じるがままに音楽を聴くことが重要であることをあらためて感じさせてくれます。今回は通常の文章を中心とした「楽曲紹介」と異なり・・・youtubeにアップされている音源を数曲紹介させて頂きます。

2曲目:陽光下 你燦爛地笑(Sunshine Smile)



2「Sunshine Smile」は、日曜日の昼下がりで、芝生に寝そべり木漏れ日に眩しさを感じているかのようなサウンドスケープが見えてきそうです。

7曲目:晨霧(Drowning In The Fog Of Yours)



7「Drowning In The Fog Of Yours」は、映画「ノルウェイの森」のカメラワークを思いだすぐらい、映像美にも刹那さに心が鷲掴みそうにもなります。

10曲目:湖面的盡頭(Lake’s End)



最終曲10「Lake’s End」は、ピアノのリリカルなフレーズが淡々と寄せては返す水面のように過ぎゆく時間に身を委ねてしまうだけのサウンドスケープを感じてしまいます。

以上、3曲ほど紹介させて頂きましたが、アコースティック・ギターのフレーズからクラシカルな世界観が拡がっていくような冒頭曲1「一起之後…(Happily Ever After?)」、イギリスの著名なロック・バンド:Rolling Stonesの名曲「Let’s Spend
The Night Together」のリズムセクションを思い浮かべてしまうアップテンポの6「能說的不多了(No Words」など、聞き逃せない楽曲ばかりです。

[収録曲]

1. 一起之後…(Happily Ever After?)
2. 陽光下 你燦爛地笑(Sunshine Smile)
3. 散落的時光(Pieces)
4. 失溫(Fading Affection)
5. 你再也讀不出我任何慾望(Encrypted Desire)
6. 能說的不多了(No Words)
7. 晨霧(Drowning In The Fog Of Yours)
8. 掙脫(Breakaway)
9. 湖面的盡頭(Lake’s End)

バンド名「Cicada」は、長く地中にいる蝉が、夏の暑さある時期に、ある日突然その鳴き声だけが聞こえてくることに対し、控えめに姿を隠して音のみを印象づけるかのようなイメージに由来するそうです。蜉蝣のように消え入りそうな音の世界に、ぜひ耳を傾けてみて下さいね。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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