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プログレおすすめ:Fragile「White Shadows」(2010年中国)

公開日: : 最終更新日:2015/12/12 2010年‐2013年, ポスト・ロック, 中国


Fragile -「White Shadows」

第192回目おすすめアルバムは、中国のポスト・ロック系のバンド:Fragileが2010年に発表した1stEPアルバム「White Shadows」をご紹介します。
Fragile「White Shadows」

Fragileは、Jacqueline/魏靜元(ギター)、 Ahkok(ギター)、Tat/黃錦達 (ベース)、Ka Ho (ドラム)、Bighead/黃可琪 (キーボード)の5人で2006年に中国で結成したバンドです。2010年に当1stアルバム「White Shadows」を発表後、Mono/古旻杰(コンピューター担当)をメンバーに加え、2015年現在もなお、活動を続けてます。

バンドの特徴は、ポスト・ロック系のサウンド・メイキングやアンサンブルと思います。しかし、今回おすすめアルバムに取り上げようとしたのは、そのサウンドの構築の仕方と楽曲の構成力にプログレッシブ・ロックな構成美を感じえるからです。ゆったりと軽やかなトーンの断片からダイナミックに展開し、荘厳なサウンドを構築していく様はポスト・ロックなる所以です。ただし、いちどクライマックスへと到達したサウンドを脆くも解体し、その解体したサウンドからまた新たなサウンドを組み立てていく様にプログレッシブな展開を感じたのです。

人間が口にするであろう脆い感情を「言葉なき世界」で表現しても、ただ単に脆さだけが残るとでも形容しえるようなアンサンブルが聴けます。

楽曲について

当アルバムは2曲構成のEP盤で、ギターとキーボードを中心としたアンサンブルには、不規則に上下へ振動させるホワイトノイズを、たとえば、シルクから繭のように滑らかさからザラツキまで繊細にもサウンド・メイキングすることで、人の内に秘めた最も脆弱な感情を表現仕切っているような感じもします。

まずは、1「Spakling」・・・

Fragile – Spakling


楽曲の和訳タイトルが”花火”を表現しきるかのように、5分前後からの中間パートでのギターによるフレーズには、空に打ち上げられた花火が煌き瞬き、上空を拡散しつつ地上へ堕ちていく「打ち上げ花火」のイメージをサウンドスケープで魅せてくれます。ミニマルなキーボードによる電子音はその瞬間にも仄かな希望をもたせているように聞こえ、8分前後からのミニマルなギターのシークエンスには脆さよりも一抹の寂しさで、ポスト・ロックで云う残響さとは異なるアプローチで展開しクロージングします。

次に、2「White Shadowss」

Fragile – White Shadows


楽曲の和訳タイトルである”白影”は何を意味しているのだろうか?当アルバムの発売時期が秋はじめの9月前後であれば、1「Spakling」のイメージには夏の終わりをイメージも出来るのではなかろうか。当楽曲「White Shadows」で、バンドは”雪”を表現しようとしたのか、”死の白灰”を表現しようとしたのかは分かりません。ただ、ギターがロングトーンで刻むメインのテーマには、1「Spakling」とは異なり、メジャースケールでのクリシェを活かしたメロディラインでほんのりとアタタカミを感じさせてくれるし、4分50秒前後からのミニマルな打鍵や、6分前後からの2本目のギターのミニマルなフレーズはそのイメージをより一層拡げさせてる気がします。さらに、6分45秒前後からはメインのテーマがホワイトノイズに乱れいく描かれます。たとえば、日本のロックバンド:Luna Seaのうち、SugizoかInoranが元楽曲であろう楽曲で表現しうるサウンド・メイキングやアンサンブルを彷彿とさせてくれます。

“白影”は、冬の象徴とも云える雪の気配がする晩秋から、本格的に雪が降る様を描き出すことで、人間の脆い感情を表現したと考えたいです。”雪”なのか”死の白灰”なのかは聴き手の受け取り方によって異なるかもしれません。

たった2曲の構成ですが、夏から冬に映りゆくシーズンで象徴とも云える花火と雪をテーマにしサウンド・メイキングし、ギターとキーボードをメインとしたアンサンブルで人間の脆い感情を表現したかのようなアルバムです。そして、公式に次作が発表されることを期待せずにはいられません。

[収録曲]

1. Spakling(花火)
2. White Shadows(白影)

まずは、ポスト・ロックを好きな方におすすめです。

繊細にも儚さや脆さを表現しうるのはポスト・ロックに感じえることですが、プログレッシブな展開(1つのテーマを構築仕切ったら解体し、その解体した音の断片をさらに再構築しうる展開)にもぜひ耳を傾けて欲しいと感じえるアルバムです。

アルバム「White Shadows」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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