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プログレおすすめ:Magenta「Home」(2005年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2017/09/25 2000年代, イギリス, ネオ・プログレ, 女性ボーカル ,


Magenta -「Home」

第3回目おすすめアルバムは、イギリスのネオプログレ系のプログレッシブ・ロックバンド:Magentaが2005年に発表した3rdアルバム「Home」をご紹介します。
Magenta「Home」
Magentaは、Fyreworks、Cyan、Trippaといった数々のプログレッシブ・バンドで活動してきたRob Reedが2001年に1枚のアルバムを制作するために結成されたプロジェクトです。キーボード、ベース・ギター、リコーダー、タンバリン、グランド・ピアノ、マンドリンなどをマルチに扱うRob Reedは、同国のプログレッシブ・ロックバンド:RenaissanceのAnnie HaslamやFleetwood MacのStevie Nicksを彷彿とさせ、彼女自身の人柄やユニークなスタイルを持つChristina Murphyをボーカルに据えることを決定します。

プロジェクトの本来の目的に従い、1stアルバム「Revolutions」を制作しますが、Magentaの音楽ファンからライブを望む声が上がり、プロジェクトから始まりながらもTim Robinson(パーカッション)、Chris Fry(ギター)、Martin Rosser(ギター)、 Matthew Cohen(ベース)を加え、パーマネントなバンドへと変貌します。

バンドの音楽の特徴は、Rob Reed自身が弾くグランド・ピアノやオルガンなどのプレイに、プログレ5大バンドのうちの1つ:YESのRick WakemanやGENESISのSteve Hackettを彷彿とさせるクラシカルさが溢れており、そのサウンドからも連想させるYesとGenesisなどのファンタジックさやメロウさのあるエッセンスかと思います。2004年発表の2ndアルバム「Seven」では、ネオ・プログレ系のバンドの代表格:PendragonやMarillonを彷彿とさせる音楽を魅せます。

当アルバムは、Tim Robinsonに代わりAllan Mason-Jonesがドラマーとして、楽曲によってはテナー・サックス奏者などをゲストに迎え、1970年初頭、イギリスのリバプールから「自分探し」を目的にアメリカへ移住した女性の心情をコンセプト立てて仕上げたアルバムです。

従来よりもクラシカルさも際立つアルバムで、個人的にもMagentaで最も好きなアルバムです。

楽曲について

冒頭曲1「This Life」、3「Moving On」、7「Towers Of Hope」、最終曲15「Home」など、Rob Reedのピアノと鍵盤とChristina Murphyのボーカルをメインに、オープニングからしっとりと聴かせ、じわじわと盛り上がるをみせる楽曲がアルバムに印象的に配置されています。唄モノとしてのプログレッシブ・ロックの楽曲にあるセンチメンタルさや儚さが溢れていて、聴いていると心が掻き毟られそうな感傷的な気持ちになってしまいます。

冒頭曲1「This Life」に続く2「Hurt」ではミドルテンポの前半ポートではYesのSteve Howeを彷彿させるギターのフレーズ、3分15分以降はオーケストレーションや伸びやかなトーンのギターも交えファンタジックでエレガントに聴かせてくれます。その後の4「My Home Town(Far Away)」、5「Brave New land」、6「The Journey」と耳に触れるサウンドの感触には、2「Hurt」に代表されるように静と動をメロウさとファンタジックさに溢れる楽曲が満載です。たとえば、1978年発表の11thアルバム「AndThenThereWereThree(邦題:そして3人が残った)」前後のPhill Collionsボーカル期のポップさやシンフォニック系と、PendragonやMarillonを彷彿とさせる1980年代のネオ・プログレ系を彷彿とさせてくれます。

また、約11分にも及ぶ大曲10「Joe」や12「The Visionary」、13「Journey’s End」など起伏激しくダイナミックな展開もまたPhill Collionsボーカル期のダイナミックなアンサンブルを想起させてくれます。

アルバム全篇に、Rob Reedのクラシカルなエッセンスと女性ボーカル:Christina Murphyの清涼さあるボーカルが溢れ、YesやGenesis、その影響を受けたネオ・プログレ系のエッセンスが溢れているため、唄モノとしても聴きやすく、はじめてプログレを聴く人にも聴きやすいアルバムではないかと思います。

[収録曲]

1.This Life
2.Hurt
3.Moving On
4.My Home Town(Far Away)
5.Brave New land
6.The Journey
7.Towers Of Hope
8.Demons
9.Morning Sunlight
10.Joe
11.The Dream
12.The Visionary
13.Journey’s End
14.The Traveller’s Lament
15.Home

YesやGenesisなどのメロウでファンタジックさ溢れる演奏や、PendragonやMarillonのネオ・プログレ系を好きな方におすすめです。当アルバムでMagentaを好きになった方は、クラシカルなエッセンスの比重は低いものの、2ndアルバム「Seven」も聴いてみてはいかがでしょうか。

また、女性ボーカルとしてAnnie HaslamやStevie Nicksを引き合いに出されるChristina Murphyに興味を持たれた方にもおすすめです。

アルバム「Home」のおすすめ曲

1曲目は3曲目の「Moving On」

この曲を聴くたびに映画007を想起してしまうんです。007の映画要素に「女性」は切っても切れない存在であり、イギリスからアメリカへ移住した女性の物語である同アルバムとシンクロするところがないかとも考えてしまいます。

曲調的にも映画「007 スカイフォール」(2012年公開)で、イギリスのミュージシャンのADELEが唄うテーマ曲「SkyFall」のサビの盛り上がりやオーケストレーションの展開などが最もイメージに近しいこともありますが、007ファンには「Tomoroow Never Dies」なども含め、懐かしさを感じてしまうのではないでしょうか。

2曲目は冒頭曲の「This Life」

最初は女性ボーカルのイギリスのプログレッシブ・ロックバンドとしか知らずに聴いたアルバムでした。いくらプログレッシブ・ロックが好きでも1曲目次第で全17曲を最後まで聴く気持ちになれるか分かれてしまいます。一聴し、その鍵盤をメインとしたフレーズに女性によるしっとりしたバラードに魅了されました。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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