日本のプログレおすすめ楽曲「To You」(2011年発売)
日本のプログレッシブ・ロックに出逢い続けたい。
「日本で生まれたのだから、日本でリリースされたプログレッシブ・ロックな楽曲の良さを伝えたい。」と云う想いから、楽曲1曲にフォーカスし紹介しています。
第3回目は、Welscoの楽曲「To You」です。
楽曲「To You」ご紹介
東京都、武蔵野美術大学出身でインディーズで活動していたWelscoは、ボーカル&キーボードに青さんと、ドラムというユニットです。今回ご紹介する「To You」は、2011年に発表したユニットのファーストシングルです。
楽曲は、Youtubeで紹介されているので聴いてみましょう。
「プログレ」という言葉に抵抗感があれば、何も考えずに映像と演奏のパフォーマンスに触れるだけでも良いのです。少しずつ当楽曲に触れて、心思うままに感じるのも音楽だと思うんです。
Welsco – to you
筆者が感じた当楽曲の第一印象はヨーロッパの情景、特に北欧に佇む叙情的な感覚です。イントロのシンセ音にハミングとヴォイスの中間に纏う発声が聴けた瞬間、既に当曲の「核」が伝わりましたし、クロージングまでに包括する刹那さや哀愁さにただただ圧倒されました。
ヴァースのメロディラインもさることながら、特徴的なフレーズをリフレインするキーボードのリフ音のアンサンブルが楽曲の刹那さをより一層きわたたせてくれる。まるで青さんの身を削るように紡ぎ合う音の世界に身を委ねてしまうような感覚です。3分40分以降、少しずつ変化するキーボードのフレーズに、さりげなく入るギターソロが繰り出され、楽曲はクロージングします。
プログレッシブ然としているのではなく、どちらかというとシンフォニック系のプログレッシブなエッセンスでしょうか。
シングルデビュー以前に筆者は交流があり青さんにお会いしたことがあります。ライブでは英語詞の楽曲もあり、デビュー以前の「To You」はより聴き手を突き放すぐらいのパフォーマンスにただただ圧倒された記憶があります。パフォーマンスや交わす言葉の数々に、本当に1曲の楽曲を創作するのに身を削るようなイメージを感じたんです。シングル化された音源は、日本語詞に変え、「和」を意識したプロダクションへ変貌しています。青さんの創作に、北欧の叙情的なサウンドの融合ともいうべき世界にコンパイルされています。
薄暗さ系のあるAnekdotenやAnglagardなどに代表される北欧のヴィンテージ系のプログレッシブ・ロックバンドというよりも、ポストロックなバンド(Eskju Divine、Kent、Mew、Ariel Kill Him、Kashmir、Sigur Rosなど)の叙情的さもあるサウンドに近しいエッセンスです。そのエッセンスに、青さんが表現したい音の世界に、プログレシッブ・ロックのシンフォニックさや変拍子などが加わったという解釈でしょうか。
たった1曲でもいい、プログレッシブ・ロックを感じさせてくれる楽曲に出逢いたい。
と思いながらも、もっと多くの楽曲で聴きたかったと、個人的に思います。
筆者のみならず、数少ないプログレのファンは、きっと新たな音とクロスオーヴァー、ミクスチャーするミュージシャンの楽曲を探し求めていると思います。
ぜひ次回の紹介楽曲をお楽しみお待ちいただければと思います。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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