プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

ザ・ピーナッツによるKing Crimson「Epitaph」とUriah Heep「Look At Yourself」!

公開日: : 最終更新日:2021/05/08 日本おすすめ楽曲 , ,


プログレッシブ・ロックの楽曲をカバー

アーティストが他者の楽曲をカバーする時、原曲を忠実に再現したり、自分の音楽性や嗜好に合わせて編曲したりなど、いろいろな工夫が施されるかと思います。カバーするアーティストが影響を受けた音楽を知る「きっかけ」にも繋がります。もちろん、カバー・バージョンで表現する音楽性には、自分の音楽性なのか、普段魅せることの出来ない音楽性を盛り込んでいるのか、カバーするアーティストが好きであればあるほど、興味は尽きなくなりますよね。

いっぽうで、好きな原曲のカバー・バージョンを聴き、そのカバー・バージョンに興味を持てば、カバーしたアーティストさんに出逢う「きっかけ」にも繋がります。

さらに、プログレッシブ・ロックの楽曲をカバーする、カバーされるとなれば、興味は尽きないです。

ザ・ピーナッツによるプログレッシブ・ロックの楽曲のカバー

1960年代を中心に活躍した女性2人組のザ・ピーナッツは、「小美人」役で出演していた1961年公開の日本映画「モスラ」のテーマ曲や「恋のフーガ」など映画やCMで耳馴染があるかと思います。そのザ・ピーナッツもまた、海外アーティストの楽曲を数々カバーしているアーティストの1人ですが、実はプログレッシブ・ロックの楽曲もカバーもしていたんです!

ザ・ピーナッツ オン・ステージ

「ザ・ピーナッツ・オン・ステージ」というライブアルバムを聴くと、アメリカン・ポップスをはじめとし、海外の著名なアーティストの楽曲をカバーしていたことが分かります。Carol Kingの「It’s Too Late」やThe Cascadesの「Rhythm of the Rain(邦題:悲しき雨音)」など、どこかで聴いたことがある楽曲が数多くカバーされているんです。

そして、プログレッシブ・ロックの楽曲も2曲カバーしています。

ザ・ピーナッツによる「Look At Yourself(邦題:対自核)」のカバー

1曲目のカバー・バージョンはアルバム冒頭曲です。1970年代にイギリスで活躍したハード・ロック・プログレッシヴ・ロックバンド:Uriah Heepの「Look At Yourself(邦題:対自核)」をカバーしています。

[ザ・ピーナッツの「Look At Yourself(邦題:対自核)」]


楽曲「Look At Yourself」は、流麗でキャッチーなメロディと後半部のパーカッシブな演奏が印象的な楽曲です。ザ・ピーナッツのライブのオープニング曲として取り上げられているだけでなく、楽曲の冒頭部に、原曲にはないパーカッシブなパートが約1分40秒にも及び繰り広げられています。

冒頭部のパーカッシブなパートにただただ陶酔すらしてしまいます。

もちろん、ハモンドオルガンの使用、ギターの粘りっこいフレーズ、そして、ザ・ピーナッツが再現するUriah Heep特有のコーラスワークなどは原曲の良さを十分に伝えてくれます。そこに、原曲ではクロージング・パートだったパーカッシブな演奏が冒頭部へ移行しています。原曲のクロージング・パートを、ただ単に冒頭部にもってきたということではなく、ザ・ピーナッツのカバー・バージョンとして、ユニークなバージョンにアレンジを仕立てられているですから、驚きを隠せずにいられません。

プログレッシブ・ロックの楽曲にパーカッシブなエッセンスを取り込んだというよりも、よりアフリカン・ビートの効いたネイティブなパーカッシブさが溢れ、パーカッシブなパートを冒頭部へ配置し唄モノとしてエンディングを迎える構成にすることで、ザ・ピーナッツのヴォーカル曲として際立たせつつも、オリジナル楽曲の良さも讃えた素敵なライブのオープニングですよね。

ザ・ピーナッツによる「Epitaph(邦題:墓碑銘)」のカバー

そして、もう1曲のカバー・バージョンは、5大プログレバンドの1つ:King Crimsonの「Epitaph(邦題:墓碑銘)」のカバーです。

[ザ・ピーナッツの「Epitaph(邦題:墓碑銘)」]


原曲のボーカルは男性のGrek Lakeによるものですが、ザ・ピーナッツの女性2人がボーカルを取ることで綴られる歌詞1つ1つには、男性によるボーカリゼーションにはない儚さも感じますし、原曲がもつ哀愁さや抒情さを十分に感じさせくれます。

アレンジと云う点では、イントロのティンパニやアンサンブルに利用されたメロトロンも原曲に合わせて再現しています。いっぽうで、Uriah Heepの「Look At Yourself」のカバーと同様に、ザ・ピーナッツがカバーするうえで、独特なアレンジも加えられています。クロージング直前に原曲にないブラスセクションが加えられており、原曲がもつ幽玄さや尊厳さが、より一層、迫力さを増して訴えるかのように響いているんです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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