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プログレおすすめ:Quidam「Along Together」(2007年ポーランド)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 2000年代, ネオ・プログレ, フルート, ポーランド


Quidam -「Along Together」

第30回目おすすめアルバムは、ポーランドのプログレッシブ・ロックバンド:Quidamが2007年に発表した5thアルバム「Along Together」をご紹介します。

Quidam「Along Together」
3rdアルバム「Time Beneath The Sky」を最後に脱退してしまった女性ボーカル:Emilia Derkowska以降、男性ボーカル:Bartek Kossowiczにより発表された4thアルバム「SurREvival」の次のアルバムです。

女性ボーカルから男性ボーカルに変わり、3rdアルバムで個人的に好きだった楽曲「Letter from the Desert Ⅱ」のような映像を想起させるようなロマンチシズムさ溢れた楽曲が薄れています。

▼アルバム:Quidam「Time Beneath the Sky」のレビューは下のリンクから▼
プログレおすすめ:Quidam「Time Beneath the Sky」(2002年ポーランド)

それでも、このバンドの基本アンサンブルであるフルート、キーボード、ギターのメンバーは連なり、ゲストという形でサックス、ツィター(zither)、ザフーン(xaphoon)の管弦楽の奏者が参加することで浮遊感や幻想感がほんのり残しつつ、ロマンチシズムさが溢れています。さらに、シンセよりもピアノが基調となり、AOR的に洗練されて夜の帳りを感じさせるようなジャージな世界観の印象すらあります。

楽曲について

冒頭曲1「Different」は男性による呟きに近いウィスパー・ヴォイスに、この楽曲に色を添えるようにザフーン(xaphoon)が吹かれます。クリーントーンのギターのカッティングをバッキングに「evrybody…」とヴァースが入るタイミングには、いつも心にフックするエッセンスがあるのか、グッとこみあげてくるものがあるんです。3rdアルバムのロマンチシズムさとは異なるかもしれませんが、このアルバムに耳を傾けて良かったと感じる瞬間なんです。

初期Quidamと比べてしまうことが失礼なぐらいに素敵なオープニングなんです。

2「Kinds Of Solitude At Night」は、1「Different」よりもダイナミックに展開し、ミディアムテンポの楽曲です。ギターのフレーズやピアノのフレーズとともに、ツィター(zither)という楽器が楽曲に色を添えています。クロージング直前には、このバンドの特徴であるさりげなくワウを効かせたギターのフレーズが聴けます。また、3「Depicting Colours Of Emotions」のヴァースでのフルートのフレーズも印象的であり、これまでと変わらぬバンドの管楽器を活かしたアンサンブルに聴き入ってしまいますね。

キーボードによるイントロが印象な4「They Are There To Remind Us」や、中間部にパーカッシブさのパートのある5「Of Illusions」とアップテンポな曲が続きますが、メロディアスとでもフリーキーとでも縦横無尽に奏でられるフルートが印象的に残ります。続く6「We Lost」は4「They Are There To Remind Us」と同様に当アルバムでも最もプログレッシブなエッセンスを感じる楽曲であり、よりフルートだけに囚われない世界観へ惹きこまれてしまいます。

8「We Are Alone Together」は、ピアノとギターによるアコースティカルな前半部に次ぎ、中間部からは3rdアルバム「Time Beneath The Sky」の楽曲にもあるエッセンスが溢れる楽曲です。ウィスパー・ヴォイスを活かしたボーカリゼーションで淡々と曲は進行しながらも、サスティーンを効かせたフレーズからエッジを伴ったサウンドに移行しながら奏でれるギターとともに楽曲全体がフリーキーになる様は、アルバム中の他楽曲とは異なる「異質さ」を感じるかもしれません。次第にパーカッシブな音が消え入るようにフェードアウトしていきます。この8「We Are Alone Together」でアルバムをクロージングしてもおかしくないぐらいなのに最終曲「But Strong Together」が準備されています。その曲調は8「We Are Alone Together」と同様にマイナー調なのですが、疾走感を伴いながら、当バンドの特徴的なエッセンスであるフルートのソロによる本当のクロージングを迎えます。

[収録曲]

1. Different
2. Kinds Of Solitude At Night
3. Depicting Colours Of Emotions
4. They Are There To Remind Us
5. Of Illusions
6. We Lost
7. One Day We Find
8. We Are Alone Together…
9. … But Strong Together

Quidamで傑作とうたわれる1stアルバム「Quidam」よりも、3rdアルバム「Time Beneath The Sky」にサウンドの雰囲気がどこかしこか似ている印象があります。また、男性ボーカルに変わることで情感や洗練さが増し、ロマンチシズムも感じさせてくれます。

女性ボーカル、男性ボーカルなど関係なく、ロマンチシズムさを好む方におすすめです。

はじめて聴いたQuidam、そして初期Quidamと

初期Quidamと明らかに異なるのは、男性ボーカルであること。
はじめて聴いたQuidamのアルバムは、この5thアルバム「Along Togther」だったんです。当初はプログレとも意識せずに聴いていました。
その後、初期Quidamに触れる機会があり、Genesisのようなファンタジーさがある1stアルバム「Quidam」、POPさがみえた2ndアルバム「Angels’ Dreams」、Camelさがある3rdアルバム「Time Beneath The Sky」は5thアルバム「Along Togther」と共通していたのは、アンサンブルにフルートがあることや、ギターの奏法からみても取れるPink Floydからの影響。初期Quidamを聴くことで、あらためてアルバムを聴きなおしては、プログレッシブなロックを包括するアルバムだと認識するようになりました。

アルバム「Along Together」のおすすめ曲

1曲目は冒頭曲「Along Together」
初期Quidamと異なっていても、このウィスパー・ヴォイスによる男性のボーカリゼーションから幕を上げる楽曲に想いを馳せるように、アルバム全体に期待せずにいられなくなります。すっと吸い込まれていきそうになる感覚を聴くたびに味わいます。

2曲目は8曲目「We Are Alone Together」
3rdアルバム「Time Beneath The Sky」を聴くまでは好きになれずにいた楽曲ですが、何度も聴くたびに好きになってしまっていました。心を掻き毟るようなギターのフリーキーな演奏も含め、Pink Floydのようでいて、本来のアルバムの最終曲があるにも関わらず、ハイライトともいうべきサウンドスケープを見せてくれるんです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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