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プログレおすすめ:Mermaid Kiss「Etarlis」(2007年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 2000年代, イギリス, ケルティック


Mermaid Kiss -「Etarlis」

第238回目おすすめアルバムは、イギリスのクロスオーバー系のプログレッシブ・ロックバンド:Mermaid Kissが2007年に発表した1stアルバム「Etarlis」をご紹介します。

Mermaid Kiss「Etarlis」

Mermaid Kissは、2000年に、イギリスで、女性のEvelyn Downing(ボーカル、フルート)、Jamie Field(ギター)、Andrew Garman(キーボード、ベース、ドラム、パーカッション)が中心に結成したバンドです。

2003年に、1stアルバム「Mermaid Kiss Album」でデビューを飾り、2004年には、フィーメール・プログレ・シーンでも有名なウェールズ出身のバンド:Karnatakaのライブ・サポートをします。

その音楽の特徴は、ケルティック・ロックをベースとし、シンセサイザーやピアノをメインとしたアンサンブルでシンフォニック系のアンサンブルで聴かせるクロスオーバー系のプログレッシブ・ロックのジャンルです。フィーメール・プログレで同じく女性ボーカルとなれば、英国では、ネオ・プログレ系でのMagenta、プログレ・フォーク系でのKarnataka、All About Eve、Iona、Mostly Autumnを、ポーランドでは、シンフォニック系でのQuidam、ノルウェーのWhite Willowなどと比較してしまうと、Ionaが最も近いイメージと云えるかもしれません。

当アルバム「Etarlis」は、1stアルバム「Mermaid Kiss Album」から4年振りのバンドにとって2枚目となるアルバムで、Nigel Hooton(ギター)をあらたにメンバーに加え、4人編成で制作されています。制作中に、Evelyn Downingが大学へ通うことで制作から離れることもあり、アルバムに収録された全楽曲ともEvelyn DowningとJamie Fieldによる作詞作曲であるものの、一部の楽曲(「Nowhere To Hide」、「Siren Song」、「Shadow Girl」)では、女性のKate Belcherがボーカルを担当もしています。また、Wendy Marks(コーラングレ、オーボエ、リコーダー)、ケルティック・プログレッシブ・バンド:IonaのTroy Donockley(ギター)と、Panic RoomのJonathan Edwards(ギター)がゲスト参加し、サウンドに幅をもたせ、当時発売時には話題性も事足りなかったのではないかと思います。

ケルティック・ロックをシンフォニック系のアンサンブルで聴かせるアルバムです。

楽曲について

シンセサイザーとオーボエによる旋律がミステリアスさ醸し出すインストルメンタル小品の冒頭曲1「Prelude」に次ぎ、キーボードの心美良い旋律とシンセサイザーの煌びやかな旋律で2「A Different Sky」は幕を上げます。

シンコペーションを工夫し、このメロディック・ロックとしても十分過ぎる変則的なアクセントのあるオープニングを耳するだけでも心躍らされます。アコースティック・ギターをメインのアンサンブルに仄かにミステリアスさもあるヴァースとギターが奏でるメロディックなアルペジオのフレーズが印象的なサビとは、Evelyn Downingによる透明度の高いボーカリゼーションが聴けて、なんとも心地良さがあります。メロディック・ロックとしての同国イギリスのバンド:Asiaにも通じるようなアンサンブルとサウンド・メイキングに、歌姫よりも等身大な女性ボーカルによる演出という印象を感じえます。

聴き馴染みやすさ溢れるメロディック・ロックが展開されていく

いっぽうで、5「Nowhere To Hide」、6「Siren Song」、8「Shadow Girl」でボーカルを担う、もう一人の女性:Kate Belcherはアルバムにゲスト参加とはいえ、繊細にも味わい深いボーカリゼーションを聴かせてくれるため、聴き手によっては、もっとKate Belcherの唄メロを聴いてみたいと感じる方もいるかもしれません。

当バンドの特徴ともいうべきケルティック風のメロディラインでも、3「Walking With Ghosts」、4「Dark Cover」、10「Crayola Skies」では、シンセサイザーの旋律が霧がかった印象にもミステリアスさを醸し出しより深淵なる世界観を感じさせてくれます。

よりプログレッシブ・ロックな展開を感じるのは、バクパイプの音色を利用した旋律のパートも含む5つのパートから成る7「A Sea Change」、シンセサイザーをメインにネオ・プログレ風のサウンドを聴かせる9「Beat The Drum」、オーケストラ、アコースティック・ギター、シンセサイザーがそれぞれの見せ場となるパートを演出し、シンフォニック系で幅をもたせる約10分にも及ぶ最終曲11「The City Of Clouds (Qway-Lin)」です。

アルバム全篇、シンセサイザーの旋律がミステリアスさを漂わせケルティック・ロックのメロディラインに幻想さで包み込み、シンフォニックに聴かせるアンサンブルは世界観を十分に感じさせてくれますし、そのメロディックな唄メロを澄んだ声で唄う女性ボーカルにも着眼したい素敵なアルバムです。

[収録曲]

1. Prelude
2. A Different Sky
3. Walking With Ghosts
4. Dark Cover
5. Nowhere To Hide
6. Siren Song
7. A Sea Change
-a. The Lighthouse
-b. The Running Tide
-c. In Deep
-d. Slide and Sway
-e. In Deep (Reprise)
8. Shadow Girl
9. Beat The Drum
10. Crayola Skies
11. The City Of Clouds (Qway-Lin)

英国では、ネオ・プログレ系でのMagenta、プログレ・フォーク系のRenaissance、Karnataka、All About Eve、Iona、Mostly Autumn、を、ポーランドでは、シンフォニック系でのQuidam、ノルウェーのWhite Willowなどを、女性ボーカルが好きな方におすすめです。

楽曲「A Different Sky」の心美良いキーボードのオープニングや唄メロのメロディックさに耳を奪われがちですが、ケルティック・ロックをシンフォニックに聴かせる楽曲(例えば、「Walking With Ghosts」)などが大半を占めますので、メロディック・ロックも聴けるが、シンフォニック系のプログレッシブ・ロックを聴く方にもおすすめです。

アルバム「Etarlis」のおすすめ曲

1曲目は、2「A Different Sky」
当アルバムを聴くきっかけとなった楽曲だからです。心美良いキーボードとシンセサイザーの旋律も印象的ですが、アコースティック・ギターをメインに展開するヴァースの穏やかな展開も印象的です。

2曲目は、最終曲11「The City Of Clouds (Qway-Lin)」
楽曲「A Sea Change」と甲乙つけがたいのですが、アルバム中で最もケルティック・ロックとシンフォニック系が融合した感覚を感じました。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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