プログレおすすめ:Tangerine Dream「Phaedra」(1974年ドイツ)
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最終更新日:2016/01/10
1970年代, エレクトロニック, ドイツ Tangerine Dream
Tangerine Dream -「Phaedra」
第237回目おすすめアルバムは、ドイツのクラウトロック系のプログレッシブ・ロックバンド:Tangerine Dreamが1974年に発表した5thアルバム「Phaedra」をご紹介します。
Tangerine Dreamは、1965年に、ドイツでEdgar Froese(メロトロン、ギター、VCS 3シンセ、オルガン)がThe Onesなるバンドを結成したの母体となっています。その後、あらたに現在のTangerine Dreamが新結成されます。
1971年に、のちにAsh Ra TempelのメンバーとなるChristoph FrankeとConrad Schnitzleとともに1stアルバム「Electronic Meditation」を制作しますが、シンセサイザーを利用した現在のコスミックさを感じる何層にも重なるクリエイティブ溢れるサウンドは創造しがたく、即興さ溢れる音楽を奏でていました。
いくたのメンバーチェンジを経ると同時に、現代音楽家:Thomas Kesslerの影響を受けたことで、電子音楽に目を向け、傾倒していきます。
当アルバム「Phaedra」は、前作アルバム4thアルバム「Atem」に次ぐバンド5枚目のアルバムで、Christoph Franke(ムーグ・シンセ、キーボード、VCS 3シンセ)とPeter Baumann(オルガン、エレクトリック・ピアノ、VCS 3シンセ、フルート)とトリオ編成で制作しています。仕上がったアルバムは、当時衰退期へと向かいつつあったプログレッシブ・ロック・シーンにあって、新風を巻き起こすと同時に、
ミュージック・シーケンサーを全面的に利用したポップミュージック的作品として、売上的にも成功した傑作アルバムです。
楽曲について
シンセサイザーが鳴り響き、脈打つベースラインがファーストタッチで迫る冒頭曲1「Phaedra」は、随所にメロトロンやフルートが盛り込まれ、幻想的なサウンドも醸し出していきます。ただし、シンセサイザーによるベースラインはそれ以上に強烈であり、残響差を伴い、心拍数を高まるや脈打つかごとく繰り返されていきます。10分30秒前後で、いったん落ち着き、金属が触れるメタリックさのように、泣き叫ぶ何モノかも分からぬ生物かのように、前衛的な音が響き続けます。最後は、3分強に渡りメトロトンが響き続け、クロージングを迎えます。
2「Mysterious Semblance At The Strand Of Nightmares」は、メロトロンの旋律がうずまき、対象的にシンセサイザーが旋律をうごめかせ、延々と約10分30秒に渡り進行していきます。
3「Movements Of A Visionary」は、残響していく効果音の数々が不穏さを煽り、まるで異空間から流れてくる電子音楽が耳に迫ってくるようなサウンドスケープを魅せてくれます。
最終曲4「Sequent C’」は、たった2分弱のなかで、他楽曲以上にロング・サティスーンも印象深く、シンセサイザーが何層も重なるかごとく、淡い色彩を醸し出しています。
アルバム全篇、ムーグ・シンセサイザーで一音一音分解した和音が一定のシークエンスで力強く脈打つように奏でられるシンセサイザー・サウンドをメインとした音楽を堪能することが出来ます。リズミカルにも躍動的に聴かせ昇天するか如く心地をサウンドスケープさせてくれる、コズミック・ロック、スペース・ミュージックとも形容されるアルバムです。
[収録曲]
1. Phaedra
2. Mysterious Semblance At The Strand Of Nightmares
3. Movements Of A Visionary
4. Sequent C’
電子音楽をロックへ盛り込んだ新機軸として、エレクトロ・ミュージックと実験的で前衛的なロックの融合のもとにクラウトロックやアンビエントが好きな方におすすめです。
それぞれ特徴あるクラウトロックを聴かせるAmon Duul、Faust、Can、Kluster、Ash Ra Tempel、Harmonia、Eno, Moebius & Roedeliusなどを好きな方におすすめです。
当アルバムを聴き、Tangerine Dreamを好きになった方は、当アルバムとともに最高傑作と云われる次作1975年発表の6thアルバム「Rubycon」に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。以降、次いで1976年発表の7thアルバム「Stratosfear」もおすすめです。
アルバム「Phaedra」のおすすめ曲
※インストルメンタルな楽曲がメインのため、ひかえさせていただきます※
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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