プログレおすすめ:Native Construct「Quiet World」(2015年アメリカ)
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最終更新日:2015/12/12
2015年, アメリカ, プログレッシブ・メタル Native Construct
Native Construct -「Quiet World」
第172回目おすすめアルバムは、アメリカのプログレッシブ・メタル系のバンド:Native Constructが2015年4月21日に発表した1stアルバム「Quiet World」をご紹介します。
Native Constructは、2011年に、マサチューセッツ州のボストンでバークレー音楽学校にて、QueenやBetween The Buried And Meなどの影響も上げる数人の学生が音楽でコラボレーションしたのが始まりと云われています。その当時から、プログレッシブ・メタル系とミュージカル要素の強いオペラ的なサウンドが融合したクリエイティビティ性を魅せていました。
2014年にレコード会社の目に留まり、Robert Edens(ボーカル)、Myles Yang(ギター)、Max Harchik(ベース)のトリオ編成により、2015年4月に1stアルバムが発表されます。「言葉を交わすことが出来ない男性が、自分自身でコントロール出来る静寂な世界を作ろうとすること」をストーリー仕立てにしたアルバムの筋からも、バンドの音楽性に溢れていますが、クラシック、ワールドミュージック、ゲーム音楽、オペラ、サウンドトラック、DJENTなど様々な音楽ジャンルを吸収し構築したアルバムには、時としてエフェクティブなギターをメインとするメタリックさで畳み掛け、時としてメロウなシンフォニック系のインストルメンタルなアンサンブルで緩急をもたせながらも、まるで、イギリスのImogen HeapやQueenのボーカル:故Freddie Mercuryのような音域の幅も豊かなオペラ的なヴォイシングの唄メロとともに、ダイナミックに聴かせてくれます。カテゴライズされるプログレッシブ・メタルには収まり切れないエモーショナルなサウンドで、バークレー音楽学校のエリート集団が
あふれんばかりの音楽愛を「混沌さ寸前の美」を表現するために追求したサウンドのカタチに触れてみましょう。
楽曲について
冒頭曲1「Mute」は、エッジの効いたギターのパート、QueenのコミカルさやBrian Mayを彷彿とさせるギターの音色、クラシカルにもImogen Heap風のコーラスワークが聴けるパート、オーケストレーションなど、あまりにもふり幅を大きく効かせ、様々な音楽性を盛り込んだサウンド・メイキングとアンサンブルに、ただただ圧倒されながら聴き入ってしまいます。
まるでカメレオンのように変幻自在に鮮やかに音楽を愉しむメンバーの姿勢が伝わってくる。
そのままの心地で、1980年代の古き良きメロディラインを彷彿とさせる2「The Spark Of The Archon」、メロウな唄メロのメロディラインの前半部と、Between The Buried And Me的ほどにエクストリームに陥らずともアップダウンを繰り返すメタル要素も強い後半部をもつ3「Passage」、ピアノをメインにもアルバム中でも最もQueenを彷彿とさせるポップさも兼ね備えた4「Your Familiar Face」、スクリーム的なデス・ヴォイスやヴァイオリンも含め不穏なサウンド・メイキングを施した5「Come Hell Or High Water」、アメリカのギタリスト:John Frusianteのクラシカルさを想起させるギターのインストルメンタルによる小曲6「Chromatic Lights」、冒頭から変拍子が炸裂しDream Theaterを想起してしまう約12分弱にも及ぶ最終曲に相応しい大曲7「Chromatic Aberration」へと、楽曲の展開にはプログレッシブ・ロックと云うよりもオペラ劇場で展開される一大音楽パノラマな印象を受け、先の見えない展開に心が落ち着かず、アルバムのクロージングまで一気に聴き込んでしまいます。
一気に聴き込み、最終曲7「Chromatic Aberration」の8分前後のシンセによる壮大なオーケストラからクロージングの趣を感じてしまうボーカル・パートを聴いた後の9分55秒の展開には・・・本当に本当に・・・
アルバム全篇、オペラ的な印象に囚われがちですが、さまざまな音楽ジャンルを吸収し構築・再現するメロディ、アンサンブル、リズムなど、デビュー作にして素晴らしい仕上がりと驚きを隠せずにいられなくなります。末恐ろしいバンドがデビューしたと思わずに入られません。バンドのメンバーが担うボーカル、ギター、ベースの3つのパート以外の楽器(ドラム、キーボードなど)も、ドラマチックにも自由度の高さを担っていると思うのですが、バンドの基本構成にしていないところに、次作2ndアルバムでまたカラフルなカメレオンの姿を音で見せてくれるかもしれませんね。期待せずにいられません!
[収録曲]
1. Mute
2. The Spark Of The Archon
3. Passage
4. Your Familiar Face
5. Come Hell Or High Water
6. Chromatic Lights
7. Chromatic Aberration
バンドのメンバーが影響を受けたと云うQueenやBetween The Buried And Meを好きな方におすすめです。ただし、聴けば聴き込むほどに、クラシック、ワールドミュージック、ゲーム音楽、オペラ、サウンドトラック、DJENTなど、さまざまな音楽ジャンルが溢れており、一筋縄では聴けないはずです。プログレッシブ・ロックでも複雑な構成を取る折衷派のエッセンスが好きな方にもおすすめですね。
アルバム「Quiet World」のおすすめ曲
1曲目は冒頭曲の「Mute」
アルバム冒頭曲にて、さまざまな音楽ジャンルが盛り込まれ展開するため、はじめてアルバムを聴いた時には、いやがおうでもアルバム最終曲まで期待してしまいましたし、聴き入りたいと感じさせてくれたからです。特に、2分50秒前後から1分弱で展開するImogen Heap風のコーラスワークに、イージリスニング風のギターのアンサンブルが絡み合い、さらにオーケストラがかぶさり発展するクリエイティブの心地良さには驚きましたよ!
2曲目は3曲目の「Passage」
アルバム楽曲中でも憂いを帯びたメロウな唄メロのメロディラインが前半部のパートで聴け、後半部ではそのメロウさをハードなアプローチで落とし込み後半部とのサウンドのコントラストが鮮やかだからです。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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