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プログレおすすめ:VLY「I / [TIME]」(2015年イギリス他)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 2015年, ポスト・ロック, マルチナショナル, メロトロン ,


VLY -「I / [TIME]」

第173回目おすすめアルバムは、イギリス、イタリア、スウェーデンの著名なミュージシャンが組んだスーパー・プロジェクト・バンド:Vlyが2015年9月18日に発表した1stアルバム「I / [TIME]」をご紹介します。
Vly「I / [TIME]」
Vlyは、イギリスのプログレッシブ・バンド:Crippled Black Phoenixの元メンバーであるKarl Demata(ギター)が楽曲アイデアとデモを持ち、アメリカ人のKeith Gladysz(ボーカル)に出逢い、メロディアスでドリーミングなエッセンスを付け加えていきます。他にも、イタリアのIl Tempio Delle Clesidreの:Elisa Montaldo(キーボード、シンセ)、Crippled Black Phoenixの元メンバーであるChris Heilmann(ベース)、スウェーデンのバンド:Anglagard、White WillowやThe Opium Cartelの元メンバー:Mattias Olsson(ドラマー)がそれぞれが居る大陸を超えて集い、5人編成で結成されたバンドです。

バンドのサウンドの特徴は、プログレッシブ・ロックと云う括りに捉われず、クラシック、フォーク、サイケデリック/スペース系、オールディーズ・ポップ、ポスト・クラシカル、ポスト・ロック、エレクトロ系のエッセンスを交えたアンサンブルでしょうか。そして、たとえば、アメリカのエモ・バンド:Copelandのボーカリスト:Aaron Marshを彷彿とさせる優しげに透明度のあるボーカリゼーションによるKeith Gladyszが、メランコリックな唄メロが歌唱することで、

果てなき懐かしさ溢れるレトロさに聴き心地は包み込まれてしまうアルバム
と思います。

楽曲について

ポストロック的なギターのアルペジオで幕を上げる冒頭曲「Circles」は、メランコリックさと浮遊さに溢れ、寂しげに今にも崩れ落ちそうな思いの丈を綴るかのように唄うKeith Gladyszのボーカリゼーションと輪唱やカウンターメロディによるコーラスワークもあまりにも印象的すぎるんです。ブリティッシュ・ロック的なメランコリックさ溢れたメロディラインに、センチメンタリズム溢れるシンセのウォール・サウンドに、ギターが奏でるアンサンブルは、エレクトロとポスト・ロックがブレンドされ、アルバムを代表する1曲として、

美しき幻想さが溢れた音の世界にただ身を委ねてしまう。

さらに、アルバムには、2「Time」に連なる3「Time Elapsed」、7「Time Remembered」、最終曲10「Time Forgotten」と云うインストルメンタルな小曲が散りばめられてます。

エッジの効いたギターがアンサンブルのメインなハード・ドライビングな楽曲5「Out Of The Maze」を除けば、Mattias OlssonのドラムとChris Heilmannのベースは、クラシカルなロックをオマージュするかのようにソリッドにリズムをキープし、クリーン・トーンを活かしたギターを奏でるKarl Demataとともに、バンドの幽玄さも感じえる幻想さのボトムを支えている印象があります。

ノルウェーのプロジェクト・バンド:The Opium Cartelにもローズ・ピアノやメロトロンなどのようなヴィンテージなアナログ機材やノイズを持ち込み、1970年代の王道ともいうべきプログレッシブなサウンド・メイキングの一端を担っていたMattias Olssonのみならず、1970年代の典型的なイタリア・プログレのヴィンテージなスタイルを踏襲せしめるElisa Montaldoのキーボードやシンセの巧みなサウンド・メイキングという2名のクリエイティブ性豊かなキーボード奏者がいることも、当バンドの特有のサウンド感を際立たせていると思うんです。

ヴァースの寂しげにむせび泣きながら唄うかのような4「Headache」、変拍子をメインとした8「Silver Beaches」、ナイーブなギター・ソロが印象的な9「Message In The Water」、トラディッショナルなフォーク系の10「Dark Days」、サイケデリックな色彩にエレクトリック・ピアノやローズによる即興にも近いソロ・パートが印象的な10「Perfect Place」など、幻想さを崩すことなく様々なアプローチで構成されてます。

アルバム全篇、クロージングまで聴き入ってしまえば、きっとアルバム・ジャケットを彷彿とさせるような世界観に身を漂わせているかのような余韻に浸れるアルバムと思います。

[収録曲]

1. Circles
2. Time
3. Time Elapsed
4. Headache
5. Out Of The Maze
6. Hypnotic
7. Time Remembered
8. Silver Beaches
9. Message In The Water
10. Dark Days
11. Perfect Place
12. Time Forgotten
ポスト・クラシカルやポスト・ロックなどの残響さをキーワードにした音楽ジャンル、プログレッシブ・ロックの中でも仄かにサイケデリック/スペース系を醸し出すプログレ・フォーク系のエッセンスなど、幻想さが醸し出すサウンドが好きな方におすすめです。

当アルバムを聴き、鍵盤系の醸し出すサウンド・メイキングを好きになった方は、ぜひ、Mattias Olssonが参加していたノルウェーのバンド:The Opium Cartelの2013年発表のアルバム「Ardor」にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

アルバム「I / [TIME]」のおすすめ曲

1曲目は冒頭曲の「Circles」

ボーカルの声質とともにポスト・クラシカルやポスト・ロックを彷彿とさせるサウンド・メイキングにも、アンニュイさやメランコリックさが不安定にも醸し出す幻想さに惹かれ、当アルバムを全曲聴きたいと思ったきっかけだからです。

2曲目は最終曲の「Perfect Place」
Mattias OlssonとElisa Montaldoの2名によると思われる楽曲後半部の鍵盤系の穏やかにも綴られるインプレゼーションが素敵だからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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