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ゲスの極み乙女。「ロマンスがありあまる」が映画「スレイヤーズ・クロニクル」主題歌に!

公開日: : 最終更新日:2016/03/15 映像利用曲


映画「スレイヤーズ・クロニクル」の主題歌「ロマンスがありあまる」

様々な特殊能力(超視覚、超記憶、幻惑麻痺、全身硬化など)を獲得した子供らが、自分らが目指す未来にかけて2つの道に分かれて衝突しあう映画。
2015年6月17日に、本多孝好の小説を原作とする岡田将生、成海璃子、染谷将太ら出演にて、映画「スレイヤーズ・クロニクル」は公開されました。
そして、この映画の主題歌には、ゲスの極み乙女。の3rdシングル「ロマンスがありあまる」が採用されている!

[「ストレイヤーズ・クロニクル」予告編:主題歌初披露版]

先日、映画を観てきたのですが、その映画の世界観は楽曲「ロマンスがありあまる」のジャズ系ともフュージュンっぽさともとれるサウンド感に、歌詞の一節「死に物狂いで生き急いでんだ」で、胸を鷲掴みにされそうな感覚を憶えましたよ。この予告編でも出演の岡田将生、成海璃子、染谷将太らも含め予告編でも、十分にその結末に気持ちを馳せてしまいますよね。映画を観る前後では、まるでアメリカの映画「X-men」を想起させてもくれました。でも、産まれる前に親へストレスを与えたり遺伝子処理を施すことで得られたそれぞれの特殊能力は、自然発生とはほど遠く、さらに20歳前後までしか生きられないという運命があることでは大きく異なるところです。

ゲスの極み乙女。の音楽との出逢い

デビュー時分に、自らを「ヒップホッププログレバンド」と自称していたゲスの極み乙女。「プログレ」と云う文字に、当Webサイトでも興味津々となっていくところですが、楽曲「ロマンスがありあまる」まではそれほど心留まる存在ではなかったんです。映画「ストレイヤーズ・クロニクル」の主題歌として楽曲「ロマンスがありあまる」がクローズ・アップされ、映画を観に行った後に、一気にリピートしていましたね。

楽曲一聴した時に印象的だったのは、個人的に大好きなロックバンド:音速ラインやランクヘッドを彷彿とさせる楽曲にあるキャッチ―でいて、特に切ないサビを持つエッセンスです。たとえば、音楽ラインの楽曲「ナツメ」やランクヘッド「体温」のように、内から秘めた想いに溢れた詞の世界観と、ミドルテンポ以上の疾走感のある楽曲は聴き急いてしまいます。

ファンの方であれば既に周知のとおり、ゲスの極み乙女。は、indigo la Endの川谷絵音(ボーカル、キーボード、ギター)を中心に、休日課長(ベース)、ちゃんMARI(キーボード)、ほな・いこか(ドラム)による4人編成のバンドです。過去リリースしていたアルバムのジャケットに見る一種独特の「ゲスの極み乙女。」の世界観や、デビュー前後のラップを取り込んだ楽曲には、意識的にプログレッシブ・ロックのジャンルを考えれば、ジャズ系やフュージュン系にクロスオーバーしたとも取れるのですが、おそらくバンド自身はそんなことを意識せず、「ヒップホッププログレバンド」と自称したのではないかと思いました。たとえば、楽曲「キラーボール」にみる裏伯や16ビートに、セリフとも取れるラップ感?など、ヒップホップさは滲みでている気がします。ただし、楽曲中盤に唐突にショパン「幻想即興曲」が流れ出す・・・。個人的には、「この」感覚がプログレッシブ・ロックでいう「整然としたアヴァンギャルド」とも感じましたね。人それぞれに思うことはあるかと思いますが・・・。

楽曲「ロマンスがありあまる」

その楽曲「キラーボール」や「私以外私じゃないの」にも感じ得た唄メロの刹那さもあるキャッチ―なメロディラインがより一層際立ち、個人的にも大好きな音速ラインの楽曲などを彷彿してきたと感じたんです。indigo la Endによる楽曲「悲しくなる前に」にも同様な感覚でしょうか。

[ゲスの極み乙女。-「ロマンスがありあまる」]

ただ、PVを見た時には驚きを隠せずにいられませんでしたね。まずは、川谷絵音が利用するKORG製のKAOSSILATOR PRO(カオシレータープロ+)とEastwood Guitars California Rebelの2つの楽器です。イントロで、ちゃんMARIのキーボード(画面右側)とユニゾンで弾くシーン(画面左)や、1分20秒前後のテルミンを彷彿とさせて利用する「カオシレータープロ+」と、イントロの「カオシレータープロ+」とエレクトリック・ピアノとのユニゾン後の冒頭部サビ1分28秒前後に出てくるEastwood Guitars California Rebelのギターの利用などに、それほどサウンド感を意識していなくても1960年代や1970年代前半をオマージュしているのではないかとは思いましたね。

Eastwood Guitars California Rebelは1960年代の復刻限定のモデルらしく、そのクリーンなサウンドには、透明度のあるガラスの質感も感じさせてくれて、PVではその後に続くワイングラス片手に、ソファに座る川谷絵音の姿の洒落っ気にニンマリしちゃうんです。

そして、展開されるモノクロを利用した被写体のシュールなシーン構成も印象的なPVですが、休日課長のベース・ギターと、ほな・いこかのドラムにによるリズム・セクションも素敵ですね。ヴァースでのアンサンブルにはエレクトリック・ピアノが目立った印象ですが、終始鳴りうるきめ細やかなラインと、サビ部前後のテクニカルなフュージュンさのラインに、シンバルの刻み方など、特筆したパートが、ギターやカオシレータープロ+と奏でる演奏には、例えば、ポップさがあるイギリスのカンタベリー系のプログレッシブ・ロックの皮を被った楽曲の印象になりましたね。

「ポップさ」と「テクニカルさ」と「アヴァンギャルドさ」と「大衆性」を同居させたような楽曲が少ない最近では、楽曲「ロマンスがありあまる」以降も、ゲスの極み乙女。の持つ独特な毒性(=ユニークさ)を続けて欲しいと思いました。

ぼくにはありあまる ロマンスがありあまる すこし贅沢をしすぎたみたいだ

僕にはありあまる
ロマンスがありあまる
少し贅沢をし過ぎたみたいだ
僕にはありあまる
ロマンスがありあまるけど
死に物狂いで生き急いでんだ

に、続く歌詞には、

「・・・才能がありあまっている。」

と、ゲスの極み乙女。の音楽に感じさせずにはいられません。

そして、「ロマンス」という文字から想起させる概念とは異なる世界観の映画「スレイヤーズ・クロニクル」に、あらためて歌詞の一節「死に物狂いで生き急いでんだ」で考えせずにいられません。自身が生まれる前に欲しいと言ったわけではなく「植えつけられた」特種な能力に、結局は運命を左右され、「希望」か「絶望」か分かれていく「未来」を楽曲とともに映画を再鑑賞してみたいです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら、ぜひ映画「スレイヤーズ・クロニクル」と主題歌聴いてみて下さい。

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