プログレおすすめ:YES「Keystudio」(2001年イギリス)
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最終更新日:2015/12/02
2000年代, YES(5大プログレ), イギリス Alan White, Chris Squire, jon anderson, Rick Wakeman, Steve Howe, YES
Yes – 「Keystudio」
第88回目おすすめアルバムは、イギリスのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:YESが、ライブ盤として1996年に発表したアルバム「Keys to Ascension」と1997年に発表したアルバム「Keys to Ascension 2」の2枚から、スタジオ録音の新曲のみを収録した編集盤です。
1994年に発表したアルバム「Talk」の後、YESは当時のメンバーのうち、ギターのTony Levin、キーボードのTony Kayeが脱退します。そして、1995年7月12日に、1974年に発売されたアルバム「Tales From Topographic Oceans(邦題:海洋地形学の物語)」ではじめて揃ったメンバーたち(Jon Anderson、Chris Squire、Rick Wakeman、Steve Howe、Alan White)が集い、再活動をしたことで、2枚のアルバム(「Keys to Ascension」と「Keys to Ascension 2」)は制作されたそうです。
アルバム「Keys to Ascension 1」の[収録曲]
1996年のカリフォルニア州サン・ルイス・オビスポでの3日間のライブ演奏をもとにした音源と、後半の2曲が新曲でした。
1. Siberian Khatru [Live]
2. The Revealing Science of God (Dance of the Dawn) [Live]
3. America [Live]
4. Onward [Live]
5. Awaken [Live]
6. Roundabout [Live]
7. Starship Trooper [Live]
8. Be the One
9. That, That Is
アルバム「Keys to Ascension 2」の[収録曲]
アルバム「Keys to Ascension 1」と同様に、1996年のカリフォルニア州サン・ルイス・オビスポでの3日間のライブ演奏をもとにした音源をベースに、後半5曲が新曲でした。
1. I’ve Seen All Good People [Live]
2. Going for the One [Live]
3. Time and a Word [Live]
4. Close to the Edge [Live]
5. Turn of the Century [Live]
6. And You and I [Live]
7. Mind Drive
8. Foot Prints
9. Bring Me to the Power
10. Children of Light
11. Sign Language
「Keys to Ascension」から「Keystudio」へ
経緯は分かりませんが、この2枚のアルバム(「Keys to Ascension 1」と「Keys to Ascension 2」)から、スタジオ音源の新曲8曲だけを抜き出し、曲順を整理して「Keystudio」は仕上がっています。さらに、楽曲「Children of Light」には、Rick Wakemanによる「Lightning」というタイトルのあるイントロ(約30秒)が付け加えられました。編集後の音源が1時間を超えているため、1枚のアルバムとして洗練しリリースして欲しかったと思わずにはいられません。
おそくら当時、ボーカルにJon Anderson、ベース・ギターにChris Squire、キーボードにRick Wakeman、ギターにSteve Howe、ドラムにAlan Whiteという、アルバム「Tales From Topographic Oceans(邦題:海洋地形学の物語)」、アルバム「Going For The One(邦題:究極)」、アルバム「Tormato(邦題:トーマト)」を制作したメンバーによる公式なスタジオ音源は、2003年7月に発売された3枚組ベスト盤「The Ultimate Yes 35th Anniversary Collection」の3枚目に収録されたスタジオ音源と、当音源だけなのです。
21年目の誓い
「Keys to Ascension」の2枚のアルバムが制作されるきっかけは、1974年2月13日にChris Squireが26歳の誕生日を迎えた時にChris Squireがメンバーに言った言葉が元であると、Jon Andersonは語っています。
「我々全員がミュージシャンとして活動できる状況ならば、21年後の今日に再度一堂に会することにしよう。そしてそれから5年間活動を続け、ともに21世紀を迎えよう。」
・・・な感じでしょうか。
21年後の「1995年2月13日」に、メンバー全員が集まったかどうかは分かりません。しかし、実際に1995年7月12日にメンバー全員でミ-ティングをし、活動再開することが決定しています。果たして、その後、21世紀をYESというバンドで迎えたのでしょうか。2001年に、当企画盤「Keystudio」は発表されました。同時期にYESはアルバム「Magnification」を発売しています。そのアルバムにRick Wakemanはキーボード奏者として参加せず、YES史上、はじめてキーボード奏者不在のままにオーケストラと共演したアルバムとなりました。
「Keystudio」の[収録曲]
1. Foot Prints
2. Be the One(I. The One、II. Humankind、III. Skates)
3. Mind Drive
4. Bring Me to the Power
5. Sign Language
6. That, That Is(I. Togetherness、II. Crossfire、III. The Giving Things、IV. That Is、V. All in All、VI. How Did Heaven Begin?、VII. Agree to Agree)
7. Children of the Light(I. Children of Light、II. Lifeline)
アルバム「Tales From Topographic Oceans(邦題:海洋地形学の物語)」を制作したメンバーによる音源を聴きたい方には手離しでおすすめです!懐古さをポジティブかネガティブかで受け止めることで各楽曲の印象は異なりますが、スリリングさをたぶんに含み力強さのある「Be the One」、Steve Howeのギターソロ「Sign Language」、19分弱のテクニカルな組曲「That, That Is」など、聴きどころある楽曲が揃っていると思います。
はじめてYESを聴く方には、YESの1970年代の一連の名盤(「The Yes Album」、「Fragile」、「Close To The Edge」、「Relayer」、「Going For The One」など)を聴いたうえで、Chris Squireの言葉にあるとおり、21世紀を迎え
る直前に発したYESからのプログレの回答を感じてみてはいかがでしょうか。
アルバム「Keystudio」のおすすめ曲
1曲目は2曲目「Be the One」
パッションを感じさせるイントロから、クールな印象の第1部「The One」から、第2部「Humankind」でのヴァースやアンサンブルのスリリングさへ移行する様が素敵だからです。1980年代っぽさもある唄メロのラインでも、ギターを中心とした刹那さあるアンサンブルがいいんです。
2曲目は6曲目「That, That Is」
YESの牧歌的なメロウさの側面もありながらも、各メンバーによるソロモチーフを繋ぎ組曲形式にした約19分には、テクニカルさのあるプログレッシブさを充分に感じえますね。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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