プログレおすすめ:Repsel「From Dwan To Dusk」(2015年イタリア)
Repsel -「From Dwan To Dusk」
第146回目おすすめアルバムは、イタリアのプログレッシブ・メタル系のバンド:Repselが2015年4月に発表した2ndアルバム「From Dwan To Dusk」をご紹介します。
Repselは、2003年にイタリアのラツィオで結成されたバンドで、女性のMARTA IACOPONI(ボーカル兼ヴァイオリン)をフロントに、GIORGIO NAPOLEONE(ギター)、ALESSANDRO PRESTI(ギター)、FRANCESCO PROIETTI(ピアノ、シンセ)、ROBERTO BATTILOCCHI(ベース)、DANIELE MICHELACCI(ドラム)の6人編成のバンドです。
当アルバムは、1stアルバム「The double mask of Humankind」に続く2ndアルバムです。Repselの音楽の特徴は、1stアルバムでもプログレッシブ・メタル系として紹介されることが多いですが、イタリアのバンドのイメージとは異なり、ネオ・プログレ系のエッセンスをもつバンドではないかと思うんです。
個人的に、その音楽性のクリエイティブには、同様に女性ボーカルをフロントに立てた、折衷派やメタル系のエッセンスを含みつつも、プログレッシブ・ロックにクロスオーバーしたフランスのプログレッシブ・バンド:Delusion Squardを彷彿とさせるバンドの演奏スタイルを感じさせてくれます。
メタル系のエッジの効いたギター・プレイやタイトなリズムが聴けながらもビートが効いたポップさ溢れるメロディ・ラインのあるモダンなサウンドが聴ける1枚です。
楽曲について
ギターの一定のシークエンスによる不協和音にシンバルが交錯し幕を上げる冒頭曲1「Pandora」は、小刻みにリードを取るベースのラインに、ジャズ・スタイルのピアノのフレーズがアンサンブルが加わり、2分30秒前後からのハード・エッジの効いたギターにシンセが重なり合うパートも4分前後のヴィンテージ感溢れたシンセの音色もアクセントに、ミステリアスなメロディラインで楽曲は展開していきます。終始しっとりさを見せず、たおやかにも大らかに唄うMARTA IACOPONIのボーカリゼーションもは、クロージング直前のアカペラも印象的です。
2「I’ll Erase One Everyday」はよりハード・エッジなギターのカッティングとリフがメインのアンサンブルな楽曲です。3分30秒前後のヴァイオリンのソロのパートもアクセントに、拡声器を通したボーカリゼーションも合い間って、ドライブが効いたビート感溢れる仕上げりです。一聴した時に、まず脳裏を掠めたのが前述のDelusion Squardの楽曲の構成でした。
3「Make Up」はピアノのみのアンサンブルによる最初のヴァースから、アコースティック・ギターとヴァイオリンが加わる2番目のヴァースにも、メランコリックさあるメロディラインが終始奏でられる3分弱の小曲です。
4「Everything Has Changed」は、マイナー調に、疾走感溢れるインストルメンタルのパートが印象的な楽曲です。コーラスワークとギターのフレーズが哀感を一層際立たせ、4分40秒前後のメタル系にもあるリフや5分30秒前後からのギターのソロも、楽曲前半部のサウンドの世界観を崩すことなく展開するさまが素敵に仕上がりと感じました。6分前後からはテンポをスローに、ロングトーンを効かせブルーズ調に鳴り響き楽曲はクロージングします。
前奏もなくヴァースから始まる5「Break Into Pieces」は、2「I’ll Erase One Everyday」と4「Everything Has Changed」を2足して2で割ったような印象の楽曲です。第2ヴァースで、ボーカルのメロディラインに並奏しカウンターメロディのように奏でられるギターのフレーズ、3分前後からの刹那さ溢れたギター・ソロなど、ハード・エッジなアンサンブルだけでないギターの多様なプレイ・スタイルが聴けます。
6「From Dawn To Dusk」はディレイを効かせた浮遊さ溢れるギターのフレーズから煌びやかなギターのフレーズへと移行し、2「I’ll Erase One Everyday」と同様に拡声器を聴かせたボーカリゼーションに、リリカルなピアノのフレーズのアンサンブルが切迫さを醸し出すヴァースと、大らかなサビ部がコントラストを感じる楽曲です。
最終曲7「Two Minds」は、エッジの効いたリフで幕を上げ、ここまでの楽曲の集大成ともいうべき楽曲です。左右交互にスタッカートを効せるギターの不規則なリフ一閃を繰り返すヴァース、低音をも効かせるボーカリゼーションなども印象的に、終始タイトなリズムを聞かせ、ギターとリズムセクション(ベース、ドラム)によるブレイクでクロージングを迎えます。
陰鬱さや叙情さのあるメロディラインでもなく、ポップさもある唄メロを重視し、冗長さのあるインストルメンタルよりもハー
ド・エッジでいてビートを効かせた楽曲が中心のため、冒頭曲から最終曲まで一気に聴かせてくれるアルバムです。
[収録曲]
1. Pandora
2. I’ll Erase One Everyday
3. Make Up
4. Everything Has Changed
5. Break Into Pieces
6. From Dawn To Dusk
7. Two Minds
イギリスのプログレッシブ・バンド:Porcupine Treeからサイケデリックさや陰鬱さあるメロディラインを排除したイメージや、イギリスのWishing Tree(Marilionのギター奏者:Steve Rosallyのプロジェクト)からフォーク寄りのアプローチを排除した世界観が好きな方におすすめです。
バンドのサウンドでいえば、同じく女性ボーカルでフランスのプログレッシブ・ロックバンド:Delusion Squardに近しいこともあり、当アルバムを聴いてRespelを好きになった方は、Delusion Squardのアルバムを聴くこともおすすめします。
アルバム「From Dwan To Dusk」のおすすめ曲
1曲目は、5「Break Into Pieces」
各楽器が、当楽曲の全体の質感を損なうことなく、奏でられているのが印象的だからです。特に、他楽曲でもメタル系やハード・エッジさがアクセントともなるギターのパートも含め、多種多様なプレイが堪能出来ます。
2曲目は、2「Everything Has Changed」
5「Break Into Pieces」以上に、楽曲全体のイメージを損なうことなく奏でられるギターのプレイ・スタイルが印象的だからです。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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