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プログレおすすめ:Montefeltro「Il Tempo Di Far La Fantasia」(1992年イタリア)

公開日: : 最終更新日:2015/12/03 1990年代, イタリア, イタリアン・プログレ


Montefeltro -「Il Tempo Di Far La Fantasia」

第139回目おすすめアルバムは、イタリアのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Montefeltroが1992年に発表した1stアルバム「Il Tempo Di Far La Fantasia」をご紹介します。
Montefeltro「Il Tempo Di Far La Fantasia」
Montefeltroは、1990年にキーボード奏者のPiergiorgio Ambrosiとボーカル兼ギター奏者のAttilio Virgilioをメインに、Giampiero D’Andria(ベース)、Pierpaolo Ferroni(ドラム)をゲストに迎え、当アルバムは制作されています。

その音楽性は、同国のプログレッシブ・ロックバンド:Le OrmeやPFMの一端となるシンフォニック系のエッセンスがあり、Attilio Virgilioもまた、バンドのルーツに、イギリスの5大プログレバンドの1つ:Genesisの音楽があると述べています。

ゆったりとしたシンセを中心に繊細にも浮遊さを感じさせてくれるサウンド・メイキングには、Genesisでいえば、特に1973年発表の5thアルバム「Selling England By The Pound(邦題:月影の騎士)」の楽曲や、たぶんにYesのファンタジック系な側面も彷彿とさせてくれるので、高音を効かせつつもたおやかなボーカリゼーションも合い間って、

揺りかごのうえで揺られる夢見心地のような心地にもなる
音の万華鏡のような素敵なアルバムです。

楽曲について

冒頭曲1「Canto No.1(lettera ad un amico del 1400)」は、約21分にも及び長尺の楽曲です。ゆったりとしたシンセ、ピアノやアコースティック・ギターによる繊細なフレーズ、歪みを抑えYesのSteve Howeを彷彿とさせるレガート気味なギターのフレーズなど、夢心地に感じさせてくれるメロディアスでいてファンタジックなバンドの特徴ともいうべきサウンドが十分に詰まっています。さらに、キーボードが織りなすチェンバロやストリング・アンサンブル、金管楽器の音色がイタリアのバンドらしき格調高き宮廷音楽を連想させる一端を魅せたり、変拍子やリズムチェンジを繰り返し緩急をつけた楽曲の構成によるコントラストがあっても、ファンタジックさが似つかわしいサウンド・メイキングなのは、各楽器の奏でる一音一音が繊細に紡ぎ合っていることと、レガートを強調したサスティーンの効いたフレーズに流麗さを感じえるからではないでしょうか。

2「Il prescetto」と4「La collana riffletente」は、冒頭部から変拍子とリズムチェンジを多用しつつメリハリを効かせたヴァースに躍動さを感じさせてくれる楽曲です。この唄メロのメロディラインにはイタリアのプログレッシブ・ロックバンド特有さも溢れている気がしてなりません。さらに、前者の2「Il prescetto」の後半部で聴かれるレガート気味のギターのフレーズの流麗さも特筆です。

3「Cielo di carta」はおだやかな叙情さを讃えた唄メロのメロディラインが印象的な楽曲です。Yesでいえば楽曲「Wonderous Stories(邦題:不思議なお話を)」(アルバム「Going For The One」収録)や楽曲「Madrigal」(アルバム「Tormato」収録)を連想させてくれます。

最終曲5「Nel labirinto (il regreto del sole)」は、コラージュされた不穏なSEに驚きもしますが、イントロ冒頭部やヴァースを挟むサウンド・メイキングに、アルバム楽曲中でも最も5th「Selling England By The Pound」期のGenesisのファンタジックさを感じる楽曲です。2分30秒前後から4分50秒前後までのエレガントなタッチのピアノとレガートなフレーズのギターが重なり合うアンサンブル、オルガンをアクセントにもシンセが醸し出す浮遊さあるパートのファンタジックさにただただ聴き入ってしまいます。ただ、それ以上に、ポンプ・ロック系のエッセンスをも彷彿とさせる4分50秒以降、さらにテンポアップさせた5分40秒前後や60分30秒前後からのポップさもある訳度的なパートでは、どこまでも突き抜けていくようなメロディラインに心は躍動させてくれるにちがいありません。惜しむらくは、フェードアウトでもなく突如クロージングしてしまうエンディングでしょうか。前半部の叙情さもある翳りある唄メロのメロディラインとコントラストを成すような構成だからいっそう、2ndアルバムに期待せずにはいられないのです。

聴き手によっては、アルバム全篇、母国語のイタリア語で唄う唄メロには、それほど高音で突き抜けることのないYesのJon Andersonのようなイメージも感じることで、Yesのボーカルとギターに、Genesisのギターとキーボードが醸し出すアンサンブルのうち、ファンタジックなエッセンスだけを抜き取ったサウンド・メイキングとも捉えるかもしれません。

うすぐもった気持ちで1日を過ごすというのなら、目覚めの朝やゆったりとした午後のひとときに、ストレスなく聴いていたいと感じる素敵なアルバムの1枚です。ジャケット買いをしてしまっても損はしないサウンドに溢れていると思います。

[収録曲]

1. Canto No.1(lettera ad un amico del 1400)
I) musicis instrumentis sonans humanos affectus
II) Siarade serale
III) La corsa contro il tempo
IV) Pioggia di stelle
V) La tua immagine
VI) Il walzer dei ricordi (per anatre e vecchi balocchi)
VII) Sciarada notturna (al lume di candela col temporale oltre la finistra)
VIII) Prendi la foglia
IX) Il duello
X) In quel sole interiore, la nave a l’artificio
2. Il prescetto
I) Nella sala del trono
II) Dopo la pioggia
III) Con il viso controvento
3. Cielo di carta
4. La collana riffletente
5. Nel labirinto (il regreto del sole)
I) La casa di Asterione
II) Un addio in silenzio

バンドのギタリストが自らのルーツと語るGenesisが好きな方、サウンド・メイキングに垣間見えるYes、ポンプ・ロック系を聴く方におすすめです。また、イタリアのシンフォニック系のプログレッシブ・バンド:Banco Del Mutuo Soccorso、PFM、Le Orme、Ezra Winstonを好む方に、モダンなシンフォニック系のプログレッシブ・バンドとしておすすめしたいです。

当アルバムでMotefeltroを気に入った方は、2ndアルバム「Il Pesce Rosso …」にも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。当1stアルバムのサウンド・メイキングを担ったキーボード奏者のPiergiorgio Ambrosiが脱退後に作成されたアルバムですが、メイン・コンポンザーであるAttilio Virgilioは健在で、キーボードの比重はギター・シンセに置き換えたサウンド・メイキングとなっています。

アルバム「Il Tempo Di Far La Fantasia」のおすすめ曲

1曲目は、最終曲5の「Nel labirinto (il regreto del sole)」
前半部の叙情さのあるヴァースのパートと、後半部のポップでいて躍動さのあるパートも、楽曲全体で5th「Selling England By The Pound」期のGenesisを彷彿とさせるクリエイティブさで包み込み、躍動さもあるポジティブでクロージングさせる展開が素敵だからです。
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2曲目は、冒頭曲の「Canto No.1(lettera ad un amico del 1400)」
クラッシクの楽曲をモチーフに取り入れながらも、当アルバムでは、Motefeltroの音楽性が十分に盛り込まれており、聴き心地良さもあるからです。約21分にも及ぶ楽曲の長尺さにも、変拍子やリズムチェンジを織り込み、ゆったりと聴かせてくれるので、落ち着いて聴き通したい楽曲です。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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