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プログレおすすめ:Jaen Kief「Las Hadas No Vuelan Mas/1.Vagas Nubes」(2006年コロンビア)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2000年代, コロンビア, シンフォニック, フルート


Jaen Kief – 「Las Hadas No Vuelan Mas/1.Vagas Nubes」

第36回目おすすめアルバムは、コロンビアのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Las Hadas No Vuelan Masが2006年に発表した1stアルバム「Las Hadas No Vuelan Mas/1.Vagas Nubes」をご紹介します。

Jaen Kief「Las Hadas No Vuelan Mas/1.Vagas Nubes」
男性ボーカリスト兼ギタリストのSol Beatriz Jaramilloを中心とし、女性ボーカリスト兼ギタリストのJuan Gonzalo Tamayoの男女混成ボーカルのグループです。その他、ベース、ギター、キーボードの基本セクション以外に、アルトサックス、フルート、タブラーなどの奏者が参加しています。

スペイン語で唄われる男女ボーカルのうち、男性の唄メロは哀愁を帯び、女性の唄メロはたおやかさを感じさせてくれます。その男女の唄メロやフルートとサックスのアンサンブル、ギターやベースのフレーズなど、南米っぽさ所謂ラテン色独特のパッションをブレンドしたシンフォニックなサウンドが特徴のアルバムではないでしょうか。

楽曲について

冒頭曲1「Prologo」をはじめとし、南米独特のメロディ感覚もアンサンブルに活かされていますが、アルバムの聴かせどころは、副題を複数もつ4曲目から9曲目までの「Momento Gris」と12曲目から14曲目までの「Duerme Bien」ではないでしょうか。どの曲も切れ目なく繋がっており、楽曲1曲1曲よりもそれぞれ楽曲の後半に向けてパッションが溢れ盛り上げる様を堪能出来ます。後者の12曲目から14曲目までの「Duerme Bien」の3つの楽曲のうち、特に、14「Duerme Bien (III. Duerme Bien) 」はイギリスのロックバンド:The Rolling Stonesが1973年発表の「Goats Head Soup(邦題:山羊の頭のスープ)」の挿入歌「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) 」のブラスセクションのようなアレンジを想起させます。それは当時、ジャマイカでレコーディングされニューソウルやファンクの音楽へ近づいたThe Rolling Stonesのアレンジの一つでもあり、このアレンジ感覚1つ取っても、イギリスやイタリアで代表されるユーロのプログレにある抒情性を取り入れ、ラテン色独特のパッションさをベースとしたシンフォニックな楽曲が中心であることが伺えるのではないでしょうか。

[収録曲]

1. Prologo
2. Obertura
3. In Promptu – De Pronto
4. Momento Gris (I. Parte Uno)
5. Momento Gris (II. Parte Dos)
6. Momento Gris (III. Parte Tres)
7. Momento Gris (IV. Parte Quattro)
8. Momento Gris (V. Parte Cinque)
9. Momento Gris (VI. Parte Sei)
10. Momento Gris (VII. Parte Siete)
11. El Juego De Unas Sombras
12. Duerme Bien (I. Dos Mundos)
13. Duerme Bien (II. Dama De La Noche)
14. Duerme Bien (III. Duerme Bien)
15. Brujo Negro

コロンビアのロック音楽の本質は分かりませんが、以前からサイケデリック色が強いバンドが存在しながらも、シンフォニック系でなくともプログレ関連のバンドが見いだせなかったと云われています。抒情性さがありながらもパッションさがある躍動さは聴いていて心地良さがあります。

コロンビアの地で奏でるプログレに対し、先入観もなく耳を傾けたいという方にもおすすめです。

遅すぎるぐらいの南米シンフォニック

1960年代後半から1990年代にヨーロッパのロック市場で溢れた南米フレーバー溢れるサウンドを色濃く感じるのは、影響を受けたのが当バンドなのではなく、コロンビアをはじめとする南米各国のラテン色を輸入したヨーロッパ市場のクロスオーバー、ミクスチャー感覚なのかと思います。逆に、ラテン色が濃厚に出たコロンビア当地でのシンフォニック系のプログレッシブなサウンドを聴かせるバンドが2000年代中盤以降に出現したことが遅すぎたぐらいなのかもしれません。既に2010年代を迎えていますが、これからもコロンビアをはじめとする南米でプログレッシブ・シーンに突如として素晴らしいバンドが出現するのを期待せずにはいられませんね。

みなさまはどう思いますか?

アルバム「Las Hadas No Vuelan Mas/1.Vagas Nubes」のおすすめ曲

1曲目は、14曲目の「Duerme Bien (III. Duerme Bien)」
抒情的なイントロをワウを効かせたギターが見事に歪ませてくれる楽曲。雰囲気はがらっと変わり、女性ボーカルの唄メロをアクセントにしながらも、フルートとサックスの織りなす感覚がThe Rolling Stonesの楽曲「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker) 」や「Monkey Man」を想起させてくれます。ラテン色独特のパッションを感じさせてくれながらもサスティーンな効いたギターソロが印象的です。

2曲目は、8曲目の「Momento Gris (V. Parte Cinque)」
フルートに導かれ、楽曲のオープニングからクロージングまで終始パッションを最も感じさせてくれるからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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