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プログレおすすめ:YES「Going For The One(邦題:究極)」(1977年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/02 1970年代, YES(5大プログレ), イギリス , , , , ,


YES – 「Going For The One(邦題:究極)」

第82回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:YESが1977年に発表したアルバム「Going For The One」をご紹介します。
YES「Going For The One(邦題:究極)」
YESの8枚目にあたるアルバム「Going For The One」は、前作アルバム「Relayer(邦題:リレイヤー)」でRick Wakemanに代わりキーボードで参加していたPatrick Morazが1枚でアルバムから脱退してしまい、制作前にはキーボード奏者が不在でした。そして穴埋めするべくサポートとして参加したのは、復帰したRick Wakemanなんです。また、ボーカルにJon Anderson、ベースにChris Squire、ギターにSteve Howeの3人は健在であり、アルバム「Close To The Edge(邦題:危機)」以降、Bill Brufordに代わるドラマーとしてAlan Whiteがメンバーです。

楽曲について

冒頭曲「Going For The One」は、オールドスタイルのロック風フレーズをスティール・ギターでSteve Howeが奏で、呼応するかのようにChris SquireのベースとAlan Whiteのドラムの2ビート風のイントロに驚きながらも、Jon Andersonが高音を活かしてヴァースをなだれこむようなボーカリゼーションにYES流のオールドロックとファンタジックさの融合さを感じさせてくれます。イントロだけでなく、ヴァースでの裏メロディや後半部の畳み掛けるように奏でるSteve Howeのギターフレーズ、Jon Andersonの「Going For The One」の連呼が力強い。過去アルバムの冒頭曲を飾った「Roundabout」(3dアルバム「Fragile(邦題:こわれもの)」収録曲)や「Close To The Edge – 第1パート:The Solid Time Of Change」(4thアルバム「(4thアルバム「Close To the Edge(邦題:危機)」とは異なり、よりソリッドでロックテイストだけれど、YESらしさ溢れたメロウさに圧倒されますね。

2「Turn Of The Century(邦題:世紀の曲がり角)」は、Steve Howeのアコーステックギターのフレーズが水を得た魚が如く、ボーカルのJon Andersonとデュエットしているようでいて、メロウな楽曲。これまでのYES以上にコンパクトな楽曲で、以降のアルバムに垣間見えるメロウなミディアムナンバーの礎ともいうべき素敵です。中間部でスティールを入れたギターとピアノによるアンサンブルが加わって、まるで1「Going For The One」とは異なり、アコースティカルな展開を意識しながら、クロージングのギターの音色1つが途絶える切るまで、どこまでも優しさ溢れるサウンドスケープを魅せてくれます。

3「Paralells(邦題:パラレルは宝)」は、イントロからChris Squireのベースが乱れうねりを作るようなフレーズを聴かせてくれる楽曲。そのベースに負けないぐらいにオルガンが終始アンサンブルを占め、4分前後からも縦横無尽なソロが聴けます。当アルバムではファンタスティックな音壁を、YESの特徴であるコーラスよりも楽器群で表現しうる異色さがあります。

シングル・カットされイギリスので10位圏内にランクインした4「Wonderous Stories(邦題:不思議なお話を)」は、2「Turn Of The Century」よりもアコースティックなギターのストロークやシンバル音など、小刻みなアンサンブル、2分前後のレスリースピーカーを通じたキーボードのフレーズなど、タイトルの「Wonderous」の「不可思議さ」をイメージさせるに十分な構成美ですね。肩の力を抜いた脱力さともいうべきか、ホッとしてしまうメロウさに魅せられます。

最終曲5「Awaken(邦題:悟りの境地)」は、当時の1977年までのYESソングの集大成とも云われた楽曲。当アルバムでは、当楽曲までそれほどソリリストのようなフレーズが目立たないRick Wakemanが、当イントロで印象的なフレーズをキーボードで奏でます。35秒前後からシンセによる浮遊さに、Jon Andersonによるアカペラが重なり、まるで透き通った大空へ飛翔しようと羽を拡げる様を想起をさせてくれます。さらに1分30秒前後からは、ヴァースのアンサンブルにエレクトリックギターのリフ、ぶんぶんうなるベースとスネアドラムの音が加わり、じわじわと楽曲はクレッシェンドしていきます。Jon Andersonは呪文のようにワードを繰り返すモチーフとともに、アンサンブルにアンバランスさが生じ、緊迫感で心を躍動させますね。2分48秒前後からはビートは一定になり、Steve Howeのささくれたったギターのソロフレーズが縦横無尽でいて、より緊迫感に揉まれていく。3分55秒には、Jon Andersonは呪文のようにワードを繰り返すモチーフが再度垣間見せて、5分前後からオルガンとギターによるリズミカルでいてファンタスティックなテーマへと移行し6分30秒前後にいったん小休止します。以降、ベル音がキラキラと響き渡り、ギターとオルガンによる一定のシークエンスのフレーズが繰り返され、じわじわと盛り上がっていき、落ち着いてきたかと思った瞬間に9分50秒前後のエレキギターのフレーズと、オルガンが高らかにうねて、Jon Andersonによるヴァースへと繋がります。ヴァース裏のコーラスは他曲とは異なり、崇高さを感じさせてくれて、当楽曲を前半部とは異なる緊迫感を感じさせてくれます。13分30分前後からは、冒頭のアカペラのモチーフが繰り返され、既にここまでの曲の展開を聴き入った思むきと、シンセのうねりによるサウンドメイキングにより、1つの音を感じ得たかのようにクロージングします。

[収録曲]

1. Going For The One
2. Turn Of The Century
3. Parallels
4. Wonderous Stories
5. Awaken

6. Montreux’s Theme
7. Vevey (Revisited)
8. Amazing Grace
9. Going For The One (Rehearsal)
10. Parallels (Rehearsal)
11. Turn Of The Century (Rehearsal)
12. Eastern Numbers (Early version of “Awaken”)

なお、当アルバムのリハーサル収録とともに、「Montreux’s Theme」、「Vevey (Revisited)」、「Amazing Grace」がボーナストラックとして収録されている再発版のCDもあります。リハーサル収録時でも並のバンドを超える楽曲の力強さに聴き入りそうですが、やはり正式リリーストラックのファンタスティックさが素晴らしいと本当に感じさせてくれます。

前作「Relayer(邦題:リレイヤー)」は、キーボード:Patrick Morazにもよるジャズやフュージョンの影響下、即興性の素晴らしさもありましたが、1977年当時のじわじわとプログレが衰退期を迎えるにあたり、よりストレートなサウンドを意識しつつもYES本来のシンフォニック性、コーラス性、ポップスさ溢れたファンタスティックな楽曲を愉しめる作品です。

コンパクトさのあるファンタスティックな楽曲が愉しめるため、より難解さではないメロウなプログレを聴けておすすめです。もちろん、緊張感のある大作「Awaken」のような楽曲も好きな方には、当アルバムを入り口にし、それ以前のアルバムを愉しむのはいかがでしょうか。

筆者にとっては、アルバム全体に優しげでメロウさのあるコンパクトなYESの楽曲が聴けるアルバムとして「原点」とも感じ得る好きなアルバムです。YESのファン以外にもおすすめなアルバムなんです。

Roger DeanとHipgnosisと

過去アルバム同様に、メンバーチェンジがあった当アルバムで、他にも特徴的なのが、ロゴは維持しつつもジャケットのデザインがRoger DeanからHipgnosisに変わったことです。次の9thアルバム「Tormato(邦題:トマト)」でも参画しています。個人的にはRoger DeanにはYESも含め「神秘性」、HipgnosisにはPink Floydも含め「現代性」、転じて「先進性」を想起します。幻想的なイメージから、よりモダンなイメージへと転換する、並々ならぬ決意をYESに感じました。Roger DeanもHipgnosisもいずれが描くアルバムジャケットには、ミュージシャンが奏でる楽曲を耳にすることでサウンドスケープを感じると同時に、そのサウンドスケープの幅を拡げてくれる。筆者がCDの「ジャケ買い」をしてしまう魔法を与えてくれた存在です。まだまだその魔法に取り憑かれたたまま、日々を過ごしていきそうです。。
そんな「プログレな気持ち」。。

みなさんは、いかがですか?

アルバム「Going For The One」のおすすめ曲

1曲目は最終曲5「Awaken」
当楽曲までのコンパクトなYESならではのメロウさで終わると思いきや、これまたYESならではのコーラスを抑え気味に、Jon Andersonのボーカルと各楽器による構成美を強く感じさせてくれて、素晴らしいサウンドスケープを魅せてくれるからです。
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2曲目は冒頭曲「Going For The One」
ここ数年、人生のテーマの1つ「究極」、転じて「唯一無比をめざす」ことを抱かせ続けてくれているタイトル「Going For The One」が忘れられないからです。聴くたびに、まだまだ足りないと奮い立たせてくれます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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